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第54-2頁 発明品のあなたと君


「小鳥です」


「え?」


「小鳥です」



「こ、小鳥…?リヴァイアサンとかバハムートとかベヒーモスとか…、そう言うのじゃないの?」


「り、リヴァイアサンなんて私の魔力を全て使っても呼び出せませんよ…バハムートなんて国中の魔法使いが揃っても不可能です」


 リーエルがこれなら、双子メイドのルカとルナにも無理なのだろうか…。などと考えながら、念願の召喚獣が小鳥という事実を受け止めた。


「小鳥かぁ…召喚獣は無しかな」


「そうですか…残念です」


 しょんぼりするリーエルに、私は自分の武器イメージを伝えた。


「私の能力は、手で触れなくても物が動かせる感じなんだよ。だから、出来るだけ堅くて大きな物が良いかな」


 キノコタン・ナイフも悪くは無かったのだが、小さすぎて不器用な私には扱いが難しかったのだ。

 となれば、鉄板壁(アイアンボード)のような分厚い大きな盾を振り回して敵にぶつけるスタイルで行くべきだ。


「堅くて大きな…それだったらやっぱり鉄板壁が適正なんですよね」


 鉄板壁はリーエルが割ってしまったので修理に出した。

 どうした物か…。


「大きくは無いですが、堅くて強い物はありますよ!」


「と言いますと?」


 そう言うとリーエルは店の奥へ入っていき、二つの人形?を持ってきた。


「この子の名前は魔法人形(ドール)

 最近開発した魔道具で、魔法の練習台用に作った物なんですが、シズクさんの能力なら武器としても使えるはずです」


 可愛らしい2つの手乗りサイズの魔法人形(ドール)

 1つはロングヘアで、もう1つはショートヘアだ。それぞれ、盾役と矛役と分けられており、ロングちゃんが盾。ショートくんが長槍を持っている。


「おおおお!!こ、これは…私の趣味にベストマッチだよリーエル!!」


 興奮した私は、目を輝かせて魔法人形をまじまじと見る。

 金の糸で縫われた髪や、鮮やかな黄緑の服が美しい…。

 人形用の武器も、小さくて可愛い!目もデフォルメと呼ばれるちびキャラっぽくて、小さな人形の顔には違和感がない。


「魔力を蓄えた蚕から採れた糸を編み合わせた人形ですが、どうですか?」


「最高だよ!これ下さい!!」


 この人形で、今のテンションはハイだ。

 魔法人形(ドール)には、他にも[物理衝撃吸収]やら[魔法衝撃吸収]、持っている小さな武器にまで様々な強化系魔法が掛けられているらしい。


 果たしてこの子達の金額は……。


「金貨3枚になります!」


 金貨3枚…つまり、約3万円分だ。このクオリティで3万円なら安いものだ。

 私は、悩む時間も取らずにカウンターへ持って行った。


 蜜柑は、魔法銃(スペルチョーカー)

 私は、魔法人形(ドール)

 フレデリカは、大剣。


 あとは、結芽子と六花の武器だ。

 六花は電磁砲が使えるのだが、それでもあれは諸刃の剣で、それ以外にも攻撃手段は欲しいところ。

 結芽子は、武器はおろか、魔法の使い方も知らないので何か良い魔道具はないだろうか。



「ん?リーエル、この瓶は何?」


 棚に綺麗に並べられた小瓶達を指さし、私はリーエルに尋ねる。

 毒のような紫やマグマのような赤、雷のような黄や水のような青色など色のレパートリーは様々だ。


「それは魔法瓶ですね」


「魔法瓶…?温度を保つアレ?」


「温度を保つ魔法瓶もあるんですか?

 違いますよ、この瓶を投げればそれぞれの効果を発揮する瓶です」


 イメージで言えば、火炎瓶みたいな感じか。

 投げて、空気に触れたら大爆発的な。


 とりあえずこの魔法瓶も毒・炎・電気・滝の4種類を3つずつ購入することに決定。


 持ち運び安さも考慮すれば、結芽子用かな。戦闘前に割ってしまって大爆発!なんてなったら最悪だ。

 だったら、収納で自由に運べる結芽子が適任のはず。


「あと1つ何か無い…??」


 残りは六花の武器だ。

 彼女に似合う武器…。

 彼女の能力を最大限使える武器が好ましいのだが。


「戦闘用なら、もう魔法札(スペルカード)しかないですね…すみません」


「そっか、分かった。それじゃ、あまりのお金で買える分全部ちょうだい!」


「ありがとうございますっ!」



 こうして、

 魔法銃(スペルチョーカー) 金貨2枚

 魔法人形(ドール) 金貨3枚

 魔法瓶×4×3 金貨2枚

 魔法札(スペルカード)×3 金貨3枚

            の購入をした。


 魔法札の代金は1枚で1万円という高級品だ。使い捨て用なので、できるだけ強力な魔法を吸収させておきたい。


 なんにせよ、


魔法人形(ドール)ちゃんが買えたから最高だー!!」



 バイトの時間が終わったので、喜びながらリーエル魔道具専門店を購入したものを持って出た。


 背中に魔法銃、その他は能力で浮かべて運んだため、通行人には凄い目で見られたことに、私は気づかないのであった。



 ・・・・・



「……あれ、そう言えば盗賊団の主将って確か……」


 街に沈みゆく夕陽を眺めながら、店の掃除を続けるリーエルは、とあることを思い出す。


 その出来事を頭を振って無理やり忘れさせて、掃除に集中する。



 あの時の事は、私には関係ないんだ…。大丈夫。誰もあなたを恨んだりしていないよ、リーエル。



 自分で自分を落ち着かせるようにそう唱え、掃除道具箱へリーエルは、そっと雑巾を片付けた。


 少量のホコリの舞う、暗い部屋。

 ただ一人リーエルは紅茶を飲んでいた。


「ん…美味しっ」


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