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第72-2頁 狂気の笑い

盗賊団基地破壊作戦を成功させた静紅達。


【巨大鍾乳洞】を抜けて、静紅の視界に広がったのは砂漠地帯!!


新たな舞台で織り成す静紅達の異世界旅行記の行く末や如何に……!



 ・・・・・



 砂漠を抜けると、クラ=スプリングスまでもうすぐだ。

 国道・南東道は短い道なので、2日で到着出来た。



 しかし、到着した頃は既に夜だった。

 それもこの街の綺麗さを伝えるひとつの要因だったのかもしれないが。


 石レンガの道にイギリス風の建物、工場と思われる建物の煙突からは煙がもくもくと出て、ランプの街灯が建ち並び、月光がその街に差し込む様子は言葉にし難いほど美しい。


「これ…デート出来たら最高だろうなぁ」


「おっと静紅さん。ボクの前でそれを言っちゃいますか」

「おっとお師匠様。私の前でそれを言っちゃいますか」


 こいつら…!


「蜜柑蜜柑、温泉の場所分かった?」


 街の案内板を眺める蜜柑と結芽子に尋ねたが、返事はあまり良くないらしい。


「わっかんねぇ!何だこの複雑な構図!住んでる奴も分かんねぇだろ!」


「まぁまぁそんな怒らんと。街の人に聞いたら分かるやろ」


 周りを見ると、確かに通りすがりの人が何人かいる。


「あの、ごめんな。温泉に入れる宿屋ってどこにあるん?」


「え、なんで急に謝るんですか?なんですか、慰謝料でも取るんですか」


「……」


 関西弁で話しかけられた女性は質問を質問で返す。

 結芽子は思いがけない返しに、石のように硬直してしまった。


 不審者でも見たかのような目をして、話しかけられた女性は足早に家の方に入っていった。


「…静紅ちゃん。私な、コミニュケーションには自信があったんや」


「お、おう…」


「やのに…酷い目で見られてもた。私、これからどうすればええんや…」


「ど、どんまい…」


 私と結芽子の会話を見ていた蜜柑は、


「よし!んじゃ俺が出る!」


 自信満々の蜜柑。頑張って!


「あの…すみません。お姉さん、街を尋ねたいんですけど」


 蜜柑が声をかけたのは気弱そうな女性だ。こんな人なら、さっきの結芽子みたいに逃げられることは無いだろう。


「俺、男なんだけど」


「………」


 ま、まさかの…まさかの…


「うわぁっはーん!!しずくぅ!あいつ、あいつ男だったんだけど!」


 情けなく泣くな。キャラがおかしいぞ蜜柑。


「えっと…どんまい」


「……」


 道の端で2人の大の大人が頭を抱えて座り込む様子を冷めた目で見ていると、今度は六花が声を上げた。


「それなら、ボクが行きましょう!!静紅さん、見ていてください!」


 なんか嫌な予感がするけどこの際仕方ない!

 頑張って六花!!


「すみません。道をお尋ねしたいんですけ……ど…」


 六花が顔を青く染めて見上げる人物は、ムキムキのスキンヘッドの男性だった。


「ん?おぉ!クリス、クリスじゃねぇか!おい、今まで何してたんだよー、5年前お前がいなくなって困ってたんだからなぁ」


「え、ちょっ、ま。く、クリスって誰ですか!?クリス…クリス!?えぇ!?」


 まずい!六花が別人に間違われて誘拐されようとしている!!


「ん?あれ、お前クリスじゃねえな。ありゃ、人違いしてたみたいだ。すまねぇな嬢ちゃん」


「………」


 六花を道の真ん中に置いて、男はどこかへ行ってしまった。


「し、静紅さん…えっと、その…スミマセン」


「ど、どんまい…」


 さてさて、落ち込む人物が3人に増えてしまった…。どうしたものか。


「コミニュケーション……コミニュケーション……」

「おとこの娘……オトコの娘……おとこの娘…」

「誘拐…誘拐……夜、怖い…」


 うわぁ、これは完全にトラウマ植え付けられてるわ。


「お師匠様!今度は私が頑張ります!」


「嫌な予感しかないけどがんばって!」


 金髪のエルフとなれば、私達人間とは違って何か特別なことをするかもしれない。そう踏んだ私は彼女を行かせた。


「ねぇ君。私に道案内をしてくれない?」


 フレデリカが話しかけたのは背が小さめな少女!!


「お姉ちゃん…胸デカイ、身長高い…うぅ、うわぁぁぁん!!」


 少女が大声で泣き出した!!

 大声の少女が高身長の女性に泣かされているように感じた街の人は、


「お、おいおい、あれルーリーの娘じゃね?」「なんで泣いてるの?」「あのエルフだ、あのエルフが泣かせたんだ!」


「い、いえ、私は何も…!」


「お姉ちゃんが…私を泣かしたの!」


 この少女極悪だぁ!?

 これでフレデリカと少女の優劣は目に見えるほどフレデリカが悪いように見えるかもしれない。


「エルフだー!」「あいつが小さい子を泣かしたぞー」


「い、いえ…私は……私は…ぐすん…」


「も、もういいから!とりあえずフレデリカ戻ってこい!!」


 私はフレデリカを呼び戻して、家族で集まる。

 結芽子、蜜柑、六花、フレデリカが精神的にやられてる…。


 ここは私が行くしか…、よし、行こう。大丈夫、自然体なら行ける!


「あのー、すみませーん」


「ふふ、静紅さんから声をかけてくださるなんて嬉しいですね!」


 私の身体に電流が走り、冷や汗が溢れ出す。


「あ…あぁ…いや、人違──」


「良いです、良いですねぇ。人が恐怖で満たされた時の表情…最高ですぅ、ふふ」


 薄い水色の髪、右は紫、左は赤の瞳。黒いフードで顔を隠しているが、彼女と私は出会ったことのある。


 狂気に満ちた笑み、特徴的な話し方。


 キノコタンの森でサイクロプスを生み出した少女ルースリィス。


「あら?何黙っちゃってるんですか」


「なんで…ここに居るの。ルースリィス!!」


「ふふ、内部の様子の観察ですよ。たまにこうして入ってきているんです」


「内部…?入ってきた?どういう意味なの!」


 夜の工業の街に現れた1人の少女。


 私の鼓動は加速して、息が荒れる。視界が歪み、気が動転している。


 突風が吹いて、私が目を閉じた一瞬の隙に少女はどこかへ行ってしまう。


「質問に答えて!どこに行ったの!」


「そこに居ますよ。私はいつも静紅さんの近くにいますが、どこにもいない。私から見えても、あなたからは見えない。あなたがどれだけ叫んでも、私には届かないし、あなたにも届かない」


「何を言って…!!」


 私の言葉が終わるよりも先に、ルースリィスは次々に話す。


「ふふ、直に分かりますよ。あなたがあの花園に来ることができたら、ですがね」


「花園…、」


「質問はなんでしたっけ?」


「とぼけないで!内部ってどういうことなの!」


「ふふ、内緒です。それでは静紅さん、私は忙しいのでもう行きますね」


「待って!ルースリィス!!」


 私の声は虚しく響き、その呼び掛けに応答は無かった…。



 ・・・・・



 お師匠様が叫んでる。心拍数が高い。

 ルースリィス…キノコタンの森で出会った少女か。

 内部…、やっぱりお師匠様とリッカさんの夢と繋がっている。


 この世界は現実では…無いのか?

 プログラムとは、コンピュータと言う機械の中に入れられた何か。

 魔物はそのプログラムで構成されていて、ルースリィスを含めた4人の成れの果てが生み出したもの。

 謎の花園…【コントロールルーム】。場所は分からないが、この世界のどこかに入口があるはずだ。ルースリィスが来れたのなら、こちら側からも行けるはず。


 ルースリィスが言った「フレデリカさんのデータも採取できた」という言葉。

 データと言うのが何か分からないが、プログラムに繋がる何かのはず。

 私から取れるデータ…、

 私は、プログラム…?私は…何者なのだろう。


 お師匠様達から香る謎の匂い。

 お師匠様、六花さん、蜜柑さん、結芽子さん、紗友里様…そして、リーエル・アザリアという人物に共通する匂い。


 もしこの世界がプログラムとやらで作られた幻想なら…。偽りの人格や生物なら…。

 お師匠様はその世界にやってきた人物なのだとすれば……。



 お師匠様は……何者?




 私は……何なのだろう。

こんにちは!秋風 紅葉です!



いやいやいやいやいや、急展開過ぎませんか私!


フレデリカどうなるんだろ……。なんか一気にクライマックス感でてるんですけど、まだまだ続きますからね!第20章は行きたいですし、それぐらいまで考えてますよ!


物語の進行にフレデリカは大変重要な役割を持ちます。

注目していてください、



それでは皆さん、これからもよろしくです!

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