第85頁 綴られた私の記憶
「また今度海に行こ!」
紗友里と情報共有を終えた私は、家族と合流して王邸を出た。
紗友里が教えてくれた【海辺の花園】
ルースリィスの言葉の中にあった、「花園に来れば分かる」という事と結びつけて、花園で不審な人物を見かけたという報告のあったので、そこに行ってみることにしたのだ。
その不審な人物がルースリィスだとするならば、色々教えてもらわないといけないことがある。
「どうして急に?」
「そこに海辺の花園って場所があるらしいんだよ、それに海で泳ぎたくない?」
「うーむ、確かに泳ぎたいが…、時間あるか?」
「また時間が空いたらにしよ」
「水着買いましょう!!ボク水着持ってないです!」
「私はひとつ持ってますよ!なんなら今ここで…」
「それはやめろ」
海に行くということではしゃいだ私達。
行くことが出来るのはいつになるのやら…。
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あれから1日…。
今日は久しぶりのバイトです。相変わらずリーエルはドジっ子です。本人は平常運転と言っているので、これが彼女の普通なのかな。
家族は家でゴロゴロしてます。仕事探したりしてるのかな?よくあれだけゴロゴロしていて飽きないと思う。
シャンプーを新しく買ってきたので使ってみると、髪に合わなくてキシキシになりました。やっぱりフレデリカの持ってるシャンプーが合うようです。
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あれから2日…。
今日もバイトです。お客さんも徐々に増えてきているから、給料が上がりそうです!骨董屋みたいに、なかなか売れないけどひとつが高いからボンッとお金が入ってくるように、魔道具もなかなか売れないけど高いので儲かるようです。1日4人程のお客さんと世間話をするのは楽しいです。遠くの国から来たことを話すと、この国の地形とかを教えて貰えます。
今日は食事当番だったのでご飯の買い出しをして夕飯の準備をしていると、フレデリカが抱きついてきました。彼女曰く、スキンシップなのだとか。よく分からないです。
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あれから1週間……。
この世界にカレンダーって物がないから、この日記の裏表紙に日にちを書き込んでいます。
今日は週末らしく、バイトが休みでした。
家の掃除でもしようかなと思ったけど、雑巾を動かせば一瞬で綺麗になります。
蜜柑が散らかした物の片付けも蜜柑をシバいて能力を使って箱に戻せば5分で済んでしまいます。
六花は最近何かと忙しいようで、家をよく開けています。心配です。帰ってきたらすぐにお風呂に入るってことは運動系の何かをしてるのかな?
フレデリカは相変わらず大食いなのに太りません。スタイル抜群、運動神経高め、胸スイカ。3神器を兼ね備える天然バカです。
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あれから2週間と3日……。
今日も今日とてアルバイトです。嫌って訳じゃないけど、路地にひっそりと建つ店にはなかなか客足が伸びず、リーエルと魔法の特訓をすることが多いです。
窓拭き、棚の掃除、床の雑巾がけ、魔法の特訓。
これが1日のサイクルです。そのうち7割が魔法の特訓で、自分でもびっくりするほど魔法が使えるようになりました。それでもリーエルの使う紅茶の魔法は使えません。
家族は今日も健康です。何とかは風邪をひかないって言うけど、本当にそうらしいです。あ、六花は別です。
20畳×2階建ての我が家でいつもドタバタしてます。
それにしても、最近会う人がリーエル、蜜柑、六花、結芽子、結芽子、フレデリカの5人しかいない。まぁ最近人と会ったり、知り合いになることが多すぎたからかな。
これからも異世界生活頑張ろっと!
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あれから1ヶ月……。
日本だったら春という訳で、この世界にも春が訪れています。
私が死んだ日…元日から約4ヶ月なので、この世界も4月と考えていいのかな。
お小遣い稼ぎで稀に開催される[家族内魔物討伐大会]で草原に出た時に桜が咲き乱れていたから何だか嬉しくなりました。
財産は無駄使いすることを止めて、食費などで消費した時は消費した分だけその週末に7日間の出費分を魔物で稼ぐことにしたから、お金もちょっとずつ溜まっている。
それにしても、食べ盛り後半の私達5人を賄う食費が、馬鹿にならない。ダイエット…も考えたけど蜜柑は三日坊主で辞めるし、結芽子は隠れてお菓子食べてたしなぁ。フレデリカはダイエット必要ないみたいだけど。六花は私と一緒に頑張ってきたけど、それも昨日終わってしまった。
1日純銀貨1枚、1週間で純銀貨7枚。ステップウルフを50体ぐらい倒せば足りるぐらいかな。最近分かったけど、[ハニービー]って魔物がなかなかにお金になる。
毒針も狩りに使われるし、もちろん蜂蜜は第2の砂糖として重宝される。少し硬めの外殻も燃やす時の燃料になるらしい。1匹純銀貨2枚程のお金になるので、見つけたら率先して倒すようにはしている。
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「ふぅ、今日もこんなもんかな」
あれから毎日日記をつけてきた私。今日も日課のように紙に筆を走らせた後、満月を見て背中を伸ばした。
この世界に来て5回目ぐらいの満月はとても大きく、明るかった。
「うへへ、お師匠様〜」
「なっ…!?って、寝てるのか」
時刻は既に午前1時ぐらい。まだ成人していないフレデリカは寝ていて当たり前だ。
ヨダレを垂らし、枕を私と勘違いしているのか抱きしめている。
「はぁ、全く…。フレデリカさんも寝てたら可愛いんですけどね」
「おっと、それは聞き捨てならないよ。浮気するの〜?」
私は冗談めかして筆で六花を指す。
「そ、そんなことありません!ボクは静紅さんが…」
「私が?」
「静紅さんが好きです」
「よく言えました、こっち来なさい」
「…はい」
今晩は短くて長い夜だった。
あれから1ヶ月。時間ももうすぐ空きそうだから行こっかな…。
海に!!
こんにちは!秋風 紅葉です!
今日は間に合いました(笑)
昨日のうちに書いておく…これ大切ですね!
さてー、次回から多分海編です!まだ王都は出ないと思いますけど。
それではみなさん!これからもよろしくです!




