第1221頁 集え王
シノノメから[国際会議を執り行う]という旨の手紙が他の王たちに送られてから数日後。
国際会議が毎度行われている小さな島コンサット島には、各国の王が続々と訪れていた。
「ふう、やっぱりこの島は暑いわね……南国の島みたい」
島の港から会議室のある建物へ歩く途中で、アビゲイルは頬を伝う汗を拭った。
「実際、バカンス島としても開放されていますからね。日陰のある道を使いましょう、スズメ様もこちらへ」
アビゲイルの付き添い人であるヘレンは、後ろについて歩くスズメと付き添い人テリアにも手を伸ばす。
「あ、ありがと……しっかしあれね、会議が多いわね。国からこの島まで距離があるから、こう頻度が高いと大変だわ」
スズメの言葉に、先輩王であるアビゲイルが答えた。
「本当はここまでじゃないのだけれど、最近は特に多いわね。遠い国の王も居るし、大変だと思うわ」
「あらあらまあまあ。それってつまり、沢山会議をしないといけないほど問題が山積みってことかしら……」
テリアは心配そうに頬を触れながら、国際会議ユニゾンが行われる建物を遠方に望む。
問題が起きれば会議を行うのは分かるが、それでもこの頻度は異常だ。
各国の王などそう簡単に集まる訳では無い、今回はどれだけの国の王が出席するのやら。
・・・・・
「うにゃあッ!? ど、どどど、どうしたのにゃその腕!!」
アビゲイルとスズメが会議室に入るなり、甲高いマカリナの悲鳴が耳に飛び込んできた。
「うるっさいわねクソ猫……腕がどうしたっ……て……」
「あ、あはは……心配してくれるのは有難いが、皆同じような反応をするんだな」
気まずそうに失った腕を摩るシノノメは「大丈夫だ」と短く言って傷口が正しい治療を受けて塞がれていることを見せ、そして椅子から立ち上がった。
「突然の召集にも関わらず、遠くまで来てくれて感謝する。正直誰が来るか来ないかはあまり把握していないが、とりあえずこのメンバーで始めよう」
「あまりにも世界中で問題が起き過ぎている。尻込みしている時間はない、本格的に私たちも行動していく必要がありそうだからね」
今回出席してるのはウォルロ・マリンよりシノノメ。
ヴァイシュ・ガーデンより紗友理&カリン。
アーベント・デンメルングよりスズメ。
アーク・ビレッジよりマカリナ。
フィンブル王国よりパフィ。
ラブラ・アルクベールよりアビゲイル。
ウルバロよりメタリカ。
そしてウーチャオよりリンリンだ。
いつものメンバーは大体揃っており、出席率が低めなメタリカとリンリンも今回は出席している。
ちなみに、各王の付き添い人たちも別室で会議に似たものを行っている。
混沌渦巻く世界の中心で、問題を解決するべく各国の王が案を出し合う国際会議ユニゾンが今、幕をあける。
国際会議編はしばらく続きます!




