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第151頁 取り扱い注意警報


 フレデリカに次ぎ、ルリもまた癖の強い友達が出来てしまったというわけなのだが。

 確かにさっきのエレメンタル・リベンジは凄かった。驚いた。でも、跡形も無く消してしまう魔法なんて…、私達何のためにここまで来たんだろう。はぁぁ、


「ルリさん凄いですよ!私でもそんな魔法使えませんし、この国でも最上位の魔法使いに匹敵します!」


 と、フレデリカは目を輝かせてルリの魔法がいかに凄いのか説明していた。それに胸を張っているルリに異変が起きていることも知らずに。


「おぅっ、わ、我は…凄いのだ…」


「あれ?ルリさん?おーい!」


 これはあれだな、魔力切れだ。


 この世界の人々は、体内に魔力…マナと言うものを生まれつき持っており、魔分子とマナを混合させて魔法を使うケースが多い。魔分子だけの魔法では核がしっかりしていなかったりと、いろいろ不便なところが出てくるわけだ。

 体内を常に循環しているマナが急激に外に逃げてしまうと、貧血と似た症状が本人を襲う。立ち眩みだったり、めまいだったりだ。


 まぁ、魔力が体内にこれっぽっちもない私にとっては全くの無である。


「あんなに魔力を一気に使ったら、そりゃ異常をきたすよ…。今日のところは引き上げて、明日また来よう?」


「…それもそうですね。焦りは禁物です!」


「くっくっく…我としたことが…こんな小娘におんぶされて…」


 明るく喜ぶフレデリカの言葉の後、すぐにルリが私の背中の上でごにょごにょ言っている。

 私は行動不能になったルリをおんぶして、王都へ引き返すことにした。


「誰が小娘だって?」


「あ、いや。特に悪気があって言ったことじゃなくて…そ、そう!若く見えるなーとかそう思っただけですよ!やだなーもうー」


 こいつ…、厨二っぽい発言するときと素に戻るときがあるんだな。気が抜けると素に戻ってしまうのだろうか?


「キャラ忘れてるよ」


「わ、わーはっはっは!」


 男の娘で厨二病を患っていて…うん、やっぱりキャラ濃いな。



 ・・・・・



「さぁ今日こそは必ず蜂蜜を取りに行くぞー!リーエルの所でバイトもあるから、茶休の刻には戻ってくるように!」


 私は王都北門で声を張り上げた。茶休の刻というのは午後三時辺りの時間表現で、[お茶とお菓子食べる時間]と覚えればそれほど難しくはなかった。


 あれから私達は家に帰り、反省会を行った。ルリが出しゃばってしまったこと、それを止めなかったこと、お香を持っていなかったことなどが意見で挙げられ、今日こそはそれを改善して美味しい蜂蜜を手に入れたい!


「今日は危険日デンジャーデイでもありませんし、お香もちゃんと持ちました。準備万端です!」


「よーし!それではみんな、出発ー!」


 その声に合わせて、ルリ、フレデリカも空に向かった手を挙げた。



 お香の焚き方は魔物でも出来ると言われるほど簡単だ。ハンバーガーほどの立体感のある白い容器の天辺にある小さな押し込み式ボタンを押せば中でお香が焚かれ、匂いが風に乗って充満していくようだ。

 お店の人に聞いたところ、「北の方はハニービーが多いからね。このお香を焚けばすぐに寄ってくるはずだよ。それにしてもお嬢ちゃんたち、みんな可愛いね」とのこと。お香を受け取り、お金だけ支払って猛ダッシュしてきたのは言わずもがなである。


「準備出来ました!それじゃ、焚きますよー!」


 フレデリカの声と共にお香容器の上にある押し込み式ボタンが押され、周りに黄緑の煙が広がってく。


「んー、特に匂いは無い…のか?こんなので魔物がやってくるの?」


「何言ってるんですかぁお師匠様…、こーんないい香りがしれいるのにれすにゃぁ?」


 ふらふら、ふらふらとこちらに近づき、すとんとその場に足を崩して座り込む。

 微妙に頬が赤い気がするが…気のせいと信じよう。それよりもろれつが凄いことになっている。彼女がこうなったときは決まって…


「ルリ、走って逃げるよ!」


「う、うぇえ!?何か来るんですか!?僕運動とか苦手なんですけど!」


「奇遇だね!私もだよ!」


 慌てているルリだが、私はもうすでに離れた所へ全力で走っている。

 それに続いてルリもダッシュする…が、そのすぐ後ろには息を荒げたフレデリカがルリを見ていて…


「ハァ、ハァ…待ってくらさいルリさぁん。私と良いことしませんかー?」


「す、するわけないでしょう!?リカが何だか変なのだー!」


 魔物を引き寄せるお香。それは、オスメス関係なく寄ってこさせる物。

 その仕組みは簡単で、[対象の生物への興奮を与える]…らしい。獣種では糞、昆虫種にはホルモンといった、伝統的な狩りの罠に設置するような成分を配合しているのだとか。


 人間には全く害のないと報告されているが、エルフであるフレデリカには強く効き過ぎてしまったのだろう。

 大丈夫、ルリには効いていないだけでもまだ救いがある。最悪フレデリカを放置して逃げてもいいからな。そう、ルリには…ルリには…あぁ!?!?


「ふぅー、ふぅー、シズ…我はぁ、」


「もうこれ以上言うな!健全じゃなくなる…!」


 変態であるフレデリカと引き換え、ルリはまだ見た目15歳程度。彼の健全さだけは何としてでも守らねば。これはこの中で唯一成人している私にとっての使命であり、義務でもある。


「ちょっと持つよ!」


 私は道に落ちていた木に乗って、急発進させた。ルリは肩に担ぎ、興奮したフレデリカはその場に放置だ。


「お香って人間には効かないけど、エルフとか半龍の種族には効いちゃうんだ…」


「シズぅ、なんだかぼーっとするのだ」


「はいはい、ちょっと待っててよ…。それにしてもどうすれば…。そうだ、リーエルの所に行けば…」


 体重の軽いルリを肩に担ぎ、私は王都内にあるリーエル魔道具専門店へと急いだ。







【あとがき!】


 今回のあとがきはリーエル・アザリアが担当します!

 なにやら次回は私の登場シーンっぽい感じですねー。シズクさんにはドジっ子とか言われているみたいですが、私は元々魔道具の研究のために旅してたんですから!


 とまぁ、胸を張らせていただいたところで次回予告というか、二話、三話ほどの予告です!


 第152頁 題名はまだ決まっていません!


 お香で興奮してしまったルリさんを連れてシズクさんはリーエル魔道具専門店へ目指したのだが…。


「うへぇ、お師匠様ぁ。あれ?あなた誰ですか?え?ぐるるぅ?うーん、人語でおけです」


「おいフレデリカ!酔いから覚めろ!あなたと話してるのは魔物だーーー!!」




 つぎのあとがきは次章の案でも書き出してみます…ってモミジさんが言ってましたよ!

 それでは皆さん、さよなら!


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