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第25-2頁 六花の異変

・・・・・



 ピピッ……という機械音と共にボクは目を開けた。


 さっきの晴天の花畑とは違い、暗い夜の広場だ。正面にはニンナがいて広場を取り囲むように観客がいる。


「あれ、ボクさっきまで何をしてたんでしたっけ……ああそうだ、なんだか不思議な人と会って……それから」


 気を失った間、能力が発動したままだったのか、まだ視界にはニンナの情報が沢山浮かんでいる。


 その様子を例えるなら、パソコンに次々に表示されるサイト達のような感じ。


 上に上にと被さるように表示されるウィンドウ達……やがて表示が全て終わり、1番上にある物は緑の蛍光色マーカーで囲われたような印象を受ける。


『対象はあなたよりも弱いです』


 伝え方が雑だなぁ。


 先程まではこちらの方が21倍弱かったのが、目を覚ますと今度はこちらの方が強くなっていた。


 そして、視界に邪魔と言うほど表示された項目を見ていき、ひとつの項目が目に止まった。


『権限受託を認証しました。権限者・[ルースリィス]、[ペルソナリテ]』


「ルースリィス、ペルソナリテ……どこかで聞いたことが……」


 これ程印象の強い名前の人物を忘れるはずがないのだが、どうしても思い出せない。


『権限者から与えられた能力は以下の通りです。

 ・電磁砲発射術

 ・身体能力微向上術

 ・アクセス権限』



 顔も名前も分からない誰かから与えれた能力達。


 しかし、能力の発動や効果は次々に脳に送られる。


 その時、鋭い声で女性が叫んだ。


「よそ見なんて、王都近衛騎士団も舐められたものですね!」


 そう言いながらこちらへ駆けてくる魔法使いニンナ。


 そのニンナの足は魔法で底上げされているのか、やけに速い。


 そこにボクはとあるアイディアを思いついた。


「──試してみますか」


 手につけた手袋をとり、腕を胸より前に伸ばす。


 腕を胸の高さで固定して、手のひらを指鉄砲の形にする。


 両足を肩幅程まで開き、腰を出来るだけ落とさずに片目を閉じた。


 空気中の魔分子をエネルギーに変換し、左手に力を込めると、左手人差し指が白く発光し始めた。


 そこからよく狙いを定めて、ニンナが一番ノーガードになっている足元に一発、電磁砲を放った!


 脳に送られた能力の情報を見よう見まねで試しただけなので何とも言えないが、威力はそれなりにあったとは思う。


「なっ……なーー!?」「え、なになに……」「あんな魔法も能力も見たことないぞ!」


 突然の行動に動揺する観客達、それは私も同様で。


「あの技……ボアとの戦いの時に使ってたやつだ」


「ええなになにあの魔法! 知らないのー!」

「大変興味深い。魔法反応からして聖属性の魔法だと見受けられる…」


 と、ルカルナも驚きの様子だ。


 そして誰より驚いていたのは電磁砲を撃たれたニンナ本人。


 ニンナの足スレスレを通るように光の速さで進んだ電磁砲は、奥の巨木にぽっかりと大きな穴を開けた。


 これがもし、ニンナさんの身体に当たっていたなら……あの木のように大穴が空いていただろう。


 ニンナ本人は既に戦意を喪失し、呆然とした表情で地面に座り込んでいる。


 そこへ、一度テントに戻っていた紗友理がこの広場に戻ってきた。


「あれ? もう終わったのかい?」


 近衛騎士団達の人混みをくぐり抜け、紗友理は最前列でこの現状を見た。


 えぐられた地面、焼け焦げた草原に大穴の空いた巨木。


 指を構えたままのボクと呆然と座り込むニンナ。


「ふむ……六花。ちょっとこっちへ……」


 紗友理は神妙な顔立ちで六花を手招きした。


「ちょっとついてきてくれないかい? あと静紅も、聞きたいことがある」


 そう言って、ざわつく広場を後に、六花と静紅、紗友理は王様用の特別テントに入った。


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