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第59-1頁 Re:エンカウント

お小遣い稼ぎを兼ねた準備運動中、私たちの目の前に現れたのは…


「結芽子が何かするようですよ!」


『タイトル見たらわかると思うけど…(笑)』

 ぴしゃあああああ!!!


 私の目の前に現れたのは、かつて私と六花を半泣きにさせたステップセンチピーサーだ。

 いや、泣いたわ。


「え、うそうそうそうそ!あんな大きい魔物なんか存在していいのかよ!」


「ミカンさん。センチピーサーは魔物の中でも上から数えて10匹目ぐらいの大きさですよ!まだまだ大きいのはいます!」


 フレデリカはどうしてそんなに冷静なんだよ!そしてセンチピーサーより大きい魔物とか考えたくない!


「そ、そんなことより早く逃げましょうよ!」


 そうそう、六花の言う通り早く逃げ…。


「さぁ!これを狩りましょう!狩れば大金持ちですよっ!」


 あっれー!?ちょっとフレデリカさん?死ぬよ?あんなのに突進されたら流石に死ぬから!


 ステップセンチピーサーは土を抉りながらこちらに近づいてくる。

 光沢のある戦車の装甲にも似た堅い外殻が、更に私達を恐怖させる。


「ふ、フレデリカちゃんと言う通りや…、これ狩ったら大金持ちやで!そんなんやるしかないやろ!」


 毒、火炎、雷の瓶を取り出した結芽子は、センチピーサーの突進に備えるように岩の後ろに隠れる。


「お、おい結芽子!あんなのに勝てるわけないだろ!?」


「せやたら蜜柑ちゃんだけ見とったらええやんけ!その代わり報酬は無しな!」


「報酬無し!?……。しゃーねーなぁ!」


 そう言って、今度は蜜柑も魔法銃(スペルチョーカー)を構えて戦闘準備をする。


「どうしますか?静紅さん」


「はぁ、家族が戦ってるのに逃げれるわけないしね…」


 ここは私も勇気を出すよ!

 これを倒して大金持ちだ!



 ぴしゃぁぁあ!!


 

 ・・・・・



「まず作戦だな。どうする?」


 遠くで地面を泳ぐように動き回っているセンチピーサーを見て、蜜柑は言った。

 5人で岩の後ろに隠れて窮屈だが、この際仕方が無い。


 あれ程の巨大魔物(ハイモンスター)の討伐にはしっかりとした作戦が必要だ。

 まずはセンチピーサーの弱点を確認しないと。


「六花、観てくれる?」


 前に遭遇した時は熟練度が低くて、名前と説明文しか見れなかったが、今は違う。


 ・名前

 ・説明文

 ・弱点部位

 ・弱点属性

 ・戦力


 前まで、【自分との力の差】しか見れなかったのだが、今では【戦力】として正確な数値で表される。


 これらの情報が六花の脳に一気に送られる。


「はい、

 名前はセンチピーサー。

 説明は省きますね。

 弱点は顔部、脚部。

 弱点属性は無し!?

 戦力は…98です」



 ちなみに、私達の戦力を表にすると、


 私の戦力が21

 六花が24

 蜜柑が17

 結芽子が19

 フレデリカが43


 だ。フレデリカだけ飛び抜けて戦力が高いが、元王都近衛騎士団なので納得はできる。


 戦力というのは持っている魔道具や武器の強さも関係してくるようで、

 魔法人形(ドール)を持った私と、持っていない私では10も戦力が変わってくる。



 そして、センチピーサーの戦力は98と言ったか。キノコタンの森で戦ったサイクロプス並じゃん。


 センチピーサーさん、手加減できません…?ダメですよね。


「よし、出来た」


 私が考え事をしている間にも、地面に何かを書いていた蜜柑。

 恐らく今から私たちが実行する作戦だ。


「まず俺がセンチピーサーの注意を向ける。大丈夫、遠くから撃つから、俺が食われる前にお前らが倒してくれたら良いだけだ!」


「責任重大ですね…」


「センチピーサーの気が俺に向いたら、六花は待機している場所から電磁砲を撃ってくれ」


「電磁砲ですか…。出来ますかね、また腕が壊れそうで怖いです」


「頑張って、六花ちゃん」


 ここは作戦通りに行きたいので、六花には頑張ってもらわなければならない。

 私だって出来れば使わせてあげたくないのだが、生きるか死ぬかの状態でそんなことを言ってられない。


「電磁砲を弱点部位の頭部に当てて、フレデリカの聖光(ルミナス)を使ってアイツを怯ませる。後は滅多打ちだ!」


 最後雑だけど、作戦は整った!


「よし、それじゃみんな!ひと狩りいこうぜ!!」


「「「おー!!」」」



 ・・・・・







 現在私たちは、国道・西道付近の平野に魔物討伐に来ている。

 王都周辺は整地されて緑の生い茂る草原が続く。

 そんなこともあって、目の前のセンチピーサーがよく見えるのだが。


 どぉぉおん!


 蜜柑の魔物銃(スペルチョーカー)の銃声が平野に響く。

 蜜柑とセンチピーサーとの距離は100メートル程。

 100メートル先の標的に上手く弾を命中させた蜜柑は、すぐに方向転換をして走り出した!


「急げ〜蜜柑」


 私は全力で草原を駆け抜ける蜜柑を見て、煽るように応援する。


「し、静紅!お前も走れ!」


「なんでだよ!囮は蜜柑だけでしょ!」


 蜜柑との会話を済ませ、六花の方に視線を向ける。


「すぅ…聖属性魔法・電磁砲っ!!」


 六花の指鉄砲の先から太い光の筋が放たれる。

 轟音と共に眩い光が煌めいて、センチピーサーの頭部に命中!


「フレデリカ!」


「はい!」


 電磁砲命中によって怯んだセンチピーサーに、間髪入れずにフレデリカの聖光(ルミナス)を使ってセンチピーサーの目を潰す…


 ぐしやぁぁぁーー!!


 聖光で視界を塞ぐ作戦だったのだが、


「き、聞いてないけど…」


「あ、昆虫種って聖光効かなかった気が…てへぺろ!」


「て、てへぺろじゃねー!!!」


 私の言葉にフレデリカが答え、それに蜜柑はツッコミを入れる。

 電磁砲は命中したものの、聖光で怯ませないと近づくことは出来ない。


「ここは私達が出るで、静紅ちゃん!」


 そう言いながら私の肩を叩いたのは瓶を持った結芽子だ。

 幼なじみなので、だいたい分かるが、この表情は何か作戦があるらしい。


 ここは結芽子に賭けよう!!


「よし!行くよ、結芽子!」



 ・・・・・



「って、作戦やけど、行けそう??」


「うん、大丈夫。後は魔道具に全て任せるだけだね」


 頭部の外殻にヒビが入ったセンチピーサーを遠くに見据え、多分安全地帯と思われる岩陰で作戦の整理をした私と結芽子。

 ハイタッチをして岩陰から出て、ドーンと構える。


「蜜柑ちゃん!もっかい撃ってくれへん?」


「おうよ!」


 結芽子の呼び掛け後、魔法銃(スペルチョーカー)の銃弾がセンチピーサーへ飛んでいった。


 ぴしゃぁぁあ!


 被弾したセンチピーサーは、発砲元を突き止めてこちらに突進してくる。


「今や、静紅ちゃん!」



『──静紅ちゃんのその人形。作りみる限り、かなりのパワーが出せると思うねん。

 壊れへんわりに伸縮性が高い、関節が至る所に作られてて、筋肉みたいなゴムもあった。

 ってことはやで?

 静紅ちゃんの能力で強制的に動かしたら、センチピーサーなんか軽々持ち上がるんちゃうかな?』


 私は魔法人形(ドール)を能力の対象にして、タイミングを見る。


 センチピーサーの移動方法は、飛んで地面に潜って、飛んで地面に潜って、の繰り返しだ。

 例えるなら、トビウオみたいな感じ。

 だから、飛んでいる時に下から強い力で押すと、びっくりして地面から全身が飛び出るかもしれないという作戦だ。


「今…だー!!」


 私が思いっきり力を込めて、拳を空へ突き上げると、人形もリンクして盾を上に突き上げた。


 人形の盾が触れた部分は外殻が剥げ落ち、センチピーサーの全身は地面から強制的に弾き出される!


「ついでにもう1発!」


 まだ何もしていない長槍持ちの人形を対象に加え、打ち上がったセンチピーサー目掛けて空へ飛ばす。

 人形の長槍の命中範囲にセンチピーサーが入ったところで人形に長槍を構えさせる。


「おっりゃー!!」


 落下していくセンチピーサーとのタイミングを見て、その大きな目に長槍を突き刺す!

 切れ味抜群の長槍は、外殻を貫通して額の方まで切込みを入れた。


 ぴぎゃーー!!!


 痛みに耐えかねたのか、センチピーサーは凄まじい高音の咆哮を出しながら、地面に真っ逆さまに墜落した。


 地響きと土煙で体勢が安定しない中、今度は結芽子の出番になる。


「人間の恐ろしさ…今ここで知らしめたるわ!!」


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