表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1364/1423

第1233頁 万象の造物主

「ペラペラと話すのは大変よろしいことですが、その余裕があるならトントン拍子で工事を進めてくださいな。ああええ、満足いくまで話していただいて構いませんよ。その代わり、キッチリその分の残業をして頂きますが」


「「げっ」」


 男二人はその声を聞いて、引きつった顔で声を漏らす。


 言葉を交わさなくても分かる。


 この佇まい、大量の資料、嫌味を含んだ言い方……この人、面倒くさい人だ!



・・・・・



 私たちの前に現れたのはいかにも秘書っぽいスーツを着た女性だ。


 女性はドワーフの男たちを現場に戻しながら、私たちの方をちらっと見た。


「一般人がここに居られては困ります。さっさと去ってくださいな。二度と会うことは無いでしょうけれど」


 そそくさとその場を去ろうとする女性に、ニンナとフレデリカが疑問を抱き、ニンナが先に声をかけた。


「私たちは一般人ではありません。シズクさん、メタリカ様から頂いた面会証を」


「ああ、うん」


 エーテルの一件の後、私は各国の王から[アポ無しで面会できる券]を貰った。


 実はそこにメタリカから送られたものもあり、しっかりとカバンの中に仕舞っていたのだ。


「ふむ……確かに一般人では無さそうですね。しかし王に現場監督を任されているのはこの私、リエイですので」


 リエイと名乗るその女性。


 名前を聞いたその瞬間、何故か全身の産毛が逆立った。


「母さん……この人ケチだよ……」


 耳打ちをするようにエルメスは言うが、リエイは相当耳が良いらしく。


「ケチで悪かったですね。さあ、帰った帰った」


 聞く耳を持たないリエイに対して、私は隙をついて彼女に[キノコタン・ナイフを飛ばした]。


 すると彼女は一般的な秘書では考えられない反応スピードでナイフを察知し、その刃を指で挟んで制止させた。


「なっ……!? 母さん、いくらケチだからって刺すのはダメだよ!」


「ダメなものはダメって言えて母さん嬉しい! でもエルメス、この人は秘書なんかじゃない。なんなら人間でもない」


 睨みつける私の視線を見て、事の重大さに気付いた一行は各々戦闘態勢をとる。


「流石は特異点、認識阻害を無視して察知出来るとは流石ですね。ああええ、褒めていますとも。あなたのおかげで私のスローライフが台無しですがね」


 小さく舌打ちをするリエイが、ナイフの刃から指を離そうとした次の瞬間。


 突如ナイフが小刻みに震えだし、そして大きな声が聞こえてきた。


『ああッ!! あんたこんなところに居たのね、勝手に逃げ出して何やってるのかと思ったら! まさかあんたが人間の真似事とは!!』


「げっ……」


 ナイフから聞こえてくるペルソナの声に対して、あからさまに嫌そうな顔をする彼女。


「人間の真似事……ということはやっぱりあなたは人間では無いのですね。正体を明かしなさい!」


 大剣の剣先を向けられたリエイはまたしても嫌そうな顔で、フレデリカの問いに答えようと口を開く。


 が、それよりも先に少々興奮気味のペルソナが答えた。


『この子の名前はクリエイター。詳細は後で話すけれど、私の弟子ね。突然消えたから心配してたのよ』


「私のセリフッ!? ちっ、そういうところが嫌いなんですよ……」


「クリエイター……どうしてリエイと偽名を使っていたんですか?」


「フッ、真ん中の三文字なので偽名もクソもありませんがね」


「決まってる。[ワールド・シリーズ]としての素性を隠すためでしょ」


「「「!?」」」


 周囲に緊迫した空気が流れる。


 突如私たちは敵対勢力であるワールド・シリーズと相対した。


 相対してしまった。


 魔法人形が使えないこの状況で、私の戦力は無いに等しい。


 クリエイターがどう動くのか警戒し、皆が彼女を睨みつける中、ナイフでの電話越しのペルソナだけが嬉々としてクリエイターに話しかけているのであった。



 クリエイターさん、実は981頁や864頁でちょこちょこ出てきてます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ