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第1269頁 百年前の祖母

 聖具の再誕の試練が始まり、どういうわけか百年前の世界にやってきた私ことカリン。


 寿命で亡くなった祖母を見つけ、その戦闘力の高さに驚きつつ、夜になっても私は彼女たちを観察していた。


 完全にストーカーまがいの行為だが、実の祖母ということでなんとか目を瞑って欲しい。


 そう、これは祖母を見守る孫の行為、決してストーカーではない……。


「夕食はシチューとパン……具の内容から見て、ここは北の方の国のようですね」


 それに戦争末期はろくに食糧がない状況だったと聞く。


 つまりまだ余裕がありそうな現在は、戦争中期かそれより少し後ろということになる。


 夕食を頬張りながら、愛剣プロギニアを撫でるアンダルソンに対して、カルロッテは若干引きながら話しかける。


「本当に好きですね、その剣。でも夕食の時くらいはしっかり片付けてください」


「ええー、だってようやく帰ってきたんだよ? 私がシルフ様からもらったのに、すぐに偉いさんに持っていかれてさ!」


「例の兵器……聖具、でしたか。それのサンプルとして回収されていましたもんね。イフリートから授かった炎の大剣はどこかの戦場で紛失してしまったようですし」


「そうそう、それから長い間待って、聖具の複製がたくさん作れるようになってから、よーーーやく私の元に帰ってきたんだよ! んふふ、もう離さないよー」


 祖母は本当にこの剣のことが好きだったんだ。


「聖具……僕もいつかは手に入れられるでしょうか」


「出来るんじゃない? もらえなくても、私が無理やり作らせるよ」


「ひえ、野蛮人……」


「違うよ……! 失礼だなあ。出会った時も言ったけど、最終的に私たちは平和を取り戻すために、戦争を仕掛けてきた親玉を倒さないといけない。そのためにはカルロッテにも聖具は必要でしょ」


「あはは、そうですね。仮に平和を取り戻すことができたのなら、僕たちは英雄になりますね」


「ま、そのためには仲間が必要だけどねー、とにかく同い年くらいの女の子が欲しい!」


「そこですか!? もっとこう、戦いの腕が良い人が欲しいとか!」


「じゃあ戦いの腕が良くて可愛い同い年くらいの女の子が欲しい!」


「だめだこりゃ……さ、早く食べてください。冷えてしまいますよ」


 そんな会話を続けながら、アンダルソンとカルロッテは夕食を食べ終え、それぞれの部屋で就寝した。


「本当に、祖母があんな性格とは……どちらかというとアリアみたいな性格ですね」


 騎士団の相棒の顔を思い出しながら、私が部屋の窓から視線を外そうとしたその時。


「あ」


「あ」


 部屋の明かりが消え、彼女は布団を被ったのでもう寝ていると油断していた。


 私が警戒心が無い状態で窓から離れようとしたら、目が合ってしまった。それはもうバッチリと。


 まずい、日中ならともかく深夜に、しかもストーカーしているところを見られてしまった。


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