(14)魔力暴走-面倒事-
あけましておめでとうございます~!
2026年もどうか私の小説を見てください!
(……後少しだ。)
傷が大体縫えてきた。魔力自体は多く必要ないとは言ったものの、時間がかなりかかるので体力がごそっと取られて苦しくなる。
「ひぃはあッはあッく」
フロガの呼吸がより激しく荒くなっていった。魔力回路と命は直結している。だから魔力暴走で人は死ぬし、命の危機に魔力暴走は起こりやすくなる。呼吸が荒らしも生存本能が働いている間は大丈夫、大丈夫だ。
傷が完全に塞がったら、フロガの呼吸が落ち着き出した。
「すーはー……ッげホゲホ」
咳をするとフロガはゆっくりと目を開けた。
「フロガ様、大丈夫ですか?先生、ちょっと支えて上げてください。」
先生にフロガを任せると、フロガは「はーはー」と呼吸を落ち着かせ、こちらをじろりと見る。
「みっミレズム嬢、」
フロガが苦しそうに私を呼ぶ。前世は人の命を救う、なんて聖女だったし日常茶飯事だったけど、今世は特にそんな事していない。それも、嫌われてる人を救った時の返事なんて言ったこなかった。
(う〜ん)
「……フロガ様、今回は私の勝ちですね!」
お礼が欲しくてやったわけじゃない。これは勝負の結果でしかない。それを強調したつもりだ。
先ほどまでは、私の言葉の裏の意味を全く分からなかったフロガは何故かそれだけは理解したようで開いた口を閉じた。
と思うとまたこちらをじろっと見てまた口を開く。
「ミレズム嬢……いや、サンティ様!」
「……?!」
頭の中で?が埋め尽くされた。思考が固まっていた。
「俺はサンティ様に負けた!」
ちょっと引いてしまうくらいの勢いで言ってくる。さっきまで生死の危機にいた人が大丈夫なのだろうか?
「我等フロガ家の家訓に一対一の勝負で負けたのなら勝ったものに仕えるというのがある!」
忘れかけていたが、フロガ家は正真正銘騎士の家系。しかしそんな弱肉強食な家訓があるとは思わないだろう。
(だって侯爵家だよ?私は子爵、おかしいでしょ!)
「……私は子爵家の者です。フロガ様のような方に仕えて頂くなんて、それはそれは……」
「では侯爵令息の俺に逆らうと?」
「……」
(ちょっとそれはどうなんだ?)
ちょっとやりすぎだと思う。身分を出したのは私だが、侯爵家に子爵家は逆らえない。
「そっそれは……」
「ミレズム嬢、ちょっといいかね?」
さっきから俯いていたへスライド先生が私達の話を遮ると私の肩をつかみぷるぷる震えている。ちょっと何してるか分からない。
「へスライド教員、遮るなよ……」
「ミレズム嬢!さっきの魔法、なんだったんだ?」
「えっと、その……」
何も言えなくて固まっている私は下を向いた。
「やはり、君は……」
その声は妙に高くなってへスライド先生はキラキラした目でこちらを見た。
「大聖女様の子孫ではないか!?」
「え?」
思っても見なかった事が一度にに度も詰め込まれ、つい固まってしまう。
「その髪も瞳も大聖女様と同じだし、僕が気づかなかったフロガの魔力暴走に気づき直して見せた。」
早口で話し出すへスライド先生に押され黙ってしまう。正直言って怖い。
「圧倒魔力量で首席になった上いきなり消えて転移魔法で帰ってきた。そもそも誰にも教えてもらわずに魔法を完璧に操ること自体……」
「へスライド先生!」
もう自分の世界に入ってしまい、ずっと話してる。クラノストとは違った雰囲気が私に私はどうにか止めないと思った。
「私にはわかりませんが、もしかしたら血の繋がりはあるかもしれないですね。」
そう言うと「ああ!」と言ってその後もへスライド先生は前世の私、大聖女キャエルについてず〜と語った。どうにも大ファンらしいのだが、どんな反応が正解なのだろうか?
「……大聖女様は魔力量も超のつく程の多かったそうでな、それで…」
「そうですか!あっこの後予定があるのでこれで。」
キャロリゼータとインフォ嬢の手を掴んで歩きだすと、後ろで「サンティ様、お待ちを……」と聞こえた気がするが気のせいだ。そう気のせいだ。
◇◆◇◆
とりあえず中庭にまで出てきた所で私は2人の手を話した。
「ごめんね。手、痛くない?」
「大丈夫よ。サンティこそ大丈夫だった?」
キャロリゼータはやはりいい子だ。全く責めずにむしろ気遣ってくれる。
キャロリゼータに癒されているとインフォ嬢に見られてる気がしてインフォ嬢の方を見るとさっきのへスライド先生を思い出させるキラキラした目でこちらを見ていた。
「……あの、インフォ嬢?」
「あっはい!なんでしょう!」
インフォ嬢は元気よくそう返事する。私は軽く微笑みを作った。
「その、キャロリゼータから貴方を紹介するって聞いていたのだけど……」
「あっはい!そうです。改めて自己紹介いいですか?」
もじもじしながら彼女は私に聞く。インフォ嬢は男爵家の養子だから私の方が一応身分的に上だからだろう。なんだか今世ではほとんどあされないものだから新鮮だ。
「どうぞ。」
「はい!改めまして、私インフォ・ケノンです。貴族養子になった唯一の同級生だったので親近感があって、会えて嬉しいです。」
なんだこの子可愛い。キャロリゼータからの紹介だし仲良くなりたいし、好感が持てた。
「そうなんですね。わざわざ敬語にしていただくて構いませんよ?」
そう言うと緊張が無くなったようにもっといい笑顔を見せた。
「そう?あのあたしミレズムさんと友達になりたの!なってくれない?」
(なにそれ可愛い)
私は彼女を値踏みするように見回した。私より10cm程の低い身長に肩ほどの青い髪、クリっとした大きな目。そして先ほどの発言……可愛い。
「むしろこちらから言いたいくらいよ。友達になって。」
「本当?やったーばんざーい」
そう言ってケノンは私に飛びついて来た。キャロリゼータが後ろから「私忘れてない?」と言ってた。実際忘れかけたのは内緒だ。
ケノンとは忘れていたけど昼食を食べ、夕ご飯も一緒に食べる約束をした。




