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第239頁 矛盾と炎凍

「まだ足の痺れが取れてませんが、助けに来ましたよ!」


 私は降ってきたフレデリカの大剣をふと見た。


 大剣が、燃えている?


「その剣どうしたの!?」


「やだなあお師匠様、武器の解放は教えたはずですよ? といっても、こんなに燃え盛ったのは初めてですね。いつもは多少熱くなる程度なんですが」


「お前がここにいるってことは、あの二人がやられたと言うことか。まあいいさ! ここでまとめて退場させてやる!」


 カハラは両拳を後ろに溜めて武道の構えをとる。


 さっきまで包丁を使っていたのに、ここに来て拳で戦うのには理由があるのか?


「フレデリカ、私の剣もなんか変なんだよ! 武器の解放をやってみたんだけど、これであってるのかな?」


「この雪景色はそれが原因なんですね。なんだか、故郷に似た景色で非常に気分が悪いです」


「ああそうかい! なら私がさっさと会場へ戻してやるさッ!」


 カハラの攻撃を合図に私とフレデリカは並んで剣を構える。


「オラァ!」

 

 カハラの殴打を剣で受け止め、反撃する。


 腕に傷がついた程度だけど、ゆっくりダメージは入っているはずだ。


「私が出ます!」


 フレデリカが疾風の如く雪原の森を駆けて、離れていたカハラに近づく。


 炎の大剣を握りしめて、急停止した反動で全力で斬りあげる!


「なっ!?」


 が、やはりそううまくいかないのが現実。


 クロエの測り機で大剣の衝撃が全て吸収される。


 それだけじゃない。


 測り機に剣が突き刺さってしまい、握りしめていたフレデリカは一瞬動きが遅れてしまった。


 それをチャンスにカハラはフレデリカに重い一撃を入れる。


「かはッ!! う、おぇ、、」


 嘔吐するフレデリカを庇うように私が前に出る。


 香料強化されたカハラが強すぎる。

 

 それにクロエの測り機も厄介だ。


 カハラを確実に仕留めるにはどうしても重い一撃が必要だ。


 それに限って測り機に全て吸収され、二倍になってカハラの攻撃力が上がってしまう。


 まさに最強の矛と最強の盾。


「こんなところで負けてられない!」


 だったら盾役を先に倒してしまえばいいんだ!

 

 身につけたものを一気に操作して、カハラを追い越してクロエの方へ突撃する。


 測り機はカハラの近くにある。防御するものはもう何もない!

  

 私とクロエの間に、邪魔するものは何もない!


「ここだあああああああ!!」


「きゃあああッ!!」


 私は聖透剣をクロエに突き刺し、完全に起き上がれないように仕留める。


「はぁ、はぁ、これで盾は消えた! あとは矛だけだカハラァ!!」


 私はクロエの身体から聖透剣を抜きあげると、カハラの方へ飛ばす。


「私もこんなところで終われないのさァ!!」


 筋肉を活発化させたカハラは、さっきよりも一層筋肉の山のように大きくなる。


 素手で聖透剣を握り受け止めたカハラは聖透剣をその場に投げ捨てる。


「せやああ!!」


 背後からのフレデリカの不意打ちも、わかっていたかのようにするりと回避し、同時に三発の殴打を入れる。


「フレデリカあああ!!」


「だ、大丈夫です。こう見えて体の硬さには自信があります!」


「フレデリカ、大剣借りるよ!」


 私は投げ捨てられた聖透剣とフレデリカの大剣を操作して、カハラの前で交差させる。


「聖透剣解放・30%!」


 駆動音とともに、一層クリスタルの純度が上がる聖透剣。


 それと対になるように轟々と燃え盛る大剣。


「これで決めるッ!!だあああああああああ!!!!」


 私は鼻血が噴き出ようが、頭がプツンと切れる音がしようがお構いなしで二つの剣を動かしてカハラの体を切り刻んでいく。


 炎の熱気と氷の冷気が入り混じり、周辺の自然達は騒がしく風に揺れる。


「こ、ん、なとこ、ろで、とこ、ろ、で……!!」


「もう頑張ったんだよカハラ、もう負けてよ!」


 力が抜け、私は倒れるように地面に膝をつく。


 それと交代に、フレデリカが飛んできて大剣を回収する。


 着地してすぐに方向転換し、カハラの方へ突進する。


「せやあああ!!」


 ぐさっと、肉がナイフで切られたような音とともにカハラは光の粒になって空へ浮かんでいく。


「おわ、ったの?」


「ええ、終わりましたよ。本当に、疲れましたよ……」


 武器の解放を長時間と、能力をフルに使っていた分、後からの反動が酷い。


 私とフレデリカはその場に倒れ、少しだけ瞼で瞳を覆った。



 とりあえず半分は倒した。


 ルリと六花が無事ならいいのだけれど、、、。


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