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【2025年再投稿版】蒼炎のカチュア  作者: 黒桐涼風
第一章 蒼髪の少女
14/60

1-10 カチュアの剣が折れる原因は?

【ユグルの森の中】


 やっと、先に向かって行ったエドナに追いついた、カチュア。


 一方、カチュアが来るのを待っている間、エドナはというと、何か拾っているみたいだ。


「あ! カチュアさん、遅いんだよ!」

『いや! あんたが走るのが速いんだよ!』


(恐らく、人類最速の速さだよ、あんたの足は! ……知らんけど)


「ごめんね~、遅くなって~」


 先に行くエドナを追いかけてきたカチュア。カチュアはのんびり屋とした性格の裏腹うらはらに、エドナ程ではないが走るのが速い方だ。だけど、それ以上にエドナの走るスピードはカチュアが走っても、距離が全然縮まれなかった。寧ろ、どんどんと二人との距離が離れていった。


(てか、カチュアとエドナは、なんで、あんなに胸が大きいのに速く走れるんだ? この二人、重力じゅうりょくでも操れるのか? おまけに、このデカチチコンビ。コンビという程、付き合いはないか。二人は重い物をぶら下げて、何百メートル以上は速く走っていたのに、まったく、息切れしていないんだよ! そう、重い物をぶら下げているのに! ああ!! あの二人をイライラしてきた!!! ……は冗談として。どうやら、二人はスタミナも異常にある見たいだ。熟練じゅくれんの戦士かですか? ただ者ではないのは確かだ)


「カチュアさんが、来る前に落とした矢を回収しいたんだよ。さっきのデブボアを狩る時に、全部落としちゃったんだよ」


(矢を落としたのか!? 通りで、弓を持っていたのに、矢を入れて置く筒の中が空っぽだったわけだ。この子、かなりのドジっ子か?)


「じゃあ~、始めましょう~」

「はーい、なんだよ!」


 元気よく返事するエドナ。


(二人は狩りを始めるけど、私は見ているだけだ。まあ、二人の狩りをする姿を見るのも悪くないか。ただ、私は森に入る前に気づくべきだった。まぁ、エドナが先に行っちゃったから、カチュアはエドナに追いつくに、精一杯だった。だから、話す暇がなかった。さっき、猪に襲われた時に、カチュアが剣で斬りつける際に「バキーン」と音がした記憶があるんだ。あの時、すぐに背中にある鞘に剣を納めちゃったけど。その「バキーン」と音は壊れる音だと思うんだけど。……まさかね)


『カチュア。ちょっと、いいかな?』

「ん~? どーしたの~?」

『カチュアの武器は?』

「剣よ~」

『使う武器じゃなくって。その……剣はどこにあるの?』

「背中で背負っている鞘に納めわ〜。ほら〜」


 カチュアは鞘に収めていた剣を抜いた。


(あ~。やっぱり……)


『カチュアさん。それはなんですか?』

「何って、剣だわ〜」

『記憶がない私でもわかるよ。けど、剣というのは刃が付いているものだと思ったのですが? そこのところどうですか?』

「え? それが、どーしたの?」


(いや、察して! ここまで、話して、まだ気づかないのか? 鈍感というレベルではないよ! これ)


『カチュアさんは、剣がどんな形をしているか知っていますか?』

「手で持つ先に、斬れる鉄が付いているのよね~」

『刃ね。っで、カチュアさんが持っている剣には、その刃があるんですか?』

「ん〜?」


カチュアは鞘から取り出した剣を眺め始めた。


(……いつまで眺めているんだ? この子は?)


「あれ~~? あらあら~~。刃がないわ〜。いつの間にか壊れてのね〜」

『いや、気づけよ!』


 そう、カチュアの剣には、刃の部分がなかった。


(多分、あの猪を斬りつける時に折れたんだろう。「バキーン」っと、音もしていたし。というか、さすがに気づいてよ)


「わたしは、よく剣を壊しちゃうのよ~?」


(どんな、使い方してたら「よく」が付くほど壊れるんだよ。あと、ハテナの使い方間違っている。こっちが聞きたいわ)


「あの~~。どうしたんですか?」


 ほんの少し先に進んでいたエドナが尋ねた。


「さっき、猪を斬りつけた時に武器が壊れちゃったみたいなの~」

「そうなんですか? ……困ったんだよ」


(『困ったんだよ』って、それだけ? 反応薄はんのううす! 重要でしょ!? なんで、二人揃って、そんなに呑気にいられるの?)


「どうしましょ?」

『いや、武器がないと狩りできないよ』

「エドナちゃん。二人分、武器あるかしら~」

『普通、持っていないよ。使用の違う武器ならかく

「弓はあるんだよ。……だけど、あたしの分しかないんだよ」

「だいじょぶよ〜。わたし、弓は使えないのよ〜。それ以外なら、弓見たいのじゃなければ扱えるわ〜」

『何が大丈夫なんですか?』

「そうなんですか? 大丈夫なら仕方がないんだよ」

『だから、「大丈夫」の使い方が間違ってるから! 解決能力、全く無いよ! この子ら!』


(呑気過ぎる。呆れるほど、呑気過ぎるよ。まあ、慌てても無意味だけど)


『いったん、村かどっかで、武器を調達したほうが……』

「ん? ん~~……それじゃ~日が暮れちゃうよ〜。現地ちょーたつが一番よ〜」

現地調達げんちちょうたつって、その辺に剣なんて落ちているわけないでしょ。戦場の跡地あとちでもないし』

「エドナちゃん。その辺に、武器になりそうな物があるかしら〜?」

「え〜と……この辺には、木の枝しかないんだよ」

『あなた達、狩りしに、来ているのよね? 木の枝って、子供の勇者ごっこじゃないから! 大丈夫なの? この子ら?』


 エドナは、カチュアの武器の代わりになる様な物を探している最中。


「あ!」


 突然、エドナは地面に何も無いのにも関わらず、足を滑らしてしまい、前方へ倒れていた。


(何をやっているんだ! 待てよ。エドナが転んだ先は……)

 

 ドカーーーーーン!!!


 エドナの顔が、目の前にあった樹木に激突した。ぶつかった樹木は、エドナが転んだ方向へ倒れていった。


(いや、生やしている樹木を折るって、マジで!? てか、顔面からぶつかったけど大丈夫なの!? 女の顔が命だよ。顔のパーツは、崩れていないか!?)


「痛いんだよ!!!」


 エドナは顔を押さえて叫んでる。


(痛いだろね。思いきっり、顔面からぶつかったから)


「だいじょぶ~?」

「大丈夫なんだよ。あたし、よく転ぶんだよ!」


(この子も「よく」が付く程、やらかしているみたいだ。カチュアの場合は、剣をよく壊す見たいだしね。現に、今持っている剣も折れているし)


「グリュリュリュリュ!!!」


どこからか、獣らしきうなり声が響き渡った。


「グウォォォォォォォォ!!!」


 草むらから、熊型くまがたの危険種が飛び出してきた。


(デ、デケェェェェェ!! これ熊でいいよね!? 熊だったら、マジでやばい! というよりか。私の知っている熊よりか、デケェよ!! まるで、別の生き物だよ! 図体が私の知っている熊の倍以上の大きさだよ! これ!)


「あらあら~。それらしい気配を感じていたんだけど、やっぱりいたのね~。すごく凶暴な熊さんが~」

『なんか、気づいていたような言い方ね』

「ん? 気づいていたわよ~」

『何で、言わないの!?』

「ん? 狩りに来たよね~? だったら、獲物を探がさないとだわ~」

『頼もしい勘をお持ちで……』

「カチュアさん。あれはギガントベアという、熊型の危険種ですね」


 ギガンドベア。名の通り、家一軒分以上の大きさを誇る熊型の危険種。デブボアを主に捕食対象ほしょくたいしょうにしている。肉弾戦ではまず勝てない。ただし、体が大きいため鈍足。


(あ〜。めっちゃ、やばそうな名前なんですね。ネーミングセンスはさておき。このギガントベアとかいう熊は、名前通り体はでかいし、如何いかにも凶暴なんですけど。冬眠から目を覚ました熊並みに)


「丁度いいかもしれないわ~。お肉多そうだし」

『限度があるでしょ! 何で、そんなに落ち着いているんだよ』


 こんな凶暴そうなギガンドベアと呼ばれる熊を目の前にしても、不思議なことにカチュアは全く動じている様子はない。


すごいですね、カチュアさん。危ないのが来ちゃったのに冷静で」


(呑気なだけだと思うんだけど)


『そんなことを、言ってないで、逃げなさいよ! 逃げる時は、絶対に背中は見せちゃダメだよ!』


(いや、言っといてなんだけど、この対処方法たいしょほうほうは効果あるのか?)


「ん〜。でも、せっかくの大物なのに〜。勿体無いわ〜」

『生きていく中に食料は大事だけど! 命の方が大事だろ! てか、あんたの武器は壊れているだろ! どう対処するんだよ!?』

「それは~……素手で捕らえるつもりだわ~」

『うん、普通に無理だから! 熊の力を舐めすぎだろ! 記憶を失っているけど、何となか、危険を感じるよ! いいから逃げるよ!』

「うーん~~……武器があればいいのね~。……じゃあ~」


 ギガンドベアが、着々と、カチュア達の元へ近づいて来ているにも関わらず、カチュアは下の方を見ながら、首をキョロキョロと左右に動かしている。探し物をするようにも見える。


(はぁ~。吞気すぎるよ~)


「あ〜! 丁度いいものがあったわ〜」


 地面に何かを拾ったようだ。それは、カチュアの手の平よりも、ちょっと大きめの石だった。


『それ、ただの石? それを拾ったところで、どうするの?』

「こうするのよ~」


 カチュアは拾った石を持って、投げる構えを取った。


(あー。あの石を投げて、ぶつけるつもりか。だけど、それで、あのデカい熊を仕留めることは、できないのでは?)


 そして。


「そーーれ~~~」


 カチュアは、石をギガンドベア目掛けて投げつけた。


 手から石が離れた、その瞬間。


 ブッシュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!


 まるで、台風が発生しかのように突風とっぷうが襲い掛かってきた。


(これは、夢でも見ているかしら?)


 それは、カチュアが石を投げた瞬間。強力な突風が吹き出し、石は物凄い速さで飛んでいった。


『てか、どんな力を振り絞って、投げれば、突風を起こせるんだよ!』


 突風はしばらく吹き続けた。


 ようやく突風が収まり、ギガントベアの方を見ると。


『すごい……。胸元に風穴が……』


 ギガントベアの胸元には、カチュアが投げた石くらいの大きさの風穴が空いていた。そのまま、ギガントベアは後ろに倒れていった。


 さらに、石が飛んでいった方向にあった樹木には、カチュアが仕留めた、熊のように風穴が開いたり、石を投げたことによって発生した突風によって樹木が折れて倒れていた。まるで、嵐が去った跡地あとちのように。


(カチュアの投げた石はどこまで飛んだんだ?)


「やったわ~。今日はご馳走ちそうよ~」

「すごいすごーい。……でも」


 エドナはギガンドベアの死骸を見つめていた。


(あれ? うかない顔して、なんか問題が発生したのか? カチュアの捉え方が適切てきせつではなかったのかな?)


「肉がかなり削れているんだよ。食べる部分が減ったんだよ」


(いや、そこかよ! 確かに、食べる部分があるにしたことはないけど)


「このギガントベアはどうしましょうか? かなり大きいから、持ち運べないよ。ここで解体して、持っていくしか……」

「じゃあ~、わたしが、これを運んでいくね~」

 

 カチュアは、自分よりも倍の大きさもあるギガントベアを軽々しくかついた。


(正直、もう驚くことなんてない)


「すごーい! カチュアさんって、力持ちなんですね!」

『あはは……。もしかして、素手でもいけていた?』

「もう~さっきから、そう言ってるでしょ~」


(そうは言っても普通は信じないから。その細腕ほそうでから、あんな怪力を持っているなんて、誰だって疑いたくなるから。というか、カチュアは剣で戦うよりも素手の方がいいような。それに、カチュアが剣をよく壊すと言っていたけど、その原因もなんとなく分かってしまった。さっきの猪を斬りつける時も、力を振りしぼって斬りつけたから剣が壊れたってことか)


「どーする~? このまま帰るのかしら~?」

「ううん! まだ続けるんだよ! 次はあたしが捕らえるんだよ」

「わ~楽しみだわ~」


(まだ継続けいぞくするんだ。このギガントベアだけで、充分だと思うけど。正直、私は見ているだけなんだけど、この二人を見ていると二人よりも先に寿命じゅみょうが尽きそう。そもそも、私って生きているのかしら?)

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