画像は取り扱い注意
第一話
日向が学校に来なくなった日、
俺は部活と、学校での居場所を失った。
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日向の彼氏、蒼はバスケは上手いけど、嫌味なやつだった。
同じ部活だったけど正直苦手だ。
日向に「あの人が彼氏」って教えられたときは、
素直に「趣味わりー」って言って頭を叩かれた。
今でも日向の男の趣味は最悪だと思ってるし、
恋に溺れた馬鹿だと思ってる。
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蒼は俺たちにマウント取るのが好きだった。
自慢できりゃ何でもよかったんだろう。
自分の彼女の裸の画像を見せびらかしたとき、
部活の奴らのほとんどが彼女もいなく、
ましてや同級生の裸なんて見たこともないやつばっかだったから、
ちょっとした英雄扱いだった。
蒼が馬鹿だったのは、見せるだけじゃなくてデータを渡したこと。
運が悪かったのは、渡した相手が蒼以上の馬鹿だったことだ。
画像はあっという間に外に漏れて、大人の知るところになった。
部活は無期限の活動停止。
蒼を含む数人は停学。
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部活内で画像を持ってなかったのは40人中たった3人。
そのうちのひとりが俺だった。
俺はその日、「告げ口した裏切り者」になった。
別にチクったわけじゃないけど、何を言っても無駄だろう。
真実なんてどうでもいいんだよ。
あいつらは自分が悪くないと思いたいだけだし、スケープゴートが欲しかっただけだ。
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3年の先輩たちは引退試合もできないまま受験勉強に突入。
停学食らった3年は内申も推薦も厳しくなるだろうし、
そりゃストレスも溜まるだろうけどさ。
だからって、やってもないことで因縁つけられて殴られる筋合いはない。
2週間も我慢した俺もアホだった。
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今はもっぱら家でレトロゲーム三昧の日々だ。
親は俺が殴られた怪我を見てるから、
あんまり強く「学校行け」とは言わない。
でも、一ヶ月も経つとさすがにゲームにも飽きる。
そろそろ勉強とか高校受験とかヤバいかもな。
保健室登校でもすりゃ勉強くらいはできるかもしれないけど、やる気は出ない。
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どうすんだよ、これから。
そんなことを考えていたら、猶予期間の終わりを告げるスポンサー様からお達しが来た。
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「直哉、あんた暇なら買い物でも行ってきて。
学校行かないなら家事くらいやってちょうだい」
母親――スポンサー様からの命令で、
一週間ぶりに家のドアを開けることにした。