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第77頁 いくら叫んでも、いくら願っても


 懐かしみと嬉しさの感情を理解出来たカルディナ。

 それでもやっぱりココロの捜索は続けるらしい。


「工場にはありませんね。次は…」


「もしかしたらお店に売ってるんとちゃう?」


「お店…となると商店街か」


 朝に商店街へ行ったばかりだが、ココロの捜索の為なら仕方ない。


 暗い工場を出て、次の目的地は商店街だ。



 ・・・・・



 さすがに街中も街中なので先程のように板を飛ばすわけには行かない。

 私達は歩いて商店街に向かい、到着した。


 雲行きが怪しい。空を見上げると、日光は入ってこないし、それどころか分厚い黒煙が空にくっついて取れないみたいだ。


「商店街ですか」


 カルディナが一歩下がって呟いた。


「どうかしたの?商店街は苦手?」


「苦手…?苦手ってなんですか?」


 あ、そっか。カルディナには苦手も好きも無いんだよね。


「えっと、苦手って言うのはその物がダメ!って自分が思うことだよ」


「なるほど。それなら、私は商店街がダメです、苦手です」


「なんでなん?」


 結芽子がカルディナに聞いた。

 人が多いのが苦手なのだろか、買い物が嫌いなのだろうか。


「博士が持病で倒れた時に誰も助けてくれませんでした」


 カルディナは自身の記憶を私達に話し始めた。



 ・・・・・



「博士、何ですかこれ」


 カルディナは自分の身体をまじまじと見てモニカに聞く。


「私からカルディナへプレゼントだよ!」


「プレゼント…贈り物ですか」


「そうそう!どう?嬉しい?」


 モニカは跳ねながらカルディナに言った。


 カルディナへのプレゼントは、商店街で買ったスチームパンク風の服。

 ボリュームのある肩部やフリルの付いたスカート、頭には小さなハットがある。


 モニカはカルディナが喜ぶように購入したのだが、何も言ってくれない。


「嬉しい?よく分かりません」


 カルディナの返答に気が抜けたモニカだったが、彼女に教えるためにモニカは気合を入れる。


「誰かに何かをしてもらったら嬉しいよね?」


「博士の隣に居れて…嬉しい?」


 意外な言葉に顔を赤く染めたモニカは、軽くカルディナを小突いて咳払い。


「こほん。そ、そういう事だよ…」


 同性、機械。

 それなのに、この気持ちは何だろう。

 カルディナに抱きしめてもらいたい。


「カルディナ」


 モニカは短く言葉を放ち、カルディナに抱きつく。

 自分より身長の高いカルディナを見上げて、笑顔でお願いする。


「だっこーー」


「仕方ありませんね──」



 それから数日後、再び2人は商店街を訪れた。

 しかし、モニカは焦っていたのだ。


「博士、調子はどうですか」


「こほん、こほん、どんどん悪くなってる…」


 このままでは、モニカは病気に体力を蝕まれていく。身体の小さなモニカにそれは致命傷で、最悪死に繋がるかもしれないのだ。


 病名【ニフライド症候群】。

 急な発熱と吐き気が襲う病気。

 生まれつきの病気だが、症状が出るのは不定期。

 有効な解病方法が見つかっておらず、死率9割の難病。


 そんな病気に生まれつきかかっていたモニカ。今朝突然倒れて、商店街に薬草を探しに来たのだ。


「博士、死にますか?」


 ただ聞いただけでなく、心配の心も入っていた気がする。


「私は…死なないよ」


 とは言え、モニカの熱は重症だ。熱を逃がそうと大汗をかき、水分が奪われる。息も荒いので更に危ない状況だ。


「こほん、こほん」


 モニカの咳一つ一つがカルディナの胸を刺激する。


「お願いです、誰か助けてくれませんか」


 カルディナの小さな声は、通行人には届かない。

 もし届いていたとしても機械の少女に耳を貸そうとはしない。


「お願いです、お願いです。博士が死んでしまうんです、誰か、誰か助けて…」


 どれだけ叫んでもどれだけ願っても、通行人には届かない。



 ・・・・・



「だから、私は商店街が苦手です」


「そっか…無理についてこなくても大丈夫だからね?」


 カルディナの過去を知った私は、無理して商店街に入ることは無いと考えてここに残るように伝えた。


「いえ、私も行きます。シズクとユメコと居れば、感情が増えていく気がするんです」


「そっか、なら行くよ!結芽子、カルディナ!」


 と言って来たものの、朝に見回った時もハート型の物なんて無かったし、ここ2ヶ月見た事がない。

 お店の人に聞いても、「いやぁ、知らないねぇ」と口々に言う。


 それでもココロの捜索は諦めず、続ける。

 カルディナは人一倍張り切ってココロを探す。


「あかん、無いでやっぱり…」


 結芽子は諦めたように項垂れてこちらに寄ってきた。

 確かに、見つけたどころか存在する気配もない。


「カルディナ、次ありそうな場所は?」


「湯けむりの滝ですかね。そこは博士が隠したお宝が眠っているらしいので、もしかしたらそこにあるかもしれません」


 ココロがお宝に埋もれているかもしれないという無茶にツッコミを入れようとしたが、カルディナの表情を見ればその気も失せる。


 先程まで真顔だったカルディナは、私には焦っているように見えたのだ。



 ・・・・・



「来てみたけど、凄い場所だね」


 岩山から溢れ出す熱湯は滝ほどの勢いで、その下には天然の温泉が溜まっている。

 湯気が立ち、その名前に則った景色と言えるだろう。


【湯けむりの滝】ここが新しい捜索場所だ。

こんにちは!秋風 紅葉です!



さてさて、モニカの病気大変ですね…。

病気と言えば皆さん元気お過ごしでしょうか。私は学校が休みになっているので暇です。

お身体に気をつけて、手洗いうがいを心がけましょう。


今日もお仕事も皆さん、お疲れ様です。


今日も一日頑張りましょう!!



それでは次回もよろしくお願いします!




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