1ー⑤ ダメルフ
よろしくお願いします
途中で格差社会をヒシヒシと感じる様な食事休憩を挟み、半日程かけてリリラルちゃんの村まで来ました。英国王室御用達の超高級ペットフードを食べる姉達に対してカップ麺をすする自分とエルフ。そこに連帯感を感じて少し優しくする事にしました。
村の入り口は柵が有り簡素な門が有るという異世界ファンタジー定番のThe 村!って感じです。槍を持ってのんびり座っている門番が見えて来るとリリラルちゃんが走り出しますがトモエに咥えられた腰紐のせいで躓いて『ピギャ!』と言って顔面ダイブしてました。まるで○斗の拳のヒャッハーしてる雑魚キャラの様な台詞でした。どう見てもヒロイン枠では無く色物枠ですなこのエルフちゃんは。
皆で門に着くと門番の中年エルフから
「ん?おい!リリラル。お前さんいったい何をしたんだッ!…はぁ〜…またか…もう何度目になるだろうか、またやるんじゃないかとは思ってたが、本当にやらかしおってこのバカチンめっ!!」
リリラルちゃんを縛ったままだと気付き『ヤベ!やっちまったかも!!』と失敗を覚悟しましたが門番の方のセリフは予想の斜め上でした。目をグワっと開き唾を飛ばしながらリリラルちゃんを叱ります。
『ち、違う!叔父さんわたしはーー』とリリラルちゃんが否定しようとしましたが
「何が違うだ!お前さんがトラブル無しで帰って来た事が何回有る?いい加減現実を見ろ!いつも家族や村の者に迷惑をかけよってからに!」
どうやら門番の中年エルフはリリラルちゃんの一族のようだ。話の内容からリリラルちゃんはやっぱり残念な子、ダメッ子エルフに分類されるらしい…これからはダメッ子エルフを省略してダメルフと呼ぼう。色物決定。
「…あなた方が今回このバカに迷惑をかけられた方ですな?わしはこのバカの叔父でサセッスと言う者です。この度は本当に申し訳ない。ええ、ええ解っておりますとも謝って済む問題では無いと思いますし、弁償やその辺りの事も含めまずは村長の家まで来て頂きたいのです。あ、村長はわしの兄でも有りこのバカの父親でもあるのですわ。ささ、まずは案内しますのでどうぞ!」
アホに弁明の余地無しとばかりにリリラルちゃんの話しを遮り俺達に話しかける中年エルフ。…解る、解るよ叔父さんとやら。まるで取引先でポカをやらかしたバカチンな部下を取引相手の目の前で鬼の形相で叱り、取引相手には揉み手をしながら天使の様な笑顔で仕事の話しをする自分を見てるようだ。ちなみにポカをやらかした部下は、取引先からの帰り道に合コンの誘いの電話がかかってきてました。色々な意味で…本当に色々な意味で殺意を覚えた40歳の時の出来事です。
…バカチンの部下はその合コンで、大幅にサバ読んで年齢と見た目をメイクで誤魔化し偽りの笑みで性格の悪さと腹黒さを隠し狡猾に若い男を狙う地雷みたいな女に引っ掛かったそうです。半年後には結婚式に招待されスピーチで指を指して『ざまあ〜!』と言いそうになるのを堪えて「おめでとう」と言ってあげました。
リリラルちゃんの叔父さんの案内で村の中に入ります。門をくぐる時に『神・降・臨!』とか言ってトモエの背中で引っくり返るくらい胸を反らしているビーストが1匹いましたが皆スルーしてくれました。もちろん自分も他人の振りです。
村の中心辺りで、周りよりも大きな家の前まで案内してもらい、その扉を開け中に入ると…
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