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第1260頁 聖具の動力


 王都を出発してから小一時間。


 私たちは聖具の再誕の手がかりのある山へやってきた。


 この山には鉱石が一切無いと言われ、更にこの山には化け物が出る、なんて噂があるものだからドワーフ達には見向きもされない。


「あの、実は前にこの山に来た時、妙な気配を感じたんです」


「妙な気配?」


 皆より数歩先に出て、センチュリオンを掲げてニンナは言う。


「精霊の気配……なのでしょうか、それともまた何か別の……」


「ふむ、ともあれ警戒した方が良さそうだな」


「何かあれば教えてくれ。特にシズクとシノノメは通話機器を持っているからな、情報共有は容易なはずだ」


 シノノメ、メタリカと続き、私が口を開く。


「時雨も探知をお願いね」


「任せてよ、相手の気配を捉えるのは得意だからね」


 流石は英雄、心強い。


 山に出没する化け物もおおかた精霊だろう。


 龍やワールド・シリーズと渡り合ってきた私にとって、今や精霊など敵では無い。


 私たちは周囲を警戒しつつ、ニンナのいう[妙な気配]を頼りに山の中を進んでいくのであった。



・・・・・



 今から百年と少し前。


 突如東の空から押し寄せた龍と精霊は、人類とその住まい等の全てを破壊し、人類全体の生命活動に多大な影響を齎した。


 後に厄龍戦争と称されるこの厄災に対抗するため、今この時だけはと手を取り合い、種族を超えて人類の叡智を生み出した。


 通常の武器では扱えないような力を持った強力な武器[聖具]。


 契約を結べば一般人でも攻守両方に長けた兵士になれる量産型兵器[機腕]。


 百年後の現代ではそのほとんどが[力が強大すぎる]が故に人類自らの手によって破壊されており、聖具は当時の過半数が行方不明、機腕に至っては全世界で三体しか現存していない。


 幼い頃から、メタリカには一つの大きな疑問があった。


 一振りすれば水が溶岩に変わる杖。


 叩けば大地をも砕く鎚。


 龍の突進すらも防ぐ大盾。


 確かに伝説級のとんでもない力を持った武器だ。


 ではそのとんでもない力は。


 力を使うための動力はどこから取ってきているのだろうか。


 メタリカは子供ながらに思い、思考し、質問した。


 当時名を馳せていた腕利きの鍛冶士でさえ「今の私たちには想像も出来ないような技術が百年前にはあったと思う」と言い切り、それ以降メタリカの話を聞いてくれなくなった。


 子供は変に察しが良く、大人には考えつかないような質問をしてくる。


 その意外な質問に大人が悩まされる、なんてのはよくある話だが、メタリカのソレも同じだと思われたのだろう。


 そして歳を重ねていき、メタリカは確信する。


 皆、その答えを知らないのだ。


 実際に百年前を見た訳でもない[あったと思う]という憶測で大人たちは語るのだ。

 

 それから月日が流れ、メタリカが王になったある日、彼女は同じく王のマカリナに頼み、百年前から生きる[知見の螺旋アイリロ]と邂逅を果たした。


 そして彼女は言ったのだ。


「────聖具の動力は、何だと思う?」


 工業の天才と謳われたメタリカを試すように、アイリロは彼女にそう問いかけた。

 



 さあさあ、どんどこどんどこ真相に近づいて行っちゃいます!

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