表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
No Color  作者: 出海彩羽
23/26

第22話 変わりゆく少女

 「なるほどね~。ほほう。なるほどなるほど」

 その日の夜。彼方の予想通り、千沙の質問攻めにあった彼方は、完全にノックダウンしていた。

 「いやー! お熱いねえ!!!」

 千沙はニヤニヤしながら、彼方の頬をツンツンした。

 「本当に根掘り葉掘り聞き出しやがって……」

 「ぺらぺら喋る二人が悪いんだよ~」

 白河は部屋の隅で縮こまっていた。

 「おーい! みこせんぱーい!! もう帰ってきていいよー!!」

 その声に振り向いた、白河の顔は真っ赤だった。

 「……もう。千沙ちゃんの、ばか……!!」

 その表情と仕草に、千沙と彼方は小さくガッツポーズをしてしまった。

 そんな二人に白河は非難の視線を向けた。

 「……二人とも、きらい」

 「わあああ!! ごめんなさいごめんなさい!!」

 「三琴があまりに可愛かったものだからつい!! 許してください!!」

 「冗談だから……それ以上、褒めないで……。本当に、恥ずかしい……」

 白河は顔を覆って、完全に小さくなってしまった。

 そんな時間を三人で過ごし、気が付けば日付が変わっていた。


 「で、何でこんなことになってるんだ……」

 「えっと、千沙ちゃんが変な気を使ったから……かな?」

 そろそろ寝ようかという話になった時、千沙は二人でごゆっくりと言い残して自室に戻っていった。

 二人きりにされた彼方と白河は、何となく居づらいというか照れくささからか、何も話せずにいた。

 沈黙がしばらく続いたころ、先に口を開いたのは白河だった。

 「ねえ、彼方くん」

 「ん?」

 「彼方くんの作品、他にも見ていい?」

 「え……。あ、まあいいけど、面白いかどうかは保証しないよ……?」

 彼方は苦笑いしながら、これまでに書いてきた作品を取り出し、白河の前に置いた。

 手書きの原稿から、印刷された原稿まで、そこには一宮彼方のこれまでの作品が全てあった。

 白河は適当に一つ手に取って、読み始めた。

 それはお世辞にも上手いとは言えなかったが、彼方らしい面白さと、読者を引き込む力はどれも変わらずに存在した。

 「どれも、彼方くんらしいね」

 「何か昔の作品読み直すのって恥ずかしいな」

 「だね。でも、大事だよ」

 「そうだな」

 彼方も過去の自分の作品を読み直していた。

 読み直すと、自分の未熟さと、今の自分が忘れてしまっているものを再確認させてくれた。

 「この頃よりは上手くなってるとは思うけど、まだまだだな」

 彼方は苦笑いしながら、自分の作品を次々に読んでいった。

 どれだけの時間が経ったのか。

 彼方が一息つくと、白河が彼方の方を見ていた。

 「彼方くん」

 「どうかした?」

 「彼方くんは、これから先、どうするの?」

 「これからって言うと、将来の話?」

 「うん。どうするのかなって」

 白河に聞かれて、彼方はすぐに答えられなかった。

 こうなりたいという一応の夢はあるが、具体的に考えたことはなかった。

 「私は……作家になるよ。色んな人に私の本を届けたい」

 白河は真っすぐに彼方の目を見ていった。

 その迷いのない決意に、彼方も真剣に自分の夢を考えなければいけないと思った。

 「三琴なら絶対なれるよ」

 自分の将来は分からない。

 でも、白河の夢は絶対に叶う。

 そんな自信が彼方にはあった。

 その言葉に、白河はいつも通り微笑んだ。

 「ありがとう、彼方くん。……もう寝よっか」

 白河は、もぞもぞと布団に潜っていった。

 その姿を見送って、彼方も電気を消して布団に潜った。

 「おやすみ、彼方くん」

 「おやすみ、三琴」

 暗くなった部屋には月明かりだけが差し込み、二人の寝息だけが部屋には響いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ