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第1255頁 優しい工学


 それから三日間、私は魔法人形の修理を行うガウストを手伝うためにメタリカ・アイアンワークスに通った。


 決して器用という訳ではないが、何か手伝えることがあるかもしれないし、実際あったから通っている。


「今日で完成出来そうだな。じゃあよろしく」


「任せてよ! もうこの作業も慣れたからね」


 当たり前だがガウストは一人しかいない。


 魔法人形の修理を行う時間を最大限増やすため、彼の代わりを私が担うことになっていた。


 そしていつものように製品を自動で組み立てる機械の調子を見ていると、工場の入口から何やら声が聞こえてきた。


「ただいまトモダチ、良い子にしてたか?」


『はい! 私は良い子にしていました! それはもう忠犬のように!』


「あはは、本当にお前は可愛いな」


 目を閉じて笑う背の低いドワーフの少女が工場に入ってきた。


 そして入ってすぐ、奥にいる私と目が合った。


「おかえり。あなたがメタリカ……だよね?」


「桃髪青眼まな板……間違いないな、シズクか」


「ちょい、判断基準の三つ目について詳しく聞かせてもらおうか」


 そう、何気に私とメタリカは会うのが初めてだ。


 私に関しては顔を見るのも初めてで、どんな子なのか少し不安だった。


 だが。


「見た目のままを言ったまでだ。にしても驚いた、想像していたよりもずっと若い」


「んふふ、こちらこそメタリカちゃんが思ってたより幼い身体でお姉さんドギマギしちゃうな……ふべっ」


 手をワシワシとしながらメタリカの方へ近付いていくと、突然足に何かが引っかかり、私は頭から転倒する。


「お前がロリコンなのは皆から聞いている。別に処女の私を襲っても構わないが、王に手を出すということはどういうことか分かってるんだろうな?」


「しょッ!? な、なななに言ってるの急に! この子怖い!」


「少しからかっただけだ。それで、状況はどうなってる?」


 メタリカの爆弾発言に息を荒らげつつ、私はなんとか今の状況をできるだけ鮮明に伝えた。


 花園の蜜を回収したこと、そして魔法人形の修理を待っているということを。


「そうか、聖具の再誕はまだなのか。なら都合が良い、時期にシノノメもここに合流するだろうから、皆揃ってから行こう」


「行こうって……アテはあるの?」


「とある山の奥に妙な施設がある。勘だが、そこに何かあるのは間違いない」


 流石は国の王、地の利や知識は彼女に頼った方が良さそうだ。


「ところでメタリカ、何やってるの?」


 工場の机に向かって何やら物作りをするメタリカ。


 彼女の後ろからそれを覗くと、そこには機械の腕のようなものがあった。


「義手?」


「正確にはシノノメ用の義手だな。世界最強が腕を失った、なんて聞くといても立ってもいられなくて」


 シノノメはカーソルノイツの幹部たちとの戦いにより利き腕を失ってしまった。


 大幅な弱体化を受けたシノノメだが、彼女は彼女の意思で戦い続けることにした。


「シノノメとの約束なんだ。腕を作って待ってるからって」


「そっか、優しいね」


「ん」


 私は短くそう言うと、少し油の匂いがする彼女の頭を撫でるのであった。



 天才気だるげオープンすけべのメタリカちゃん!


 身長はなんと120センチ前後で、その体格はハーフリングに並びます。

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