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第62頁 小さな身体に大きな魔法

六花達と行動を別にし、ルカとルナと一緒にリーエル魔道具専門店へ向かった静紅達。

そこではリーエルが魔法札(スペルカード)について悩んでいた。


聞きなれないスペルカードという単語に首を傾げ、静紅達は試しに使うために別の場所に移動する……


「それじゃ、ここに魔法札(スペルカード)を置くので、それに向かって魔法を撃ってください!出来るだけ大きな魔法の方が魔法札(スペルカード)の吸収量が上がりますので」


 リーエルが草原の中で目立つ岩の上に魔法札(スペルカード)を置いた。

 リーエル魔道具専門店から一番近い門、

[王都北門]。そこから王都の外に出て、ルカとルナに魔法札(スペルカード)の凄さを教えに来ている。


「ルカ〜ルナ〜頑張ってね」


 小腹がすいたので私の好物の[マゴの実]を干したものを食べながら、ルカとルナを応援する。

 マゴの実は、味も色もマンゴーっぽくて美味しい。

 甘さも充分あって、この世界では砂糖の代わりになることもあるらしい。


 うん!うまうま♪


「頑張るの!」

「頑張る…」


 ルカは大きく手を挙げてアピール、ルナはこくりと頷いて私の応援に手を振った。


 双子は恋人のように手を繋ぎ、ルカは右、ルナは左手を上げる。

 それぞれ別色の瞳を閉じ、深呼吸する。

 途端、彼女らの足元に強い蒼の光が生まれ、辺りに澄んだ空気が満ちる。


「これは…水魔分子がルカさんとルナさんの足元から出てきて…いや、生まれてます!」


 リーエルが私の隣で驚いたように言った。

 その声に私も残りのマゴの実を一口で食べて飲み込む。


「魔分子って精霊の死骸から生まれるんじゃないの?」


「主に精霊の死骸ですが、レアケースとして龍の涙などからでも大量の魔分子は生成されます!」


 となると、そのどちらでもないルカとルナはどうやって魔分子を作っているの……?


「黄彩の瞳、翠空の瞳の名において」

「我が身に宿る…力を解放させよ」

「2つの小さな生命に」

「我が肉親は…力を授けん」

「この世界の生命は」

「我と…共にあらず」

「「契約により、我に力を与えよ」」


 息の合った2人の詠唱後、ルカとルナの周りに強風と微かな熱が発生し、空気中の水分が先程よりもかなり増えた気がした。


「「水属性魔法・流水龍(ヨルムンガンド)」」


 名前が結構厨二成分豊富だね!?まぁあの2人のセリフだから特に問題は無いけど。


 魔法を唱えたルカとルナの正面に水の円盤が生まれ、そこから数々の龍を模した、水で作られた水線が飛び出す。

 水線は水線でも、私の水線(ウォーターライン)とはレベルが違う。

 威力も太さも速さも格上で、水線一つ一つに意識があるかのように空へ舞っていく。


 空へ昇った龍はやがて収集し、1匹の龍へ変化する。


「「はぁぁぁぁ!!」」


 2人の気合いと共に手は振り下ろされ、それに反応した龍は魔法札(スペルカード)が置かれた岩に落ちていく。


 ……ッ!!


 無言の水龍は牙のビッシリ生えた口を開けて、魔法札を飲み込むように地面に墜ちた。


 刹那、魔法札(スペルカード)の効果が発動して、案の定水龍は魔法札に吸い込まれて消えてしまった。


 凄い…、魔法札もルカルナの魔法も。


 魔法も能力も無い世界から転移した私にとって、先程起きた現象は信じられないような事だった。


「OKですか〜?」


 そう言いながらリーエルは魔法札を回収するために立ち上がり、ルカとルナの方へ歩いていく。


「おっけー?もう魔法は終わったの!」


 ルカのその声にルナもコクリと頷く。

 リーエルはそれを確認して、魔法札(スペルカード)を拾って成功しているか確かめる。


「それじゃ、使いますね」


 リーエルが魔法札を丸めて、空へ投げる。

 すると、先程の水龍が魔法札から出現して、空高く昇って行った。

 やがて雲にぶつかって、この草原に大雨を降らせたのは、これより後のことだ。


「なるほど…その紙に強い魔法吸収力を付けて、それを保存する……興味深い」

「すごいのすごいの!気になるの!!」


「でしょ?どうですか?ルカさんとルナさん」


「王都近衛騎士団に導入すればかなり効率が上がる…。ぜひ製造に協力させてもらいたい」


「ほんとですか!?ありがとうございますっ!」


 リーエルはルナの手を取って、今まで見せたことの無いほどの笑顔を浮かべて喜んだ。


 あぁ、今私は商売の成功を目の当たりにしてるんだ…。良かったね、リーエル!



 ・・・・・



 その後、リーエルの手持ちの魔法札(スペルカード)3枚と私の持っていた金貨3枚を交換して魔法札を手に入れた。


「ルカ、ルナ?ちょっとお願いがあるんだけど…いいかな?」


「なぁにシズクさん?」

「あなたの要望なら…できる限りの事はする」


 振り返るルカとルナに3枚の魔法札(スペルカード)を見せて言った。


「この3枚にさ、あなた達の魔法を吸収させたいんだけど…」


「別にいいなの!」

「問題無い…」


 よっしゃーー!!これでルカとルナが居なくても強い魔法が撃てる!



 そんなこんなで、ルカとルナには

【流水龍】

【火柱】

【世界樹の祈り】

 と言う3つの魔法をこの魔法札(スペルカード)に撃ってもらった。


 ルカとルナには借りが出来ちゃったなぁ。

 なんて考えながらもう一度魔法の内容を確認する。

【流水龍】はさっきの水龍の魔法で、

【火柱】はキノコタンの森で雪像に向かって使った魔法、

【世界樹の祈り】は…、


「ね、世界樹の祈りって何?」


 私はルナに質問する。

 ちなみに、ルカはリーエルと蝶を追いかけている。ルカはともかく、リーエルは精神年齢いくつなのだろう…。不安になる…。


「世界樹の祈りは、簡単に言えば…上級治癒魔法。エリクサーや世界樹の蕾と近い効果が得られる…ルナは人を癒せるから、この魔法が好き」


「そっか、ルナは優しんだね!」


「や、優しくなんかない…。人に優しくしても見返りがなければ意味が無い。人を癒して、その人が笑顔になるところがルナは見たいだけ…」


 私の言葉にもじもじと照れるルナ。優しいと言われるのが恥ずかしいのが、彼女にしては大きな声で言い訳をした。


 はい可愛い。どうしよ、養子に貰おうかな。うん、また紗友里に相談してみるか。


 少し離れたところで、岩で足を引っ掛けてリーエルが転倒し、大泣きしながらルカに治癒魔法をかけられていた所は見たくなかったけど。


「さて、そろそろ帰ろっか!」


 現在の時刻、黄昏の刻。前世の時間で言うと、17時ぐらいかな。


 地平線の彼方に沈みゆく太陽を背に、親子のように私はルカとルナの手を握って王都へ戻った。


 こう見たら、私がお母さんで2人が娘に見えるのかな…。

 うん、マジで養子に貰おうかな。


 心からそう思った私なのであった。




こんにちは!秋風 紅葉です!


今回は寝起きに書いたのでテンション高めというか、元気いっぱいのはず!(笑)


さて、伏線をはりはりしてますよ!はりはり!最近、伏線の張形を学びまして、試しに使ってみてます。

それはもう、スパイ用のセンサーのように。はたまた、雨で破れた蜘蛛の巣ぐらいにたくさん!嘘、ごめんなさい。嘘つきましたね。そこまで多くないです!2つ……1つ…ぐらい?



それでは皆さん!ブックマークや感想お待ちしております!


あ、昨日のPVが555でした!ゾロ目……!と言うより、500を超えるとは思ってなかったのでめっちゃ嬉しいです!

これからもよろしくお願いします!


眠たいのでそろそろ寝たいと思います(笑)

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