第1156頁 竜宮城
病院に女性を任せ、私たちはリュウグウの探索を続ける。
例の錠剤は医者に渡さず、私が持ったままだ。
「無闇に探すより、やっぱりシノノメ様に聞いた方が早いかもしれません。城へ行きましょう」
というわけで私たちは都の中心にある大きな[竜宮城]へ足早に向かった。
・・・・・
ウォルロ・マリンの城は他国の城と違って、日本型の城をしている。
またふと思ったのだが、他国は王都全体を城壁で囲んでいるのに、ウォルロは城しか囲んでいない。
そういえば日本の城もこんな感じだったか。
「城壁に穴……銃を撃つための穴だっけ」
「よくご存知ですね、シズクさん! この壁の穴だけでなく、至る所に敵を欺く罠と仕掛けが設置されてるんですよ! 厄龍戦争時代、何度も敵に攻められた竜宮城が現存している理由ですね」
壁の穴から銃口を出して、攻める兵を奇襲したり、あえて道中を坂道にすることで疲弊させたり、上から岩を投げ付けたり……。
他国の城とは比べ物にならないほど、敵を欺くのが上手いというか狡猾というか。
でも実際そのおかげで当時の城がまだ残っているわけだし、凄いのは事実。
「あれ、でも龍とかの空からの攻撃はどうしてたの?」
「弓矢や魔法で撃退するのが主流でしたが、斬撃を飛ばして龍を撃ち落としていたという話も聞きました」
「うん、当時の侍は本当に強かったからね。斬撃くらい飛ばせて当たり前だったよ」
当時を生きた時雨が言うなら間違いないか。
恐ろしいな、昔の侍。
そんなことを話しながら進んでいると、突然前から女性の叫び声が……って何かデジャブ。
「うわーんッ!! どいてどいてッ!!」
前から現れたのは、下り坂で足を止められなくなったのだろうかドタバタと降りてくる少女だ。
イザヨイの二の舞にはなるまいと思い、他より気合を入れて回避し、他のふたりも難なく回避。
少女はそのまま坂道を降り、カーブを曲がりきれずに城壁に激突した。
「痛ってて……どうして避けるんですかァ!!」
「どいてって言われたら避けるでしょ……」
額を赤く染めた少女は泣き目になりながらこちらへ歩いてくると、私の胸をポカっと殴った。
「あれ……? あれ……」
「…………」
何度も何度も私の胸を触る少女だが、なぜか納得がいかないようだ。
「ねえ、あなた様の胸はどこに……?」
「よしじっとしてろ、あなたの胸についたその貝殻ひん剥いてやる!!!!」
「落ち着いてくださいシズクさん!」「どうどうお姉ちゃん!」
両腕をニンナと時雨に押さえつけられながら暴れる私は、五分経過してようやく気持ちを落ち着けるのであった。
静紅さんのおっぱいはもはや反り返るほど小さいです。




