【第0話 はじまり】※ちょこちょこ修正しました
前作が完結しておりませんが、思いついたのがまとまったので。
エブリスタの方でも同じのを書いてます。
これは私が10になったばかりの頃の話だ。
「この魔女!あんたさえいなけりゃ……っ!」
記憶があやふやだが、これだけは鮮明に覚えている。
私の容姿が、世間一般的に『魔女』と呼ばれる類のものであるため、「母」のような女は私のことを忌々しく思っているのだ。
私がそのような容姿で生まれてきたがために、何もかもおかしくなったと喚いている。
私がいなければ、私さえ生まれて来なければ……と。
その時の私は特に何も思っていなかった。あーあー、こんなに泣き喚いて、明日声大丈夫なの、と考えていたほどだ。
今の私なら、私は別にアンタを選んで生まれてきたわけじゃないし、どっちかといえばアンタのせいで私が生まれさせられたんだよとでも罵ってやりたいところだ。
……失礼、それはともかく。
女は先までの狂ったような表情を一転させ、それはもう清々しい笑みを浮かべた。
「……そうだ、あんたがいなくなればいいのよ」
そう言って女は私に向かってジリジリ距離を詰めてきた。
殺される、何となくそう思った。
しかしここで殺されるほど私も優しくはない。
私は、それはもう全力で走った。
醜く泣き喚きながら、ただひたすら「母」だった女から逃げるために。
その必死の努力が叶ったのか、女は追いかけてこなくなった。
安堵すると同時に、私は思ってしまった。
「あぁ、所詮その程度だったんだ」と。
私が悪かったの、ごめんねって追いかけて来てくれると思っていたのに……私はその程度の人間だから、追いかけて来なかったんだ。
そう思った瞬間、私の体はカッと燃えるように熱くなった。
憎い憎い憎い、あの女が憎い!!
憎いと思っているはずなのに、どこか悲しさも感じる。
でも、「母」だった人間からも見捨てられ、そんな私が生きる意味はあるのだろうか。
目の前が真っ暗になる心地がした。
すると、目の前にふと影が落ちた。物理的に、目の前が真っ暗になったのだ。
「……生キタイカ?」
こくり、と小さく頷くと、影がニィッと笑った。
その途端、私の体が急に重くなり、ガクン、と私の身体が傾いた。
地面に体がぶつかる直前、私は影がうっすら人間の姿になったような気がした。真っ暗闇の中に一筋、赤い光が見えたが、それが何なのか確認できないまま、私の意識は闇に沈んだ。




