【第12話 ルリの思い】
「ふぁ……って眩しいっ!」
日光が暴力のように照りつける朝。
今日はそれなりに悪い目覚めだから悪い一日になりそうだ……もちろん根拠はないが。
何とはなしに部屋を見渡すと、ボクの顔面に照りつけていた暴力的な日光は嘘のように、サラサラと照り輝く日光が窓から入り、一点を照らしていた。
「……ん?こんなのあったっけ?」
それは、机の上に置かれていた紙だった。
嫌な予感しかしないがまぁ、開けないわけにもいかない……というより開けたい!という興味なのだが。
手紙を開けると、そこには衝撃の事実が書かれていた。
「メシア……?」
ボクの中に……いや逆か。
メシアという主人格の中に、ボクがいたと。
なら、今までの生活は全て嘘?
ディアに助けてもらいながらも、苦労して料理を作って運んで売って、実に充実していたと思う。
それが、嘘……?
「……ボクはそんなの認めない。例えメシアがボクを望んでいなくても、ボク自身もメシアを望んでない。お互い様だよね。……ボクは嫌だよ、こんなに楽しい生活を捨てるだなんて」
ボクは静かに、フツフツと煮え滾るマグマのような実に醜い感情をあらわにした。
ボクは激昂することはなかったが、しかし寛容に受け入れようとも思えなかった。
『……そう、分かったわ。あなた達の考えは違えど、考えることは一緒なのね』
ボクの主人格だろうか、直接脳に届く声が聞こえた。
それからボクは、いつものようにディアにお使いを頼んで料理を作って運んで売った。
ほんわか春の陽気を思わせる素晴らしい笑顔の持ち主、ファルファさんも来てくれて、今日はいい一日だった。
あの、悪夢のような出来事――ボクはボクじゃないという事実を知った、否、知ってしまったこと以外は――。




