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総集編 201頁〜300頁までの軌跡 その2


『さあ今年も始まりましたクックード料理大会! 今回ランダムで選ばれた大会のマップは──────[アンダンテ]ッ!』


 大会開始以前とは違い、気合いの入ったアナウンスを行う実況者は続ける。


『草の生い茂る大草原、水平線まで広がるビーチ、雲のかかるほど高い山脈! 三つの地形が入り交じる特異な島、それが[アンダンテ]! この島で大会出場の皆さんは三日後のこの時間まで生き抜いてもらいまーす!』


 料理大会の舞台の足元に生成された魔法陣は転移系の魔法が描かれていたらしく、気がつくと静紅たちは空の上にいた。


「あああああああっ!! やばいやばいやばいやばい、落ちるよおおおおあああッ!!」


『大会中にもし死んでも問題ありません! 死亡……すなわち生命活動を停止させる反応が確認されると、この会場に転送されるようになってますから!』

 

 その他、骨折や打撲といったありとあらゆる怪我や病気も料理大会の会場に戻った時には転送された直後の体調に元通りらしい。


 一体どう言う原理なのだろう。


「そ、それよりも着地できずに落下死するよおおおおおお!!!」


「問題ない! そのために我がいるからな!」


 ルリは自信ありげに静紅の肩を掴んで引き寄せた。


 彼は背中から龍の翼を広げ、上手く地上に着地した。


「周囲に魔物の群れが複数ありますが、参加者の反応はありません」


「図らずともベストポジションというわけですか……」


 着地の位置は完璧な一行は、すぐに行動を始める。


「ちょ、ちょっと……待って……」


 あれほど叫びながら降りてきた静紅は、もはや虫の息状態だった。


 それでもフレデリカとルリは武器を構えて行動しようとする。


「何言ってるんですか、敵を少しでも減らすには今がチャンスですよ! マップ上の食料の総量は限られています、今から二手に別れて行動しましょう!」


 こうして一行はフレデリカとルリ、静紅と六花に別れて大会を進めることにした。


「─────10時の方に敵集団! 強さはこちらの方が格上です、行きましょう!」


 この大会では六花のような索敵系の能力は重宝される。


 敵同士の情報が未知数の中、人数や強さまで把握出来るアドバンテージは勝利の確率をぐんと上げてくれる。


 順調に敵集団を倒し、彼らが集めた素材や食料を奪い自らの糧にしていく静紅たち。


 ある程度掃討し、そろそろフレデリカたちと合流しようとしたその時。


「しーずーくーちゃんっ!」


 静紅の背後に突如現れた少女は、静紅の背中にこつんと額を当てるとその名を呼んだ。


「……ッ! 静紅さん離れてください、今すぐ電磁砲で吹き飛ばし──────」


「やだなあ、せっかく会えたんだし仲良くしよーよ! 攻撃するつもりは無いし、何かを奪う予定もないよお」


 突然現れたのは、ウサギのフードを被った少女。


 幼げな話し方と笑い方に薄気味悪い狂気すら感じてしまう。


「何が目的なの……?」


 臨戦態勢をとったまま、静紅は彼女との会話を試みる。


「キュリちゃんはね、ルースリィスちゃんに言われてシズクちゃんに会いに来たんだよ!」


 なんの意図を持ってやってきたのかイマイチ分からず困惑する静紅よりも先に、彼女は続けた。


「私からひとつプレゼントを贈るよ。でもタダとは言えないから、シズクちゃんにはお願いを聞いてもらいまーす!」


「お願い……?」


「ズバリ[天鱗山の霜降り肉]を持ってきてほしいんだよ! 確かに伝えたからね!」


─────天鱗山。


 この[アンダンテ]というマップに生息する規格外に大きな龍だ。


 そんな龍の中でもかなりの希少部位の霜降り肉を所望するなど、どんな風の吹き回しだ。


「美味しいお肉、待ってるよーー!」

 

「美味しいお肉って、食用かよ!」


 瞬く間に消えてしまった彼女にため息をつきながら、六花は口を開く。


「どうしますか、正直信用に値しないとは思いますが……」


「そうかもだけど、プレゼントが気になる。とりあえずフレデリカたちと合流してから考えよう」


 好奇心の成れの果てキュリオスとの邂逅を果たした静紅と六花は、フレデリカたちが待っているであろう合流地点へと向かうのであった。



・・・・・



 フレデリカたちと合流した静紅は、先程起きた[天鱗山の件]を彼女らに伝えた。


「「天鱗山ってあの幻の!?」」


「幻?」


 どうやら天鱗山は噂されているだけで実在するかどうかは不明な存在らしい。


 存在不明の巨大生物を探し回るほど、この大会は暇じゃない。


「でもこの大会は料理以外にも倒した魔物の強さと数でもポイントが貰えるんだよね? そんなに幻の生き物だったら、相当なポイントが貰えるんじゃない?」


「そもそも実在するかどうか……」


「─────いや、まあ心当たりがない訳でもない。我は半分龍だからか、何となく分かるのだ……雲を破るほど高い山脈にひとつ、大きな龍がいる」


 そう言ってルリはここから見える一番高い山を指さした。


「キュリオスの言葉が信用出来るかは分かりませんが、成れの果てからの贈り物ともなれば敵チームと大きく差をつける事が出来るかもしれません」


「猫獣人の王様マカリナも来てるとなれば、彼女と必ず戦う時がくる。勝つために今私たちが最優先にすべきは──────」


 天鱗山の討伐だ。



・・・・・



 龍の姿になったルリに乗り、一行は海、森に続く第三の地形である山脈へやってきた。


 ルリ曰く、ここから同胞の反応があるのだとか。


 しばらく山脈で話していると、そいつは突然姿を現した。


『ぐおおおおおおお!!』


 大会のマップ[アンダンテ]の中で、最も強力であり巨大であり、そして討伐した際に得られる得点が多い存在。


 それこそが動く大地[天鱗山]だ。


 四足歩行の亀のような見た目のそいつは、背面の甲羅にあたる部分に[山脈]を乗せている。


 スケールで言えばそれくらいの巨大生物だ。


「どっひゃー、恐ろしく大きな生き物ですね!」


「よーし、それじゃあみんな、ひと狩りいこうぜ!」


 かくして静紅一行の天鱗山大討伐作戦が決行されるのであった。


連続投稿413日目!!


 昨日投稿したんですけど、別の場所に投稿しちゃってたので投稿し直しです……すみませんでした(全裸土下座謝罪)

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