(15)変わる日常と夢
「サンティさんは何食べる?」
ケノンはスパゲッティを注文しながら言った。
「私?じゃあクリームシチューにしようかしら?」
「好きなんですか?」
ケノンはそう言って首を傾げた。その青い髪を撫でたい欲求に駆られながら、ぐっと押さえる。
「え?あ〜そうね。それなりに。」
曖昧な答えをしつつ、シチューを頼む。味としては好きだけど、私はシチューにいい思い出がない。
前世で毒を盛られた事がある。それ故大好きとは言えなかった。
「あー来たわよ。ありがとうございます。」
「ありザマ〜ス」
一緒にその後夕ご飯を食べて、明日の用意をして、疲れていたから直に寝てしまった。
✼❖✼
『……キャエル様』
ふわふわした感覚。私はすぐにここが夢だとわかった。しかも、彼女の目の前にいた人が、ここにいるはずのない人だったから。
『――――。どうしてここに?』
夢の中だとわかっているのに、なんでそう聞いてしまったのだろうか?
『キャエル様、貴方はどれだけの命を助けたか覚えています?』
不思議な質問をする彼に私は混乱が隠せなかった。段々意識がはっきりしてきて違和感に気づく。
『――――、その姿……何』
私の記憶にない姿。前世の、400年前の姿とは何か違って、今風の服装に変わっていて、違和感がつのる。
『キャエル様、これは……今の姿です。私は貴方と同じ時に居るので……』
その言葉に少し納得した。そして目を見開くほど彼を見た。
彼は、今この世に生きているのかと。
私が生まれ変わっている。彼が生まれ変わるか何かあっていてもおかしくない。私は前世とそれほど違いない姿で生まれ変わった。今見える彼も同じならもう1度、もう1度会えるかもしれない!
そんな感情私の頭を駆け巡る。ここは夢なのに何故ここまで意識がはっきりしてるのかも考えるすきがなかった。
『ッフフ』
彼が軽く笑う。その時に出るエクボに懐かしさを感じながら、何処に笑う所があるかさっぱり分からず頬を膨らます。
『ッスすいません。全く変わっておられなかったもので』
これはあらての皮肉とも取られるが彼の場合はそんな事全く思っていないのを私は知っている。
『――――、貴方も変わっていませんよ。』
私と同じくらいの年に見える彼はやはり見上げないと目が合わない。彼は目を細め、苦笑するように頬笑み、いきなり真剣な目で私と目を合わす。
『貴方は何も変わらない。だから心配になる。キャエル様、貴方また何かしようとしていません?』
疑問形なのに彼の目には確信を持っているよだった。その目に、私はひどく弱い。
『……』
『貴方は今聖女ではありません。それは何故か分かりませんが今、貴方は危険を冒させばならない義務はありません。』
私は今聖女じゃない。前世にその責任を十分すぎるほど知っている。私はこれ以上生き物の傷ついた姿を見たくない。
『……大丈夫です。私は、前世の尻ぬぐいするだけですから。それ以外は最低限です。』
前世最大の心残り、私はそれを解消すること以外に危険は最低限にしたい。だから、私は今世では聖女になるつもりはない。
奥歯を噛み締めて頬笑み私を見て彼は何も返せないようだった。
『……申し訳ないけど、その言葉は信じられない。』
泣きそうになった彼は私の知っている彼でしかない。でも彼らしくない言葉に一瞬焦った。
『貴方は覚えておりますか?死ぬ寸前まで人を癒した事、あの時は肝が冷えた。』
『あの時は……』
『貴方はそう言うと人のです。何故あの貴族を助けたのです?』
私に有無を言わさね態度で彼は私に言う。今回もというのなら、貴族はフロガの事だろう。
『――――は何でフロガ様を知ってるの?』
『貴方のマナを私は覚えています。人の魔力暴走を直したのも分かりました。』
彼は私の従者だったから私のマナを知っているのは分かるがそんなに分かりやすいか?
『貴方は魔力暴走の危険性を知っているでしょ?』
彼はいつでも私を優先している大切な臣下だ。いつもならこんなにも私に答えもさせずにまくし立てたりしない。
『私は大丈夫です。私は何も衰えていません。知識もある。魔力もある。大丈夫です。』
『……では1つだけ忘れないでください』
彼は私に跪き、私を見上げた。私は視線を落として彼の目を見る。
『私は貴方の臣下です。貴方が道を外れたら何があっても戻します。』
✼❖✼
「ん〜ッスはあはあ」
やはり夢だった。でも夢の内容がしっかりするほど覚えている。それがあの夢が普通じゃないと言われたように感じた。最後の彼の言葉が耳にこびりついている。
「大丈夫?ちょっとうなされてたけど……」
本当に悪夢だったのならキャロリゼータに今すぐ抱きついていただろうけど今そんな感じではない。
「うん大丈夫。悪夢って感じじゃないわ。」
今日から普通な授業な始まりだ。さっさと着替えて教室にいきたいのに、いつもならすぐに着れる制服がなかなか着れなかった。
◆◇◆
「サンティさん!一緒に教室までいきましょう!」
食堂であったケノンと共に談笑しながら教室へ向かった。へスライド先生と一緒に
この時、私はすっかり忘れていた。昨日、へスライド先生と一緒に私に迫って来た……
「サンティ様!鞄持たしていただきます!」
「……」
そう。フロガだ。この時私は何一つ表情を変えなかった。よくやった私。
「……フロガ様、大丈夫ですわ。」
「いえ!問題ないです!」
話が通じない。フロガはやはりそういう人だった。
この時確実にわかった。この学園で生活は、平穏にいかない!と。
「フロガ、ミレズム嬢に迷惑かけんなよ〜みんな席ついて。」
注意しつつ止めてはくれないのね?へスライド先生は教壇に書類を置いた。
「席に着きますので。」
さっとフロガを避けて席に着くとクラノストが私を見て首を傾げた。
「……サンティ嬢は人気者なんだな。」
対なくそう言って彼は教壇の方を見た。




