表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1305/1423

第1174頁 山頂の大結晶

 場面は変わり、こちらは静紅たちとは反対の山。


 登山組の二組目が軽々とした足並みで登っていく。


 二組目は蜜柑、フレデリカ、ニンナ、フランの四人だ。


「流石は近衛騎士団と元近衛騎士団だな、こういう登山とかも訓練でやるのか?」


 蜜柑は四人の中では最後尾でついて行っている。


 しかし比較的早いペースで登っていく三人に追い付いているし、息も切らしていない。


「遠征などで回り道が出来ない場合、山を越えて行く……なんてこともよくありますね」


「アタシは山好きっスよ! 足以外にも全身を使うので!」


 ニンナとフランの返答に続き、フレデリカは蜜柑へ振り返って言う。


「そう言うミカンさんだって、私たちと同じペースで登れているじゃありませんか」


「あ、ああ……まあな!」


 歯切れの悪い返答と苦笑いをする蜜柑。


 彼女の影に隠れるようにして[浄化]の天使ピュリと[腐敗]の骸コロウが息を上げていた。


 彼らは身長70センチにも満たない小さな身体で蜜柑の背中を押していたのだった。


 そんなことも露知らず、フレデリカは能力を使って静紅たちと情報の共有を試みていた。


「うーん、どうしてでしょう……」


「大丈夫ですか、上手く繋がりませんか?」


「そうなんですよニンナさん。おかしいです、私のお師匠様への愛があれば必ず届くはずなのに」


「それを真顔で言うフレデリカさんも大概ですがね……考えられるのは、この山を覆う濃霧でしょう。視界を塞ぐだけでなく、能力の干渉を妨げる効果を持っていてもおかしくありません」


 ニンナの言葉を聴きながら、蜜柑は霧を扇ぐようにして。


「妙な霧だよな、濃いとはいえここまで周りが見えなくなるものか? ニンナの仮説が正しいなら、明らかに普通の霧じゃないだろ」


「そもそも常時この山は霧に覆われてるわけで、その時点で普通じゃないっス。有り得るならやっぱり……」


「[蜃気楼]の精霊……か」


 封印されていてもここまで環境に影響を与えられる蜃気楼の精霊。


 彼の力の強さは異常だ、おそらく最上位精霊の中でもトップクラスの……。


「ああ、頭痛が痛くなってきた。嫌なことは考えないでおこうぜ、どのみち戦うなら全力なんだ」



・・・・・



 登山を始めて二時間程度。


 テントを広げての休憩を終えた私たちは登山を再開し、しばらく歩いた。


 すると何の前兆もなくパタリと山道が終わり、比較的平坦な時に到着した。


「ふう、着いた着いた。っと、カグヤが言ってた大結晶は……」


 作戦内容は山の頂上にある大結晶を[点灯]させること。


 点灯の方法はすでに教えられている。


 結晶に触れ、カグヤが渡してくれた呪文を唱えるだけだ。


 山頂には大昔に廃れたであろう遺跡があり、地面には瓦礫が転がっていた。


「静紅さん、これ見てください」


「んー?」


 六花に呼ばれ、向かうとそこには黒い石に文字が刻まれた石板があった。


「ああ、その文字な。カグヤと俺で何度か解読しようとしたんだが、石板は欠けているし魔物も出るから安心して解読もできやしない」


「少し待ってください、ボクの能力ならどうにかなるかもしれません。三つの文章に分けられているので、何かの日記や記録でしょうか」


 六花は石板の前に座り込み、能力を使用して石板の解読を始めた。


 その最中、イザヨイの言っていた通り魔物が襲ってきたのでそれを撃退しつつ、数分で石板の文字の解読が終わった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ