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第236頁 起死回生の最中に

 見事、聖透剣の真価を引き出すことが出来た私。


 さっきまでのキーホルダーみたいに小さなものじゃなく、ちゃんとした直剣だ。


「玩具が大きくなっても玩具は玩具さ。さァ、大人しくあんたが集めた食材を置いていきなッ!」


 香料強化でパワーアップしたオカンが前方に二人。


 対してこっちは一人だけ。


 おまけにオカンは一人当たり私と同等かそれ以上の強さときた。


 絶望的な状況だけど、ここはみんなと再開するためにも突破するしかない!


「だから嫌だって、いってるでしょ!!」


 私はオカンの懐に剣を一気に潜らせて、できるだけ早く斬り上げた。


「くッ─────! はは、なんだいなんだい。そんな可愛らしい顔して中々凶暴じゃないか」


 オカンが持った包丁に、剣はしのぎを削った後に吹き飛ばされる。


「この大会じゃ、殺しても本当に死なないからね。今まで抑えてきた、本気の能力を使う良いチャンスじゃん?」


「カハラさん、もう終わらせましょう。本気を出されても困ります」


「ああ、そうだなクロエさん」


 ガハハ、と笑う方がカハラ。後ろでひっそりと立っているのがクロエと言うらしい。


 カハラは本当にジャイアンのオカンみたいな感じで、クロエは古き良き和風旅館の厳しい女将みたいな感じだ。


「「せやぁっ!」」


 瞬間、カハラとクロエは息を揃えてこちら目掛けて駆け出してくる。


 その距離およそ5m。


「くっ、香料強化で速度が上がってる! こうするしかッ!」


 私は能力の使用を最大火力まで引き出した。


 私の能力は[物を浮かせて操作する]。という簡単なもの。


 しかし生物を浮かすことはできない。



 異世界にやってきてもうすぐ半年が経つ。


 これまで私が編み出してきた能力をフルに使えば、彼女らにも対抗できるだろうか。


 とりあえず整理してみよう。



 まず一番使用頻度が高い『単体だけを操作する』という使用法。


 正確に言えば少数に焦点を絞って操作するというものだ。


 不器用な私にとって同時に操作できるのは、2つが限界だ。例に挙げると魔法人形とかだ。

 

 それ以上の数を使用しようとすると、脳が限界で鼻から血が出る。あとは単純にそこまで意識を向けられない。



 二つ目に『周囲のもの全てを無差別に浮かせる』という方法。


 これは異世界にやってきた初期の方にかなり使っていたが、最近はまちまちだ。


 重要なのは無差別、という点。


 範囲技のため、自分はもちろん味方にまで被害が及ぶ。



 それから最近編み出した『身につけたものを無理やり操作して高速移動する』だ。


 これはマーメイド・ラプソディでの六花戦で編み出した技で、回数限度はあるものの、アーベント・デンメルングでのクリュエル戦で重宝した技だ。暴走したクリュエルにも劣らない移動速度で、攻めと回避に使える。



 他にもあるだろうが、とりあえずはこんなものだ。



 そして現状で最も効果があるのは二つ目。


「うわ! じ、地面が盛り上がって.......!」


 私は周囲のものを無差別に浮かす選択をとった。  


「だが、こんなもの魔物退治にはつきものさ! 火属性魔法・着火!」


 カハラの指先から飛び出た火が、空気中に充満した香料に引火してーーー。


「……さ、せるかあああああああ!!!!」


 私は右手を大きく突き上げて、地面から土の大針を浮かび上がらせた。




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