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第48頁 スライムの使用法

事故物件の除霊を終え、掃除もした静紅達。


ようやく購入出来た家に住んで二日目。


静紅の中にとある不安が生じる……。



「…………うん、何もないな!!」


 昨日購入が決定した我が家。


 元社長の蜜柑がこの家のことをアミチエと名づけ、そろそろ愛着も湧いてくるだと思っていたのだが。


 元々置いてあったテーブルやベッドに文句を言うつもりは無いが、必要最低限な物しかなく、若い女子には退屈すぎる家なのだ。


 我々を若い女子と呼んでいいのかは別として。


「えぇ、逆にほかに何が必要ですか? 私の故郷ならこれでも裕福な方なんですけど」


 キッチンの方で朝食の後片付けをしているフレデリカは、私の呟きに疑問を抱いた。


「そりゃあ私も不便だとは思ってないよ? でも、女の子らしくないって言うか、もっと可愛くてもいいんじゃないって思うの」


 木で作られた床に漆喰の壁、赤レンガの暖炉にカーテンのない窓。


 21歳の女性が住んでいる場所と言うより、ダンディーなおじいさんがコーヒーを飲んでリラックスする場所のような感じがする。


「例えばどんな物が欲しいんですか?」


「うーーん……」


 悩む私の声を消すように、一人の女性がリビングにやってきた。


「ちょっと買い物行くんやけどどうする? 静紅ちゃんたちも来る?」


 先程まで洗面所で顔を洗っていた結芽子が、濡れたタオルを持ってリビングへ入ってきた。


 ちなみに、二階の部屋で蜜柑と六花はこの世界についての勉強中だ。


「いえ、私は朝食の片付けの後昼食も作らないといけないので遠慮しておきまーす」


「私は特に何も無いけど……どこ行くの?」


 そう言われた結芽子は「ふふっ、」と笑って、


「大通りにある家具屋に行くで!!」



 ・・・・・



 フレデリカに留守番を頼み、私と結芽子は二人で家具屋へ来た。


 家具屋と言っても日本のように大型ではなく、近くの団子屋や肉屋と何ら変わらない広さだ。


 木のドアの開くと、様々な家具があった。


 小さなクッションから大きなベッドまで、様々な家具がこの場所で揃うというわけで。


「とりあえずベッドは絶対買うで。昨日みたいに一人だけ床とか寂しいからなぁ」


 昨晩はじゃんけんで負けた私が一人だけ床で寝た。


 2段ベッドが二つで四人しかベッドで寝れなかったので、誰かが床に寝ないといけなかったのだ。


 フレデリカは「お師匠様とならひとつのベッドで寝れますよ!」と言っていたが、彼女についた二つの大きなソレのせいでベッドは少ししか隙間が空いておらず遠慮した。くそが。


 他の3人のベッドも隙間は空いておらず、二人で一つのベッドで寝る作戦は通用しなかった。


「あとは……カーペットとか欲しいかな。クッションもあった方がいいよね」


 予算は純銀貨五枚。

 この街の物価なら沢山買えないこともないが、これからのことも考えて予算は低く設定しておく。



 ちなみに、この世界のお金の位は至って単純な物だ。日本とそれほど変わらない。




 ・銅貨10枚→純銅貨1枚


 ・純銅貨10枚→銀貨1枚


 ・銀貨10枚→純銀貨1枚


 ・純銀貨1枚→金貨1枚


 ・金貨10枚→純金貨1枚


 ・純金貨10枚→聖金貨1枚



 と言ったところだ。銅貨が一番価値が低く、聖金貨が一番高い。


 そして純銀貨五枚は日本で言うと5万円ほど。


 私達が店に入ると奥の方からエプロンドレスを着た女性がでてきた。


「いらっしゃいませー。何をお求めですか?」


「あ、えっと、一人用のベッドが欲しいんですけど」


「はい、でしたらこちらにございますよ」


 店員に手で示された場所にはやはりベッドがあった。


 狭めの建物なのでいくつも置いてある訳では無いが、


 木の種類、シーツの種類、枕など細かい部分は注文に応じて変えられるようだ。


「お、こんなん可愛んちゃう?」


 結芽子が持ってきたのは白いシーツに水玉の模様がついたものだ。


 私のイメージに合っていると言えなくもないので一応受け取っておく。


 他にも模様のレパートリーは豊富で、水玉以外にも沢山ある。


 が、他に特別気に入ったものも無かったので、水玉シーツに決定だ。


 次に木の種類。これは性質と言うよりかは、色だな。


 白い白樺や黒い松など様々な木でベッドが作られるようで、木も自分で選ぶことが出来るらしい。


 これは迷わず白樺に決定して次のステップへ。


「次は枕やなぁ」


「ぶっちゃけ、枕はなんでもいいんだよね〜」


「それでしたら、柔らかい材質のこちらはどうでしょう?」


 店員に出された枕を触った瞬間、むにゅっと手が枕の中に沈む感じがした。


「な、なんだこりゃ! 柔らかいし寝心地良さそう! これ、なんですか? 羽毛じゃないですよね?」


「スライムです」


「へぇ、スライムなんだ。……スライム!?」


「スライムです。あ、生きてはいませんので安心してください。腕利きの狩人が核だけを取り除き、消滅しないように加工したスライムを布で包んだものです。王都で結構人気があって入荷が追いつかないほどなんです」


 大人気商品、残りはおそらくこれで最後……。


「それ買います!」


「まいどありっ!」


 まんまと商売技術で負けた気がしたが、私自身もあの感触が嫌いな訳では無い。むしろ気になるぐらいだ。


 低反発で心地よさそうだし。


 もし合わなかったら蜜柑に押し付けよう。


 そう心の中で言ってから、ベッドコーナーを離れて次はクッションコーナーに来た。


「おっ、結構色んな物が……んんっ!?!」


 私の目に飛び込んできたのは。


「き、キノコタンのぬいぐるみぃ!?」


 そう言えば、蜜柑がなんか言ってたような……。商品化したとかなんとか。


 カゴに積まれていたのは等身大キノコタンのぬいぐるみだった。


 値段を見ると純銀貨1枚分。結構高めだが、欲動を抑えることは出来ずに手に取ってしまった。


 それから白のカーテンとソファ的な物を購入した。



「はい、純銀貨4枚です」


「はーいっ、1、2、3、4。純銀貨4枚やね」


 日本円で四万円の買い物をした結芽子は、準備されたベッド達を能力で体内に収納していった。


 購入したものは、ベッド一式、キノコタンクッション、カーテン、ソファの4点だ。


 それらを購入した後、結芽子と私は家具屋を出て家へ歩き出した。


「まいどありがとうございました」



 ・・・・・



「おかえりなさいお師匠様!」


「ちょっと! ボクが先って言ったじゃないですか!!」


「そんなの言った者勝ちですよーっだ!」


「なんですか!?」


「お、やります?」


 玄関を開けた瞬間から二人の喧嘩を見てしまい、少し気分が下がりつつも、「ただいま」と返した。


「何買ってきたんですか? 静紅さんのベッドと聞いてるんですけど」


 結芽子が収納した家具たちを出現させる様子を見た六花は、私に聞いた。


「えっとー、私のベッドでしょ? カーテンでしょ? ソファでしょ? それから……じゃーん、キノコタンクッションです!」


「「おぉ!」」


 私の手の中に出されたキノコタンクッションを目を見開いて見つめる六花とフレデリカ。お互いに顔を近づけて見ているので、二人の妹が出来た感じがしたことを恥ながら、私は咳払いをして立ち上がった。


「家具を設置してからお昼ご飯にしよっか! って言いたいところだけど、蜜柑はどこに行ったの?」


 先程から蜜柑の姿が無い。六花が一階に降りてきていると言うことは勉強は終わったのだろうか。


「蜜柑さんなら、静紅さん達が出た後に買い物に行きましたよ」


「買い物? なんかあったっけ」


 ガチャン。


 家のドアが開く音がした。四人の意識が玄関の方に集中する。


「たっだいまー! 買ってきたぞ〜! コーヒー!」


 紫のツインテールメガネっ子が、嬉しそうにドアを蹴飛ばして言った。


 コーヒーを買ってきたようだ。

こんにちは!秋風 紅葉です!


「西宮 結芽子やで〜」


今日はあと一話投稿出来そうです!多分!


「蜜柑ちゃん、コーヒー買ってきたみたいやけどこの世界にコーヒーなんかあるんけぇ?」


さぁ?それはどうかな!次回にわかるかも!


「そっかぁー。それはそうと、作者さんは関西出身なんやな!知らんかったわぁ」


うん!うちは関西人やで〜、エセじゃないで!ほんまに関西に住んどるから!大阪から1…2時間ぐらいの場所や!


「別にそんなこと聞いてないねん。それより、関西人ってお笑いってイメージあるやん?」


あるなぁ。


「やから私達もおわらいしてみーひん?」


別にええで! (あ、ここからは標準語にします)


「あ、でも時間ないから無しでいいや」


あ、そう?分かったよ。


次回!


蜜柑の買ってきたものはコーヒー!?

昼食前の静紅達に届いたのは福音かそれとも…。


お楽しみに!



「あ、総合PVが5000行ったで!ほんまありがとーな!」

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