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第37-1頁 ミニミニドラゴン


 雪の薔薇を六花の電磁砲で破壊したすぐあと、私と六花は大木の後ろに隠れた。


 私は適当な木の棒を包帯と共に六花の腕に巻きつける。


「無茶は……してないんだよね」


 少なくとも彼女は出来るだけ腕が壊れないように制御していたように見えた。


 私が以前言った「六花の体は六花だけのものじゃない、私も心配する」という言葉が、彼女に届いていたことがわかって少し嬉しい。


「すみません、理想は無傷だったのですが……やっぱりあれだけのパワーの魔法には反動がつきものですね、あはは……」


 苦笑する六花に、私もぎこちなく笑う。


 子供の頃、六花はよく怪我をしていたので、私が救急箱で治療してあげてたっけ。


 懐かしさを覚える中、六花はフレデリカの様子を見ていた。


『ぐしゃー!』


「何体来ても同じことですよっ!」


 前方から飛来する雪で作られた子供サイズのドラゴンを、フレデリカは大剣でバサバサと倒していく。


「……っ、せやぁっ!」


 その身のこなしはまさに芸術であった。


 大剣を振り上げ、上方のドラゴンを破壊。


 その反動で彼女も高く飛び上がり、上から大剣を叩きつけて三体のドラゴンを破壊。


 横に大きく薙ぎ払い、風圧でドラゴンを破壊。


「うへえ、大人気ですね! 私」


 そんな余裕をかましながら、フレデリカは大剣を片手のみに持ち替えた。


 空いた左手をドラゴンに見せるようにして、魔法を唱える。


「聖属性魔法・聖光っ!」


 途端、フレデリカの左手から凄まじい明度の光が飛び出した。


「ぎゅぅ!?」


 と、雪像も驚いた声を出すほどの聖光で敵の視界を塞ぎつつ、自分自身も半回転して片手で2体同時に水平斬りで撃破。


「まだ来るんですか!? ちょっと多すぎません?」


 キノコタンの家からどんどん排出されるドラゴンに飽きてきたフレデリカは、一気にかたをつけるかのように最後の構えをした。


 地面を踏みしめて前に移動、からの移動の反動をつけて大剣での斬り上げ。


 大剣の反動をも利用してフレデリカは高く跳ねた。

 飛んでくるドラゴン達よりも高く。そこからドラゴンが軌道を変えるよりも先に、一体の背中に着地!

 無論、所詮雪なのでフレデリカの体重に耐えられるわけもなく、ドラゴンは虚しく地面に踏みつけられた。


「いやあ、久しぶりの戦闘は緊張しますね!」


 剣先を地面に突き刺し、ひと段落した様子で息をはくフレデリカ。


「それにしてもフレデリカさん、あなた結構強いんですね」


 確かにさっきの戦闘はただの素人じゃ出来ない戦闘だ。


「まあ、かれこれ10年ほど魔物討伐をしてきましたからね! その頃からこの大剣を使っているんですよ」


 現在18歳のフレデリカで10年間魔物討伐というと、8歳から命懸けの戦闘をしている事になる。


 自慢げに胸を張って言うフレデリカに、六花は少し褒めたくなったのか、自分より背が高いフレデリカを見上げるように言った。


「それだけ強ければ大切な人も守れるでしょうに」


「あれれ? 六花さん、戦意喪失ですかー? ぷぷぷ〜!」


 左手を口にあて、バカにするように笑うフレデリカの表情に六花は顔を赤くする。


 喧嘩が始まる前に私が仲裁に入って状況を整理する。


「雪像は飛んでこなくなったけど、どう? 敵に変化はある?」


「んー、いえ、特にこれといった変化はありません。ああ、でも力は弱っているみたいですよ」


 雪薔薇に加えてあれほどの数のドラゴンを飛ばしてきたんだ、疲労するのも無理もない。


「さっきからこの家から飛んできてるんだよね……だったら敵はこの中にいるんじゃないの」


 そう言いながら家の方を向くと、家の裏から一つの人影が現れた。


 雪のように白い髪に雪のように白い肌、その子の身体にはほとんどの色がなく、全体的に白だ。


 服装は、座敷わらしのような昔の子供用和服を着ている。


 あれが今回の異変の元凶なのだろうか。


 ただ、ひしひしと伝わってくる殺気と、頬を伝う汗が弾けた。


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