表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1418/1423

第1287頁 家族は友達にカウントしません


 戦場を避けて静かなところ……具体的にはとある森の小さな洞窟へやってきた私とレイギルモア。


 どうやらここはレイギルモアの隠れ家らしく、今まで人間に見つかったことは無いらしい。


 自然に紛れるためのカモフラージュを外し、私を中へ通す。


「えへへ……私が初めての人間ってことですね。出会って間も無いのにお家に入れてくれるなんて、思ったより早く仲良くなれそう……」


「勘違いしないで。ここは別荘みたいなもの。人間を家にあげるなんて、殺して欲しいと言っているようなもの」


「わ、私はそんなつもりじゃ……」


「知ってる。だからここに呼んだ」


 レイギルモアは私を弄ぶようにそう言って、笑った。


 洞窟の中は住処とは思えないほど何も無く、あるものと言えば枯れ草の山だった。


「ふかふかだあ!」


「いきなり寝床……あなた友達居ないでしょ」


「げっ……い、いいもん、家族は居るもん」


「そう」


 そういう彼女はどこか寂しそうな顔を浮かべていた。


「あなたは友達居ないの?」


「…………やっぱりあなた友達居ないんだね。精霊は一人でも生きていける、必要ないものは手に入れない主義」


「じゃあ家族は?」


「精霊に家族は居ない。強いて言うなら、私は龍ユグドラシルの一部を材料に作られたから、ユグドラシルと近い関係になる」


 レイギルモアが世界樹ユグドラシルの加護を受けている、というのはそういう事だったのか。


「一人なの?」


「悪い?」


「ううん、悪くないよ。私も一人だった、家族は居たけど最低で、世界に私の味方なんて居ないんだと思ってた。でも違ったんだ」


「違わない、この世界に本当の意味での味方なんて一人も居ないから」


 同じ瞳をしていた。


 あの頃の、一人で苦しんでいた時の私と同じ瞳をしていたのだ。


「じゃ、じゃあ……私があなたの味方になってあげる……から! だから仲良くしてください……ッ!」


 声が裏返りながら力強く私は言って、ちらっと彼女の顔を見る。


 すると彼女は若干顔を赤らめて、しばらく目を泳がせてからこくりと頷いた。


「必死になって……恥ずかしい」


「うぐっ……それはそう、だけど……! でも仲良くしたいのは本当だから!」


「あなたが信用に値するかどうか見極めるためにも、少し話すくらいなら……」


「本当に!? やったあ……!」


 かくして、私とレイギルモアは仮の友人となり、行動を共に行動することになった。


 必ず仲良くなって、きっと聖具の力を引き出して見せる!



 エルメスさん、友達という存在を知らな過ぎて陰キャの[面倒くさいやつ]が滲み出てますよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ