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第1171頁 出発前夜

 フレデリカと六花のせい、またはおかげで人の三倍以上の夕飯を食べた私は胃もたれに似た症状に陥っていた。


「う、ぐぅ……」


「ちょっとは反省しろよーお前ら、こんな調子だと静紅の胃がいくつあっても足りないぜ」


「ありがと蜜柑……」


「すみません……」


 私を囲む六花、蜜柑たちを見ながらカグヤは口元を押さえて「あらあら」と笑っている。


 そこへオトヒメがやってきて、腰を直角に折って礼をする。


「美味しかったですッ! ありがとうございました……!!」


「オトヒメ様はいつも元気ですね、最近はいかがお過ごしですか?」


「あ、あ……そうですね、お腹が空いている生活が続いていますが何とか元気にやっていますよ。蜃気楼の精霊の覚醒が近づいていると聞いて飛んできたのですが……精霊との戦いはいつになるのでしょう?」


「ふふ、そうですね。食事も終わりましたし、それについて話しましょうか」


 カグヤは手を打って式神白兎を召喚し、机に並べられた食器などをキッチンへ運ばせる。


「皆様、改めてお集まりいただきありがとうございます。これから始めるのは対蜃気楼の精霊ホウライ戦の作戦会議です。戦力には十分なゆとりがありますが、ホウライは時の流れと共に成長する精霊、何が起こるか分かりません」


 再びこの部屋に大きな水晶を持ってきて、それを盤面として皆に説明を始める彼女。


 イザヨイが部屋の明かりを消し、皆でテレビでも見るかのように床に座る。


「先日もお話ししましたが、蜃気楼の精霊が封印されている祠は二つの山の麓にあります。しかしその入り口は固く閉ざされており、二つの山の頂上にある[大結晶]を点灯させることでその扉が開きます」


「そこで二手に分かれて山に登るんだよね。メンバーはどうしようか?」


「正確には山に登る二組と、祠の前で待機する一組の計三組ですね」


 皆が顔を見合わせる中、イザヨイが咳払いをして語り始める。


「勝手ながら、皆のことをよく知るフランと話し合ってメンバーを決めさせてもらった」


 メンバーは以下の通りだ。


 一組目、静紅、六花、結芽子、イザヨイ。


 二組目、蜜柑、フレデリカ、ニンナ、フラン。


 三組目、エルメス、時雨、カグヤ、オトヒメ。


「ふむ、戦力的には大体どこも同じくらいですね。三組目の方は祠の扉が開き次第、中に入って精霊と戦う準備を始めてください」


 ニンナに続いて、カグヤは一束のロープを持ってきて皆に見せる。


 ロープの他にも砲弾や爆弾などの兵器が部屋の奥に並べられた。


「蜃気楼の精霊が封印されている祠の中には、砲台やバリスタが設置されています。おそらく封印する際に使ったのでしょう。昔のものなので整備は必要ですが、他の二組が下山する間に済ませます」


「ぶっちゃけ何が起こるか分からないからこそ、備えあって憂いなしが大切になってくるわけだ。兵器の運搬はどうする、結芽子は山に登るグループだぞ?」


 蜜柑は珍しく真面目な表情でそう質問した。


 彼女の質問に、イザヨイが答える。


「砲弾や爆弾はかなり重量がある。いくら能力で収納できるとはいえ、その分収納の容量が圧迫されるのは事実。どうせ二組が登っている間暇なんだ、時間をかけて兵器を運ぶよ」


 その後、作戦会議は小一時間続き、作戦は明日の昼頃に行うことになった。


 英気を養うため、順番に風呂に入って少し早めに就寝するのであった。


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