【第13話 メシアの思い】
「……とまぁ、3日間に渡って色々な彼女たちの気持ちを聞けたわけだけど」
私はいらないもの扱い、ほかの人格もいらないと思う、それが彼女たちだった。
「……あ、ミズキは違ったわね」
ミズキだけは、嫌だと思いつつも寛容に受け入れてくれた。
でも……。
「2対1だもんなぁ……」
2を押し切って1を尊重するなんてできない。
受け入れてくれたミズキには悪いが、私はとっとと退散することにしようかな。
そう思っていると、
「おはよう、メシア。で、どうだった?」
朝の挨拶早々、これまでのことを尋ねるディアが来た。
少しだけ寝癖が付いていて、魔王なのに可愛く見えてしまう不思議。
「んー…かくかくしかじかで…」
3人の思いをかいつまんで大雑把に伝えると、ディアは「……むぅ」と唸った。
「ね、だから私はいらないのよ。サクッとやっちゃいなさい。出来れば苦しむことなく、楽にね」
この景色を見るのも最後か、とどこか感慨深く窓の外を、部屋の中を……ディアの顔を見つめる。
ディアは、最初こそ傲岸不遜、魔王らしい魔王だと思っていたが、一緒に暮らしていくうちにだんだん魔王らしさが薄れていき、人間らしくなったと思う。――本人に言ったら相当嫌がられるだろうが。
ともあれ。
私は、おそらく今までで一番眩しい笑顔を見せた。
「今までありがとう、ディア。またいつか会えたら、また一緒に暮らしましょうね」
しかしこの笑顔は、決して嬉しさから零れた笑みではないことくらい、私が一番よく分かっている。
寂しいのだ。
今の今まで、朝と夜の半日にも満たない時間だけ存在できて、その間はディアと過ごして。
お互いに近況報告のようなものをしたり雑談をしていたら、先までカラスが家に帰って行っていたのに、いつの間にか夜の帳が降りていたり。
苦労はかなり多かったが、それなりに楽しかった日々といえよう。
それが急に、さながらシャボン玉のように、パッと消えるのだ。
彼女達の話ではないが、今までの日常を捨てたくない。
私も、おこがましくもそう思ってしまったのだ。
だがしかし、そう思っていられるのも今のうちだけ。
あと少しもすれば私は消えてなくなるのだから。




