星の大きさに気付くのは。
「お星さまが出てる日は、いっつもお空を見てるけどお星さま好き?」
幼い私が、不思議そうに聞く。
するとあなたはクシャっと笑って
あぁ、好きだよ。と答えた。
「何で?」
私が首を傾げるとあなたは、ふふっ、と笑って
「星にはね、私の大切な人がいるんだ。」
と教えてくれた。
今思えば、あなたのシワがよった目は
何光年も先を見ているような目でもあり
何十年も前のことを思い出しているような目をしていた。
「じゃあ大切な人には、お空を飛べないと会えないの?」
幼い私は聞いた。
「いいや、お空を飛べたとしても、人間の命じゃ時間が足りないんだ。(私の名前)がおじいちゃんになるまで飛び続けても会えないぐらいにね。それぐらい遠くにいるんだよ。」
「そっかぁ、じゃあもう会えないの?」
私は、がっかりした。大切な人に会ってみたかったからだ。
「実際には会えないけれどね、ここには、ずっといるんだよ。」
そういって、あなたは胸に手を当てた。
「だから、心の中の大切な人が居なくならないように、こうして星を見てるんだよ。」
やっぱり何処か遠くを見てから、私の方を向き
笑ってあなたは言った。
「いいかい。大切な人や物っていうのはね、側にある時は、大きすぎて眩しくて見えないんだよ。」
「星ぐらい遠くなって初めて、あぁ、あんなに綺麗だったんだって、ずっとそこにあったんだなって大切さに気付くんだよ。」
ほら、あの星だって綺麗だろう?
と、あなたは子供のようにはしゃぎ、星を指差した。
オレンジ色に淡く光る星は、近くに有るようで遠い気もした。
「うん、綺麗だね。」
私がそう言うと
くしゃくしゃの暖かい手で小さな頭を撫でた。
「そうかい、そうかい。(私の名前)は、きっと大きくなっても大丈夫だね。」
読んで下さってありがとうございます。
子供の頃には、分からなかったけど
今なら、言ってる意味が分かる記憶です。