ひとりの時間
夜になって、ひとり、記憶をたぐり寄せて
甘い飴をなめるように思い出す
顔を手で包み込んで、するキスの感触を
唇を触る指からする紫煙の匂い
あなたの名前を何度も呼んで、髪にふれて
待っていたあなたは、わたしのものだと
まるで知らないかのように触れていく
はかなく消えていくその軌跡
どこまでも優しく
後を残すことのない終わらない愛しさを
むさぼって飽くことのない欲深さに
ひたすら我を忘れて
終わりがこないことを願いながら
どうしようもなく苛まれたい渇望から
吐息が漏れる
ここに在ることを夢にみて
もう時が流れたことは
忘れ去られた




