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第1080頁 一番最初の転移者


 時雨を連れて城の庭に戻ると、そこには多種多様な形で宴会を楽しむ仲間達が居た。


 六花はあまりの酒の弱さでぶっ倒れ、フレデリカはメイド時代に鍛えた料理の腕を振る舞い、蜜柑と結芽子は意外にもアルフレートたちと料理を食べている。


 ルリとティアは半龍族の食べっぷりを披露し、人見知りのアルトリアとエルメスは隅で静かに、でも宴を楽しんでいた。


「時雨も皆と話してくる? 実は時雨が世界樹で治療を受けてるっておとぎ話だと思ってる人も多いんだよ」


「嘘、たった百年で私、架空人物になったの?」


「だから時雨の姿を見たらきっとみんな驚くよ。私があの英雄様だって武勇伝語って来たら?」


「あはは、分かった、そうするよ!」


 もちろん時雨と再会してもっと話したい気持ちもあるが、私とならいつでも話せる。


 こういう宴会で大勢に対して話す機会も少ないし、そっちを優先してもらおう。


「さて、私は……」

 

 私は庭の花壇の縁に腰掛けて、ナイフを口元に運ぶ。


「もしもしペルソナ、聞こえてる?」


『はいはい聞こえているわ。今回もよく頑張ったわね負傷者は出たものの死者は無し。そして何より時雨を世界樹から連れ帰ってくれた……それが何より嬉しいわ』


「時雨のことをよく知ってるような口ぶり……どういう関係?」


『……あれ、言ったことなかったっけ。時雨があなたの家から去ったとき、どんな理由だったか覚えてる?』


「っと、確か友達とルームシェアをするって言ってたね」


『その友達、私だから』


「マジ?」


『マジ寄りのマジ。私は友人の時雨に、電子の世界へ行ってテストプレイをして欲しいと頼んだ。……まあ色々不具合があって簡単にログアウトできなくなったんだけど』


「おいこら待て、今さらっと酷いこと言ったぞ!」


『気にしない気にしない。私たちは今まで三回に分けて現実世界の人間をそっちの世界に送り込んだ。初回は時雨、二回目は紗友理たち、そして三回目が静紅たち。だから時雨は一番最初の転移者ってワケ』


「時雨が家を出て行ったのが数年前、あれから数年でこの世界では百年も経ったことになってる。妹の時雨が私よりも長い時間を生きているのはどういう原理? 個人的にここが現実世界よりも時の進みが早いからだと思ってるんだけど」


『んー、半分正解半分間違い。時の進みが早いのは事実だけど、百年前から紗友理がやってくるまでの約九十年間はそもそも[存在しない]のよ』


「存在しない? 存在しないって……」


『カット、スキップ……ほらゲーム内でベッドに寝たら一瞬で朝になるでしょ? 超高速で時間が過ぎたとかじゃなくて、そもそも存在しないのよ』


「理屈はわかるけどさ、それって可能なの?」


『用意された記憶、用意された物質、用意された出来事、都合の良いものを用意すれば存外上手くいったのよ』


 世界五分前仮説ってやつと似ている。


 私には子供の頃から生きてきた記憶があるけど、それが用意されたものなのか否か証明できるものが無い。


「だから数年で百年間進んだことになってるってことね。よく考えるよ本当に……」


『まあ考えるのは得意だからね。それはそうと世界樹よ、オラシオン教団に汚染された時はどうなることかと思ったけれど、無事に転生という道を選べて良かったわ』


「世界樹の種はレヴィリオに任せてるよ。ユグドラシルのことを一番大切に思っているのは紛れもなく彼女だから」


『分かった。とりあえずこれで一件落着って感じだけれど、これからどうするの?』


「花の蜜集めもしたいけど、実は六花にあることを頼んでてさ……」


『あること?』


 私たちが世界樹へ乗り込む前、オラシオン教団が大樹派の教会の前へやってきて戦闘になった時。


 彼らが撤退する際、六花はアクセスの力を使って団員に解除不可の発信機を取り付けたのだ。


「既に教団の基地の位置は把握している。今すぐにでも攻撃可能……だけどそれだと流石に戦力が足りない」


『戦力の補充が必要ね、目星はあるの?』


「うん、もう決めてるよ。次の目的地は──────」


 オラシオン教団を一網打尽にするには、相当な戦力が必要だ。


 国民全体の戦力が高く、その国の王が人類最強と呼ばれる国がひとつある。


「─────猛き武人が住まう国、海国ウォルロ・マリンだよ!」


 


連続投稿870日目!!


 というわけで! 次の国はウォルロ・マリンです!


 和風の国で日本出身の静紅たちがどういう反応をするのか楽しみですね!


 シノノメが初登場したのはいつなのか私的に調べてみましたが、なんと初登場は第264頁でした!


 紗友里の激励のセリフ内に登場しており「マカリナとシノノメの許可は降りている、全力で行くぞー!」的な感じです。


 ちゃんと姿を見せて登場したのは、多分第418頁!


 かなりの時間をかけて、ようやくウォルロ・マリン編まで書くことが出来ました!


 長さ的には過去最長になるかもしれませんが……。

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