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とうとう我が家にも

作者: ライティングヘッズ

私の家は大変な貧困家庭である。

他の大抵の家には存在するテレビ、冷蔵庫、掃除機、エアコン、洗濯機がなかったのだ。

しかし、テレビに関してはあくまで娯楽の一つに過ぎないし

冷蔵庫も保存のきく食材を買ってきてすぐに調理してしまえば不便は伴うが、生きていけないことはない。

他のものにしたってこちらの忍耐力さえあれば今のところはなんとかなっていた。


ただ、洗濯は大変だった。

洗濯機があったとしても、それを使うのは面倒だというのにそれがないとなるとかなりの負担を強いられる。

まずタライに水を張る。

そして洗濯板に石けんをつけて洗濯物をこすり、汚れを落とす。

これは大変な作業であった。洗濯は私と母の2人がその役割を担っていたのだが、2人に加え父の分ともなるとあまりにも生活の時間を奪われることとなる。しかも汚れは簡単に落ちることはない。石けんでは、いくら擦ったところで汚れの酷い服は袖を通す前の状態に戻ることはなかった。

「せめて、洗濯機さえあれば」というのが私と母のせめてもの願いであり、希望だった。


それは父の耳にも当然届いており、「いつも大変な思いをさせてしまって本当にすまない。洗濯の件に関しては必ずどうにかすると約束しよう。」と言っていた。

「この男は本当にどうにかするのだろうか?」私と母は考えていた。


次の日、父親がまともな生活を送るだけの給料を与えることのない仕事から帰ってくるなり大声で叫んだ。

「朗報だ!」

朗報?果たしてそれはこの状況を好転させるほどのことなのか?

「とうとう我が家にもくるぞ!これからは大変な洗濯をすることもなくなるだろう!」

それを聞いた母は、「本当に!?」と喜びと驚きが混在する悲鳴をあげた。

私はなぜ急に?と疑問を抱いたが、まあいいとしよう、あの忌々しい作業から解放されるとしたらこの際、細かいことはとりあえずのところは気にしない。


「とうとう我が家にもくるぞ!」

「洗濯洗剤が!」





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