表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1203/1423

第1072頁 世界樹の背を押して


「地下の核を破壊し、世界樹様を殺します!」


 満面の笑みから放たれるレヴィリオの言葉に、エルメスは驚きすぎて頭からひっくり返る。


「なんで!?!?」


「珍しくエルメスが大声を……! 母さん嬉しい!」


「日に日に親バカが増してきとるな。それよりレヴィリオちゃん、どういうことか説明してくれる?」


 結芽子の質問にレヴィリオは苦笑いしながら答えた。


「ごめんごめん、端折りすぎちゃった。実は世界樹様は核さえ残っていれば特別な力で[転生]出来るんだ。世界樹様が生まれてから数百年、それにしては綺麗すぎると思わない?」


「転生……ただの植物では無いのは分かっていましたが、まさかそんな力を持っていたとは」


「待って待って、じゃあここまで大規模な編成を組んで世界樹に挑む必要は無かったんじゃない……?」


 だって言い方は悪いけど、世界樹が勝手に死んで勝手に転生するだけじゃないの?


「さっきも言ったけど、転生の条件は[核が残っている]こと。あとは転生したいという本人の強い意思も必要だって伝わってる。さっき外でユグドラシル様の声を聞いたけど、凄く辛そうだった……」


「ギリギリの状況だと[意思]が足りないかもしれないってこと?」


「そう、だから私たちでユグドラシル様の背中を押してあげるんだ」


「そこで汚染されていない綺麗な核の[破壊]……というわけですね。そうと決まれば話は早いです」


 フレデリカは煌めく果実型の核に向き直り、その周囲に展開された結界を睨む。


「ここまで強固な結界は私も見るのは初めてですが……」


「皆で力を合わせればあるいはって感じやな。ええやん、やったろうや!」


「差し詰め[百年前への挑戦]というところでしょうか。ふふ、ボクも燃えてきましたよ!」


「百年前への挑戦、か……」


 誰がこの結界を作ったのかは分からないけど、ここから何故か時雨の気配を感じる。


 大慌てで忘れていたけれど、世界樹の中にはまだ時雨が残っている。


 やることをやったらすぐに助けに行かなきゃ。


「……母さん母さん」


「ん? どうしたのエルメス」


「あの、みんなも聞いてほし……ください。私、前は学生やってて、この結界の解き方を習ったことがあるんです」


「本当!? すごいよエルメスちゃん!」


 エルメスの両手を握り、ブンブンと振るレヴィリオ。


 そうだ、そういえばエルメスって学校では超優秀な生徒だったんだよね。


「応用に応用を重ねた超優秀な結界だけど……えへ、えへへ……それでも所詮は結界、展開できた時点で解除もできるはずだよ……」


「よっしゃ、じゃあ何をすればええか教えて!」


 エルメスは習った内容を思い出すように顎に手を当てて、説明を始めた。


「この形式の結界は、なにかを依代として展開するのが一般的なんだ。だから展開しやすいのに強固な結界が作れる。でも反対に、その依代……鍵さえあれば結界は思ったより簡単に解除できる」


「依代……何だろう?」


「ちょうど百年前、この強度の結界、世界樹……私が依代にするなら、アレしか思い付かない。百年前の英雄シグレ様が持っていたあの弓─────」


「「「フレイマギア!」」」


連続投稿862日目!!


 世界樹ユグドラシルは植物になる前……創世記時代では地龍ユグドラシルとしてこの地を生きていました。


 創世記時代の龍は他の龍とは比べ物にならないほど強力で、人間が[能力]と呼ぶ力を幾つも保有しています。


 そのユグドラシルの能力のひとつが[転生]です。


 雨が山に降り、川を下って海へ出て、それが雲になって再び雨を降らすように。


 弱肉強食の自然界、繰り返す生命の循環のように。


 地龍ユグドラシルは[転生]の力を持っています。


 その転生の力を使って、植物に変化したというわけですね!


 ちなみにティアの中に宿る風龍ティアマトも、ユグドラシルと同じ[創世記時代の龍]です。


 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ