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第259頁 龍でも通れるばりあふりー

「気をつけてねー」


 ルリは適当なところに着陸すると、私たちを下ろすために翼を傾けた。


 乗る時とは違い、降りる時は翼を滑って降りるだけなので楽だ。


「よーし、あと1分も歩けば到着するぞ! さあ、いくのだ!」


 テンションが明らかに上がっているルリは、その方向を指さすと足を高く上げて歩き出した。


 そういえば家を出る前から里帰りしたがってたもんな。


 ルリの友人や親にも挨拶しておかなくちゃね。


「やっぱり雪原地方を抜けると緑が増えるね! 緑が多いと空気が綺麗になるから私好きだな」


「おお、そうかそうか! ここはこの国で一番空気が綺麗と言っても過言じゃないからな! なんたって半龍族の村だ、魔分子が空気中にうようよしてるのだ!」


「ま、ぶんし……?」


「魔分子って言うのは、魔法を使うために必要なエネルギー……って感じかな? 魔分子を身体の中に取り込んで、それを魔力に変えてから初めて魔法が使えるって原理らしいよ」


 魔分子。


 それは魔法を使うためには必須の超極小の粒子的な物体である。と、世界魔法学ナンタラカンタラが定義した。


 わかりやすいのは理科で習った化学分子。


 融合し、分裂する。


 魔分子以上小さくならず、その大きさは一定ではなく属性によって変わる。


 龍が羽ばたいたり、精霊がくしゃみをしたり。


 あるいは龍が死んでエネルギーを放出したり、精霊が死んで分散したり。


 とにかく精霊や龍の生命エネルギーが空気中に出ていって、それが世界に充満しているというわけだ。


「なるほど、魔法使うための粒みたいなものなんだね!」


 ぐっと両手を握って胸の前に。上目遣いでこちらをみるアルトリア。


「半龍族とはいえど、龍は龍。彼らは自身の生命力を代償に、強力な魔法を使用します。当然彼らの周りには魔分子が満ち溢れているはずです」


 六花が自慢の博識で言う。それに、前を進むルリが反応して付け加える。


「補足すると、我ら半龍族の生命力は有限じゃないぞ! 半有限みたいな所はあるが、ちょっと寝たら全回復なのだ!」


 ルリの場合、MPよりHPを使って魔法を使うけど、死ななければちょっと寝れば全回復する……と。


 確かにルリってあんまり長期的な怪我してるところ見たことないな。


 ナイフでちょっと指を切っても、次の日には痕すら残ってなかったような。


「……ってうお!? なんかこの門でかくない!?」


 私は背中を反りながらその巨大な門を見上げた。


「龍でも通れるようにしているのだ。ばりあふりーっていうやつなのだ!」


 さすがはここの育ち。


 そんなことには目もくれず、どんどん奥へ進んでいってしまう。


 アルトリアはフレデリカの服の裾をきゅっと握ると、不安そうに奥へと歩いていった。


 私と六花も4人に続く。


「あれ六花……なんか緊張してる?」


「あはは、バレちゃいました? ……偏見はダメって思ってるんです、でもやっぱり……怖いです」


「大丈夫だって! 半龍族って心優しい人が多いいってルリから聞いたよ? だから大丈夫! それに、ルリの知り合いである私達は敵対されないよ!」


「そうですよね、大丈夫ですよね! さ、ボクたちも行きましょう」


 そして私も、六花に手を引かて奥へと進むのであった。



 ルリ・オリヴィエントの故郷[フローダム]編、開幕!


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