表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【2025年再投稿版】蒼炎のカチュア  作者: 黒桐涼風
第二章 英雄の力
44/60

2-16 認められない

「くそがぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!! ふざけやがってぇぇぇぇぇぇぇーーーーーー!!」


 ガイザック再びは無詠唱の魔術での火の玉を何発も放ったが、カチュアは火の玉を華麗に躱わしたり、大剣で火の玉を受け止めたりした。


 三十発以上も連続で放っているが、カチュアには一発すら当たらなかった。


(魔術のパターンがワンパターン過ぎます。どうやら、ガイザックは魔術の威力を頼りの戦法で、魔術の技術はないようですね)


 しばらくすると攻撃が止まり、ガイザックは「ハアー、ハアー」と息を切らしていた。


(無詠唱でも、何回も魔術を、使えば体力は消耗するんですね)


 一方でカチュアは息を切らすどころか、のほほーんとした表情も崩れることはなかった。


「くそぉ! くそぉ! くそぉぉぉぉぉ!!!」


 再び、大剣で攻撃を仕掛けてきた。


 カキィーーーン!! カキィーーーン!! カキィーーーン!!


 カチュアの大剣がガイザックの大剣を受け止めていった。


(ガイザックの剣技が段々と荒々しくなっています。まるで、怒りの感情のままに、剣を振っているだけのように見えます)


「くそぉ、くそぉ、くそぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーー!! 俺の攻撃を受け止めやがってぇぇぇぇぇぇぇ!!」


 ガッシ!!!


 カチュアは隙を見て、ガイザックの武器を持っている右手の手首を掴み、ガイザックを投げ飛ばした。


 ガイザックは地面に叩きつけられ、転がっていった。


「ぐわぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!! 熱い! 熱い! 熱いぃぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーーー!!!」


 止まったらと思ったが、地面に寝そべっている、ガイザックは騒ぎながら右側方向に転がったり、左側方向に転がったりを繰り返していた。


「あの人、今『熱い』って、言わなかったですか?」

「……奴の右手を見て見ろ」

「手?」


 ガイザックの右手手首から煙が出ていた。


「煙が出ている? あれ? 確か、あそこは、さつき、カチュアさんが掴んだところですよね?」


(ということは、あのガイザックの火傷はカチュアさんの仕業ですか? でも、カチュアさんが火をつけた素振りはなかったです。じゃあ。魔術を? いいえ、使っていたら魔力を感じるはず。そもそも、カチュアさんは魔術が使えないって言っていました。じゃあ、あの煙は何故発生したんですか?)


「くそぉーーーーー!! もう、女だからって、容赦しねぇよ!!!」


 立ち上がったガイザックは両手を上げ、その間から火の玉が出現した。それもかなり大きい。


「あの人、あんなに、カチュアさんに対して、セクハラ発言をしてきたのに、今ではその行為が見られなくなりました。どうしてでしょうか?」

「奴は、勇能力の力で、思うがままに手に入れてきたんだろな。しかし、思い通りにならなくってむしゃくしゃしてきたんだろうな?」

「そういうものですか?」

「色んな奴がいるってことだ。人を相手にするのは難しいんだよ。ルナも分かる時が来るさ」

「ふぅーーーーん。……何気に、子供扱いしたのは気のせいでしょうか?」

「気のせいだ」


(しかし、ルナには、ガイザックが怒り狂う前と後で人格が変わったようにも見えます。気のせいでしょうか?)


「……あれ?」

「どうしたルナ?」

「なんか、あの火の魔術から魔力の流れが乱れているように感じるんです」

「乱れ?」


 ドカァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーン!!!


 「え!?」


 突然、火の玉が爆発した。


「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!?」


 爆炎の中から体中に火傷を負ったガイザックが出て来た。


(もう、何がなんだか)


「くそぉぉぉぉぉぉーーー!! 何でだよーーー!!?」


 ガイザックは再び、大剣を手に取り、カチュアに攻撃を仕掛ける。


 やはり、カチュアはガイザックの攻撃を躱していく。


 その光景を凝視していたアルヴスは。


「不味いな。あの嬢ちゃん」

「不味いって何がですか? カチュアさんが優勢では?」

「表情をよく見ろ」


 カチュアの表情は、苦しそうな表情をしていた。


「あの顔つきは、明らかに体力消耗ではなく、精神的なダメージを受けているように見える」

「でも、ガイザックは精神攻撃をしていないような……」


 カチュアは一旦ガイザックから離れた。その後に深呼吸をした。そして。


「もう、いいかげんにしないと、怒るわよ~~~!!」


 突然、大きいな声を出した。


(のんびり屋のカチュアさんでも、大きいな声が出せるんですね。というか、カチュアさんでも怒るんですね。その顔は、あまり、怒っているようには、見えませんですけど)


 そうしている間に、大剣を構えたガイザックがカチュアの元に近づいてきた。ガイザックはカチュア目掛けて、剣を振り下ろすが、カチュアは剣を振るい、ガイザックの剣に当てる。ガイザックの大剣は空高く飛ばした。


「俺の剣がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「わたしは戦うのは好きじゃないのに~~~!! もう、わからずや~~~!!」


 バッコォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーン!!!


 カチュアはガイザックの顔面を思い切り殴りつける。


「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


 ガイザックは後ろの方に吹き飛ばされていった。地面に着地ししばらく転がってから止まった。


 アルヴスは倒れたガイザックの元へ歩いて向かった。


 アルヴスの怪我を負った左足は、膝を曲げ、その膝から地までの長さの、岩でできた棒が生えていた。その岩でできた棒は、まるで松葉杖のようなだ。


(取り敢えず、これで、足代わりにはできるな)


 アルヴスは、倒れているガイザックの顔を眺めた。


「おい! 顔面潰れているぞ!」

「殺さないよう、力をできるだけ弱めたつもりよ~。わたし、本気を出し過ぎると、殺しちゃうのよ~」

「『殺さないように』って、これ、完全に両方失目しているぞ、これ。さらに鼻の骨が砕けているし、首の骨も折れているぞ。いや、それどころか、全身の骨が砕けている。生きているのが不思議なくらいだ……」


 アルヴスはガイザックの怪我をじーと眺めていた。ガイザックの顔から煙が出ていた。


「君は何者だ? 奴は力が弱い方ではあるが、勇能力の持ち主。それなのに障壁は一撃で壊すし、身体強化で高めていたのに遅れを取らない……君は、見た感じ、勇能力を持っていないのに」

「さっきも言ったわよ~。カチュアよ~」

「名前を聞いてるわけではないんだがな。……まあ、いいか」

「いいんですか? 兄様?」

「今は置いておく。それよりも、ありがとうな。助かったよ。しかし、改めて容姿と戦う姿を見ていると、伝説の女将軍の血縁かと思う程だ」

「よく言われるわ~」

「あのー。ガイザックを倒しましたし、そろそろ戻りませんか? 皆さん心配しています」

「そうだな。取り敢えず、ガイザックに拘束術こうそくじゅつを掛けておくから、活躍してくれたお嬢さんを休めといてくれ」


 アルヴスの手元には鎖の様な物が出現した。


「でも、兄様、足が……」

「ルナはまだ拘束術を使えないだろ? なら、俺に任せてくれ。拘束術を掛けるぐらいだから、心配するな」

「……わかりました。無理しないでくださいね」




 カチュアは腰を下ろして、休んでいた。


(ガイザックの潰れた顔を見ると煙が出ていました。さっき、カチュアさんがガイザックの腕を掴んだ時と同じですね。でも、なんで、カチュアさんに触れられたガイザックから、煙が出てきたんでしょうか? ルナが触れられても煙はでなかったです。そう言えば、ギルドで揉めた男の人にも、振れていたけど、煙は出なかったです。何か違いがあるのでしょうか?)


「それにしても、ヴァルダンとかいう国だっけ? その将といい。ガイザックといい。自分の力を否定されるとあんなに怒り狂うものかしら?」


 カチュアが、ぼそっと口を開いた。


「カチュアさん、どうしたんですか?」

「いや、ナギだ」


カチュアの瞳の色が赤くなっている。


「ナギさんでしたか。さっき、何か言っていましたか?」

「今のは、大きいな独り言よ。表に出るつもりはなかったがつい出てしまったようだ」

「はあ~。そうですか。……ほんと、あなた方は何者ですか?」

「私達は互い何者かは知らない。でも、カチュアは気にしていない様だけど」

「も~それはなんなのよー」


 いつの間にか、カチュアの瞳の色が蒼色へ元に戻っていた。


「私からも聞いていい?」


 また、瞳の色が赤になっている。


(ということはナギさんね。なんか、忙しそうな体質ですね)


「答えられる範囲なら」

「あなたは、私の存在に気づいていたようだけど、何で?」

「カチュアさんから、魔道具を装備していないのに、魔力の流れを感じたからです」

「魔力?」

「魔術を使うためのエネルギー原です。魔力は自然の一部で、濃度は低いですが空気中に蔓延まんえんしているんです」

「空気中? それじゃあ、何で魔道具を身に付けないと、魔術は使えないんだ。その辺に蔓延していたら、使えるのでは?」

「空気中に蔓延している魔力と、魔力が凝縮してできた魔石では、性質が異なるのです。魔術を使うために必要なのは魔石です」

「あくまで、空気に蔓延している魔力は空気の様なものか。その、魔力の流れっていうものは、誰でも感じることが出来るの?」

「いいえ、生まれつきの特技のよなものです。兄様が言うには、億に一の確率でその特技を持てるそうです。今のところは、ルナしかいないそうです」

「その魔力の流れは魔道具からしか感じないのか?」

「正確には核になっている魔石です。後は勇能力を持って者から感じます。それと、魔術関連を使うと感じます。例えば自力で付けた火には感じないですけど、魔術で作った火には魔力を感じます」

「もしかして、私がカチュアの中にいるのは……」

「カチュアさんの中から魔力を感じられたのは、魔術を使った痕跡こんせきがあったからです。つまり、カチュアさんの中にいるのは、魔術関連ですね」

「成程ね。ところで、人の中に入る魔術に心当たりはある?」

「ありますよ。大分前ですが、本で読んだことあります。確か……」

「あ! それはまた、後にしてくれないかしら。意識が無くなりそうだから」

「そうですか、わかりました」


 カチュアの瞳の色が蒼色に戻った。


「ナギちゃん。お休みの様ね~」

「おーい。こっちは、終わったぜ!」


 手を振りながら、カチュア達を呼ぶアルヴス。


「あ! 今行きまーす、兄様!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ