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【2025年再投稿版】蒼炎のカチュア  作者: 黒桐涼風
第二章 英雄の力
30/60

2-2 街に到着。しかし、ピンチに陥る

【コルネリア国内。道中】


 エドナは遠くの景色に指を刺した。


「どーしたの~エドナちゃん? 何か見えたの~?」

「う~ん……。見たことがない建物が見えてきたんだよ! それも沢山の! 何の建物かな? 家かな? 家にしては大きんだよ!」

「わたしも見て見るわ~……。あの方角ね~。え~と……どれどれ……う~ん……」


 エドナが指で刺した方角を、カチュアは目を細くして眺める。


「ん〜……」


 かなりの長い時間、眺め続ける。


「どうですか? もしかして、建物が見えたのは、あたしの気のせいだったのかな?」

「……あ~ごめんね。この位置からじゃ、ぼやけて見えにくいから、判断が難しいわ~。……でも、見る限り、あれは街かな~? 何件か建物が建っているから。……多分、きっと、そーだわ~」

「え!? あの先に見えるのが、街なんですか!? やっと着いたってことですか? やったんだよ!! そうと決まれば、早く行くんだよ!」


 エドナは、街らしい場所へ向かって走り出した。


「あ~! 待って~! そこは~……」


 カチュアは制止を呼びかけた。しかし。


「あれ? なんだか、どんどんと、走るのが速くなっていくんだよ。それに、足のブレーキが効かなくなって、止まらなくなったいるんだよ!」


 エドナは走り続けている。


「エドナちゃ~ん。そこは坂道だから走ったら危ないわよ~」


 エドナがいるところは坂道だった。


「はわわ!! はう! そうだったんだよ! 走り出したら、止まりたくっても、止まらないんだよーーー!!!」


 コケッ!!!


「あ!」


 勢いよく走っているため、足のバランスを崩して転んでしまった。しかし、転んだだけでは、済まなかった。エドナが足に着いていた場所は坂道だから。


 ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロォォォォォォォ!!!


「はわわわわわわわわわわわわわわわわ!!!」


 エドナの転んだ場所が下り坂だったため、転んだら、そのまま転がっていってしまった。


「エドナちゃ~~~ん。待って~~~~~~」


 カチュアは、転がっていったエドナを走って追いかけていった。


「エドナちゃ~~~ん。速すぎるわ~~~。止まって、ちょーだい~~~」


 ゆったりとした掛け声に反して、速く走るカチュア。


 しかし、カチュアの足では、転がったエドナに追いつくことができなかった。カチュアとの間が、どんどん遠ざかって行っていっている。


 転がり続けて、ようやく坂の終了地まで、転がっていった。しかし、転がる勢いがありすぎて、平地でも転がり続けていった。


「はわわわわわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! もぉぉぉぉぉ~~~~~~!!! 止めて、欲しいんだよぉぉぉぉぉーーーーーー!!!」




【???。入り口前】


 しばらく転がっていったエドナは、ようやく止まった。


「はううぅぅぅぅ~~~!!! ぎ~もぢ、わるい~んだよ~~~」


 目が回って気分を悪くしていた。


 辺りを見渡して見ると、カチュアの姿はなかった。


「頭がくらくらするんだよ~~」


 エドナは腰を下ろして、一息ひといきついた。


「あ~。いたわ~。やっと、追いついたわ~」


 カチュアが、ようやくエドナに追いついた。


「あら~? エドナちゃん、だいじょぶ?」

「はうう……うん、なんとか~。でも、まだ、目が回るんだよ……」

「ほんとに、だいじょぶ? 無理はしないでね~」

「ちょっと、休んだから大丈夫なんだよ。……それよりも、ここは?」

「ん? ん~~~と~~~……。街の入り口だよ、エドナちゃん」

「え?」


 エドナが顔を見上げると、そこには、街だった。


「すごーーーいんだよ!! やっぱり、近くで見ると大きいんだよ!! あたしの村にあった家よりも大きんだよ! やっと、たどり着いたんだよ!!」


 再び、下の方を見ると、街の入り口前に板が刺さっていた。


「あれ? なんだろ~? この板は?」

「看板ね~。何か書いて、あるわ~。えぇ~と~……」

「なんて、書いて、あるんですか?」

「……」


 カチュアは看板に書いてある文字を読み始めた。しかし、そのままの体制で止まってしまった。


 しばらくして。


「……多分、『アヴァルへようこそ』って書いて、あるわね~」

「アヴァルって、街の名前だよね? ……あれ? あたし達の目的地はそんな名前だっけ? あたし達って、目的地はアウルだったはずなんよ」


 エドナは地図を取り出し、地図を広げて見て見ると。


「あれ? あれれれれ? 地図にはアウルは載っていたんだけど、アヴァルって言う街は、載っていなかったんだよ。もしかして、あたしは地図を見ながら歩いていたにも関わらず、実は、迷っていたってことかな?」

「あら~? そーなの~? ……でも、これで、いいじゃないかな~? 結果的には、街に着いたんだし~」

「……そうですね。……そうなんだよ! うん! 七日間も掛けて、ようやく街に着いたんだから、これでいいんだよね? 多分。あ! そう言えば! ……ん~~~」

「エドナちゃん? どーしたの?」

「これから、どうしようかなぁって、考えていたんだよ。村に出る時は、とにかく人がいる街に、たどり着くことだけ考えていたんだよ。でも、街には、着いたんだし、その後、どうしようかなぁと思ったんだよ」

「あら? それも、そーよね~。……うーん〜、どーしましょ~?」

「どうしようかなぁ?」


 二人揃って悩んでいると。


「どうしようって! 何も考えていないんかい!?」


  カチュアが、怒ったような、大きな声を出したんだよ。


「カチュアさん!? どうしたんですか!? いきなり怒ったような喋り方をして! 驚いたんだよ!」


 カチュアの特徴とも言える蒼色だった瞳の色が、赤色になっていた。


「え~? 今、喋ったのは、わたしじゃないわよ~」


 カチュアは顔を横に振った。


「あれ? 元の瞳の色に戻ったんだよ」


 カチュアの瞳の色が赤から蒼色へ戻っていた。


「え? そう言えば、さっきのカチュアさんの喋り方は、カチュアさんではなかった気がしたんだよ。じゃあ、さっきのは、誰なんだろう?」

「それよりも……」


 カチュアは、両耳を両手で、抑えていた。


「うーん……何だか、耳が『キーン』とするよ~」

「そうなんですか? でも、耳が『キーン』するような音なんて、聞こえなかったんだよ」

「う~ん~~……ナギちゃんが、いきなり喋ってきたのよ~。それで、耳が『キーン』としたのよ~」


 カチュアが、まばたきをした後に、カチュアの瞳の色が、また蒼色から赤色になっていた。


「あー。え~と~……喋ったのは私だ」

「え? カチュアさんですよね? 目に色どうしたんですか? それに、喋り方も変わっているんだよ。さっきのカチュアさんの喋り方になっているんだよ」

「え? 目の色が、変わっているの?」

「うん! 赤色になっているんだよ」

「はぁ~~。……一応、私とカチュアで、見分けが付けられるみたいね。下手したら、あんたは一生気づかなかったかもしれないから」

「あたしは、カチュアさんの瞳の色が赤になったのが心配になったんだよ。大丈夫なんですか? こういう時は、目にいい薬、目薬っていうんだよね? それを目に付けるんだよ。でも、どうしよう! その肝心かんじんな、目薬がないんだよ!」

「いや! 自分じゃ、見えないんだけど。これ、充血しているんじゃないから! ……多分」


(というか、充血で赤くなるのは瞳だっけ?)


「あんたは、エドナだったよね? ナギという名に聞き覚えないかしら?」

「ナギ? 聞き覚えがあるんだよ。ナギさんって、確か……カチュアさんの中にいる人でしたっけ?」

「まあ、そういう認識でいいよ」

「そうなんですね。直接話すのは初めましてなんだよ」


(全く疑わないんだね。……まあ、いいわ)


「話したいことはあるけど、話はゆっくりした、ところでしたい。そうだね……街の中だと、宿屋とかがいいかな?」

「宿屋? 村長さんから聞いたことがあるんだよ。宿屋って、確か……寝泊りする、ところですか?」

「まあ、確か……そういうところね」


(記憶は曖昧あいまいだけど、多分合っている。合っていると、信じたい)


「じゃあ、そこへ行くんだよ! 出発なんだよ!」


 エドナは走って、街の中に入っていく。


「ちょっと、待ってよ! この街に始めて訪れたんでしょ? その宿屋が、どこにあるか、わかるの?」

「え?」


 エドナは、後ろを振り向いた。次の瞬間。


「はわわわわわわわわわわわ!!!」


 ドッテェェェ!!!


 エドナは足をつまずかせたわけでもないのに、転んでしまった。


「いたたた……痛いんだよ!」

「だいじょじょじょじょじょじょじょじょじょ!!!」

「はうう? ナギさんがおかしくなっているんだよ。どうしたのかな?」

「……」

「ナギさん?」

「あれ~? ナギちゃんの声が聞こえなくなっちゃった~」

「いつもの、カチュアさんの、のんびりした喋り方に戻っているんだよ。それに……カチュアさん目の色が戻っています」


 カチュアの瞳の色が蒼色に戻っていた。


「おかしかったかしら~?」

「充血したかと思ったんだよ」

「ん~~~……。だいじょぶだよ。特に目は痛くないから~」

「それなら良かったんだよ」

「それよりも、街の中へ入りましょ~」

「分かったんだよ! でも、ナギさんが急にいなくなって、ナギさんは、大丈夫なのかな?」


(はぁ、疲れた。やっと、エドナと直接話せると思ったら、表に出て話すと体力の消耗しょうもうが激しいなんて)




【アヴァルに街中】


 カチュアとエドナは、街の中に入っていった。


 しばらく、歩いている二人だが、未だに宿屋らしき建物を見つけられていなかった。


「そう言えば、宿屋って、どんな建物なんだろう?」

「どれも一緒ね~。見分けがつかないわ~」

『どういうのか知らないで探していたのかよ!』

「……そー言えば、気のせいかしら~」

「どうしたんですか、カチュアさん?」

「視線が気になるのよ~」

「そう言えば、あたし達、さっきから周りの人達から見られている気がするんだよ」


 それは、通りすがった街の人達が、カチュアとエドナのことを熱い視線で見てきていた。主に斜め下の方を見ていた。


「あたし達に視線を向けてくる人の中には……主に男の人かな? その人達が、笑っている顔しているんだけど、何だか怖いんだよ。それに、なんだか、息が荒くしているんだよ。あたし達が、見慣れないから街の皆さんは、あたし達を見ているのかな?」

「ん~~。……きっと、そーね~」


(見慣れないからって、息を荒らすしながら見る奴がどこにいる? ()()を見ているからだよ。()()を)


「……あ~。そーいえば~」


 カチュアが急に止まった。


「カチュアさん。どうしたんです……」


 コケッ!!


「はわわわわわわわわわ!!!」


 ドーーーーーーン!!!


 若干前に歩いていたエドナが、カチュアがいる方へ顔を向けたら、転んでしまった。


「エドナちゃん、だいじょぶ~?」

「はうう~。頭をぶつかったんだけど大丈夫なんだよ」

『頭にぶつかったって、それ大丈夫って言い切っていいのか?』

「そう言えば、どうしたんですか? 急に止まって」


 エドナは立ち上がった。


「……」

「カチュアさん?」

「あれ? 何だったかしら~。ちょっと、待ててね……」

『忘れるなよ! 聞きたいのがこっちなんだから!』


 五分ぐらい経った頃に。


「あ! 思い出したわ~」


 急にカチュアさんが声を上げたんだよ。


「思い出したんですか? それで、何ですか?」

「エドナちゃんはお金持っているかしら〜?」

「お金って、確か、街で物とか交換する時に使うのですよね? それっぽいものは、あたしは持っていないんだよ」

「わたしも持っていないのよ~。困ったわね~」

「どうしてですか?」

「これでは、宿に泊まれないわ~。宿に泊まるには、お金がないといけないのよ~」

「そう言えば、村長さんから聞いたことがあるんだよ。街では、欲しい物があったら、そのお金というのが必要だって、何千回も聞かせれたんだよ」

『いや、話過ぎだろ!』

「あれ? だとしたら……どういうことなんですか?」


(いや! ここまで、話して事態が分かっていないのかよ! 千回も同じことを聞かされていたのに!)


「そのお金がないから、宿についても、泊まれないわ~」


(珍しく、カチュアが常識的なことを言っているよ)


「そんなー! どうしたらいいんですか?」

「ん〜……。こうなったら〜。野宿しかないわ~」

「えぇぇーーー!! はうう……せっかく、街にいるのに!! これが街の厳しさなんだね」


 これからのことを考えているカチュアとエドナ。すると。


「兄様! やはりルナも付いて行きます! ルナの知識なら役に立つかもしれないですよ」

「危険だから、ルナは留守番だ。これは、ただ街へ行くだけのものではない」


 男女二人の、大きな声が聞こえて来た。

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