表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

244/1423

第117頁 らぶぱわー

六花ママを事件に巻き込ませないため、家から引っ張り出してきた静紅。


商店街でショッピングした後、更に時間を稼ぐために夕食を食べに行った。


「ぷはー!おいしいね!」


「ですねー」


 最近出来たお店が運よくすいていたのでそこに入ってみると、とても美味しかったので普通に嬉しかった。どうしてこんなにおいしいのにお客さんは他にいないんだろう。


 現在の時刻は4時38分。

 難しいことは考えず、ただここで過ごして犯人と鉢合わせしなければいい。

 しかし、一番気がかりなのは犯人が待ち伏せしていないかということ。なので、帰り道も同じなので家まで送ってあげよう。一応家の中もしっかり調べてからが安心できる時間だ。


 はぁ、とりあえず今は計画通りに進んでるな。特に大きなトラブルに巻き込まれることなく進行出来てるから私はラッキーだよ。


「お手洗いにいってもいいかしら」


「うん、いいよ」


 六花ママがトイレで席を立ち、また私とフレデリカの二人きりになる。

 お店の人からこの席は見えず、奥まで歩いてこないと私達の状況は確認できない。

 微かな嫌な予感と、緊迫した空気間。

 緊張で出た汗が頬を伝った時、私は何かを察した。


 私…なんで怖がってるんだ?怖がってる事すら意識無かったけど…、だとしたら、私は何に怯えてる?

 犯人?死?いや、違う。他の誰でもないフレデリカだ。


 一瞬彼女と目が合い、ニコッと笑顔を見せられる。それは、朝の愛情のこもった笑顔でも、友情としての笑顔ではない。


『私は警告したからね~。まぁ、せいぜい苦しみなよ』


 その核心をつく先輩の言葉を聞いて、私はピクリとも動けなくなる。まるで…蛇に睨まれたカエルのような。

 人は圧倒的力の差を感じると息をするのも大変になる、と聞いたことをこのタイミングで思い出した。


「お師匠さ…まッ!!」


「…くぁッ!!」


 フレデリカが先ほど買った包丁を私に向けて刺してくる。

 案の定というべきか意外というべきか。私にとっては勘違いのままで終わってほしかった。


 身を震わせて全身の力を使って、何とか身体が動かせるようになり、この世界では使うことを控えていた能力を使用する。

 包丁を対象にして動きを止めてから数秒、フレデリカが突然嗤い出した。


「あはは、あははは…。止められちゃいました。この一突きで完全に殺すつもりだったのに」


「フレ…デリカ!何を言って…」


 夕影が伸び行く中、私とフレデリカは殺しあう一歩前まで来ている。

 この夕焼けは私にいい景色を見させてくれることはないのか。


「あなたが…あなたが悪いんですよ!!私と結婚しているのにも関わらず、六花さんの事ばかり!もっと私を愛してくださいよ!死んだ人は帰ってこないんです!なのに…なのに…ッ!」


「力強…」


 私の能力よりも強い力でどんどん包丁を突き刺され、刃部が私の胸に近づいてくる。


「胸はやめて…トラウマがあるの」


 後も残っていない傷が疼き、左手で強く握りしめる。


「私はただただあなたが憎いッ…!私に愛情なんか無いのに、流されるだけ流され、過去を引きずって来たんでしょう!?あの人はもう思い出でしかないんですよ!」


 六花が…思い出…?

 その言葉に何かを感じている私に、容赦なく力を強めてこちらに斬りかかってくるフレデリカ。彼女の双眸には…殺意しか浮かんでいない。


『今のフレデリカちゃんには君を殺すことしか望んでいないみたい』


「フレデリカ、話を聞いてよ」


「……」


 私はわざと能力を解除して敵意は無いことをアピールする。

 それに反応したのかフレデリカも凶器をそっと下ろした。


「私はただ、あなたやみんなが死なないようにって…。結構必死だったんだよ。まだ時間は掛かるけど、このままいけば誰も死ななくて済むはずなんだよ。だからお願い…こんな私を許して」


 自然とかつてのフレデリカが走馬灯のようにフラッシュバックする。

「おっししょーさまぁ!えへへー、ぎゅってしてください。ぎゅって!」

「まーたお師匠様こんな所で寝てたんですか?」


 それが終わり、目を開けると彼女は顔を下に向けてかすれた声で言った。


「…すみません。私、気が動転して…。周りが見えていないって怖いですね。あの…ハグをしてくれませんか?」


「それぐらいなら何回でもしてあげるよ。こっち来て」


「…失礼します」


 グサッ。


 一瞬の間に胸に激しい痛みを感じて、思わず咳き込んでしまう。

 ゆっくりと彼女の方を見ると、とても満足したような笑顔で私を見下ろしていた。私と彼女の身長差はあまり感じていなかったが、こうしてみると結構あるもんだ。顔一つ分はある。


 文字通り目と鼻の先で笑う彼女に驚き、後ろに下がろうとしたが痛さでそれどころじゃない。


 完全な不意打ち。本気で安心していた過去の私を恨む。


「フレデリカ…あぅ、ぐっ…」


 無言の彼女は、本当に私を殺せて満足そうな表情をしていた。

 痛さが熱に代わり、吐き気、めまいが私を襲う。

 そう感じていられるのも今だけで、次のまばたきで全ての体力を使い切ってしまいそうだ。


 ホント、ついてないな。わ…たし…。


「アハハハ!!」


 悲しく、辛い笑い声が私の耳について離れなかった。



 ・・・・・



「おーい!起きてくださいお師匠様!!さもないとー?私が襲っちゃいますよ!なんちゃって」


「……」


 なんか、疲れたな。


「本日は1月27日。今日も快晴ですが非常に肌寒い一日になるでしょう」


 テレビから流れてくるニュースキャスターの忙しそうな声が私の目覚めを伝えた。

 頑張っても、踏みにじられちゃったよ。

 どうすればいいの、私。


「お師匠様、泣いてるんで…」


「触らないで!あなたに…繰り返したら記憶をなくすあなたに私の気持ちは分からないよ!」


「…すみません」


 彼女にあたった私は、その場に泣き崩れた。

 訳も分からずただ泣きわめき、それが落ち着いて気が付いたのは夕方ごろだった。



皆さんこんにちは!秋風紅葉です!


突然ですが、私って毎日投稿してるじゃないですか。

[異世界のアレコレ]に説明を追加したら1日分投稿したことになりません??


…よし、時間に余裕があったら第118頁を投稿して、忙しかったら[説明追加]にしよう!


さて、謎多き人物 先輩さんですが、次回は先輩さんの過去について書きたいと思います。

ラストに夕方までカットしたのもそのせいです!


もしよろしければブックマーク、評価お願いします!


さよなら!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ