2ー6 スキル
よろしくお願いします。
遅れてすみませんでした。
ギルドマスターを見てから自分の脳内で音楽が鳴っています。
たぶん新たに得たスキルではないかと思います。今の自分は能力が低い為に未だステータスを見る事が出来無いのですが、脳内で音楽が流れるなんて今迄無かった事だしスキルで無いとしたら、どれだけ自分の頭がイカレてるんだと云う事になりますからね。
異世界で初めて得たこのスキルはおそらく警鐘の様なモノではないかと思います。
ギルドマスターを見てから急に"鎮魂歌"が流れ出した事からも間違い無いと思うんです。
何せギルドマスターは腕や脚は筋肉でパンプアップされたスキンヘッドの2m超えの巨漢。そして顔は○の錬金術士の○ームストロングにそっくりで髭に紫の口紅がその異様さをUPさせている。そしてサスペンダーを使ったショートパンツに白のレスラーシューズを履き、腹部丸出しのスケスケ半袖Tシャツ。さらにスキンヘッドには紫薔薇と"MAN"と書かれたピンクのハートを矢が貫いたタトゥー。
どこをどう見てもヤバイとしか言いようがない。
地球でなら存在するだけで警察が出動するレベルのヤバイ奴の様な感じなんですよ。
それにしても異世界に来て初めて得るスキルがこんな形で発動するとは…まあ意外と便利だと思うけどちょっと地味な様な気が…。それに鎮魂歌っていう選曲もこの後の展開を不安にさせるんだけど…………
ちなみに聞こえて来た鎮魂歌はこんな感じです。
Requiem (Giuseppe Verdi) 〜Dies irae〜
【訳:本当の歌詞サビ】
怒りの日、まさにあの日に、解き砕くだろう、
この世を灰に、ダビデとシビラが証したように、
どれほど震えがあるだろう、そのとき裁き手が来るだろう、
すべてを厳しく打ち砕くだろう!
【訳:自分にはこう聞こえた】
驚愕の日、まさに今日、掘られるかもしれない、
自分のケツを、オカマとゲイが狙うように、
とても震えが止まりません、そして強姦魔が来ている、
すべてを激しく撃ち込むだろう!
「さっきの美味しそうな声は、そこのBOYからかしら?」
ギルドマスターは地声は野太いのに無理に高い声を出している様な、まんまアッチ系の人の声だった。なんか悲鳴の意味が違って聞こえました。
「すみませんギルドマスター。彼は少しシャイみたいで僕の求愛行動に驚いてしまった様で…」
平然と嘘を吐く眼鏡野郎。アレは求愛行動で無くある意味レイプだと思う。
「ちょっとスミス!此処では女将かママと呼べと言ったでしょっ!」
女将かママって……なるほど、このギルドマスターはまんまオカマって云う事ですね。オカマのギルドマスターにゲイの職員………新宿2丁目とハッテン場を足して10倍濃くした様なギルドだな。うん、逃げよう。
眼鏡野郎のスミスがギルドマスターに気を取られてる隙に、掴まれていた手を強引に引き離し出口へとダッシュしようとしたら………………
目の前に自称女将が立ち塞がっていた。
「あらBOY、そんなに急いで行こうとする事ないじゃない。それともトイレ?もしトイレなら手伝ってあげるわよ?」
オカマやゲイと同じ空間のトイレに入るくらいヤバイ事はない!それなのに手伝うって、ナニを手伝うつもりなんだ!!
女将は見た目通りパワフルで両肩を押さえられると、自分はソファーまで押し戻されてしまった。
「BOYウチの職員がゴメンなさいね?悪気が有った訳じゃ無くてチョッとだけリビドーが溢れちゃっただけなのよ」
とか言いながら自分の隣にちゃっかり座る巨漢女将。出口側の左手に女将。右手にゲイ眼鏡スミス。…………やべえ、コレ詰んだわ。
もはや自分の目にはハイライトは無く、レイプされた人の目の様になっていました。
この時の自分の心の中では、さっさとこのデンジャラスな場所から逃げ出し真っ直ぐ娼館に行ってカワイイ女の子に精神的&肉体的に慰めてもらおうと思っていました。
所謂"現実逃避"ですね。人は絶望の淵に在ると過酷な現実から目を背け楽観的な事を考えてしまうのですよ。まさか自分が実体験するとは思いませんでしたが。
「BOY大丈夫?目が死んでるわよ?………とりあえず私から謝罪だけでもしておくわね?」
自分の顔の前で掌を振って意識がしっかりしてるか確かめる筋肉巨漢ママ。そして自分を、その分厚い胸の筋肉と太い腕で抱きしめた。
某人型兵器の3番目のパイロットなら『動け、動け、動け!』と活動停止した者を覚醒させる事も出来るだろうが、このおじさんは主人公体質でもヒーローでも無い元サラリーマンの係長なのです。それに○ヤナミの様な女の子が奪われた訳でも無いし、と云うよりむしろ自分の色々なモノがこれから奪われそうな認めたく無い状況で行動出来る筈がありません。………エヴァは心のバイブルです。劇場版ファイルはいつ上映するのでしょうか?定年の年齢前にはやってほしいですね!
流されるまま、されるがままのこの状況。
まるで酔っ払ったオカマの過激なスキンシップを受ける新宿2丁目のお店の様です。
まあ新宿2丁目と言うより地獄の1丁目in冒険者ギルドの方が正しいですかね。
ちなみにスケスケTシャツの下には女物のブラが見えていたけど脳が見えた事を拒否していました。
筋肉巨漢ママにハグされ、筋肉による圧死と精神的に死ぬのとどっちが早いかと云う状況で突然、ニュー○イプが相手の存在を感じた時にする効果音"ティロティロティン"みたいな音を脳に感じました。すると…………
筋肉巨漢なオカマにホールドされてる自分を上から眺めていました。
『ああ、精神的に持たなかったからショック死したのか…』と最初思いましたが、効果音が鳴ったという事はここに来てまた新たなスキルが発動したのだと気付きました。
どうやら新しいスキルは幽体離脱のようです。おそらく余りにも嫌な事が起こり脳が精神を守る為にブレイカーを落とす感じでスキルが出て来たのだと思いますが………。
とりあえず、あのブ厚い筋肉の胸の感触や漢なのに女性物の臭いのキツイ香水を感じなくていいのは助かりますね。
「………?…!!ちょっとBOY!大丈夫!?…イケナイわ!私の魅力で悩殺してしまったかも!………こうなったら仕方ないわね…そう、これは仕方ない事だわ!私のギルドマスター室で愛のこもった手厚い看護をするしかないわねん!」
!!マズイです。精神は助かるかもしれませんが、肉体の方が助からないかもしれません。
あッ!巨漢漢女が自分の体を脇に挟んでギルドの二階に向かおうとしています!!!!
「…BOY、私の名前はローズよん。聞こえていないと思うけど。…それと末長くよろしくねん♡」
や、やめてえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!………何が末長くなのかは考えたくも無いし、これから起こる事は一片の想像すらしたく無い!
マジでピンチです!ミケとトモエを呼ぶしかない感じです!!
お読み頂きありがとうございます。




