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プロローグ
深夜零時。
坂の上に位置するその学校には、繁華街の賑やかな音や光、走行する車のそれすら届かない。
当然のように、校舎に灯る明かりもない。
しかし校庭には妙な明るさがあった。
――紺碧の空に浮かぶ、白いモノ。
幻想的な光を放ち、糸のような足をひらつかせて浮遊する様は、まるでクラゲだった。
「……今回もハズレ、か」
空に浮かぶクラゲを見ながら、私は自然とそう呟いていた。
するとクラゲは声に反応したかのように、幾つもの足をこちらに伸ばしてきた。
「遅い」
その緩慢さに呆れつつ、私は地を蹴った。
そうして、一閃。
右手に持った得物によって、クラゲのようなそれはいとも簡単に両断された。
その、あまりのあっけなさに溜め息すら漏らし、私は得物をしまった。
が。
「!?」
背後に違和感を覚えて振り返ると、真っ二つに割られたクラゲの体から、光の玉のようなものが膨らんでいた。
(しまった!)
しかし時は既に遅く。
光が、爆発した。