2ー5 紫薔薇ギルド
よろしくお願いします。本日2本目です。
「何か依頼をお探しですか?そうであればカウンターの方でも冒険者の皆様に合う依頼をご紹介しております。もちろん私達ギルドスタッフ一同、それはもう手取り足取り親身になって相談に乗り依頼をご紹介させて頂いておりますので、如何でしょうか?」
と受付カウンターにいた眼鏡のイケメン野郎が声を掛けて来ました。
『イケメンは声掛けてくんじゃ無えーよ!アッチに行け、シッ、シッ!』とも思いましたが、正直それ以上に"スゴイ営業努力だなぁ"と感心してしまいました。
いくら日中でもギルド内の冒険者の数が少ないとは思っていましたが『そこまで営業努力をしないとイケナイとは………』と自分は眼鏡野郎にほんの少し同情してしまったのです。
「すみません、自分は冒険者では無いのです。もしかしたら依頼を出す事も有るかと思い見学に来ただけなんですよ。」
「そうでしたか。…今はギルドも空いているので、よろしければ相談エリアの方で依頼に関して色々とお教え出来ますので如何でしょうか?」
「…いいんですか?それならよろしくお願いします。」
なんかこの眼鏡野郎は頑張ってるし、良い奴のようなので呼び方を眼鏡君に昇進ですね!
お互いに名前を教え合ってから相談エリアへと移動しました。
相談エリアは飲食スペースの隣で、その両エリアの間には小さな魚が泳ぐ大きめの水槽が有る事により分断されています。3人掛けのソファー2つが、真ん中にテーブルを置いて向かい合って置いてあるのです。その片方に自分は座り、依頼関係の資料を持って来る眼鏡君を待っていました。
やがて眼鏡君が資料を持って此方に来ると、なぜか自分と同じソファーに座る眼鏡君。
まあ、時に親密感を与える為に敢えて隣に座ってセールストークする人もいるけど、その殆どは怪しい商売か新興宗教と相場は決まっている。
この眼鏡君やこのギルドは怪しい商売とかに関係してるのかも?…などと考えていると、先程まであった眼鏡君までの50㎝以上の距離がかなり詰まっていた。
そして逃れる様に座ったまま移動すれば、さらに近付いて来る眼鏡君。
それに説明をする時に度々自分の耳元に息を優しく吹きかけながら囁いてくる。
「ーーーと言う訳で(フ~)25%が税金とギルドへの手数料として引かれるのですよ。解りましたか?(フ~)ナ・ツ・オさん?(フ~)」
マジでキモイ!この眼鏡野郎はガチで真性だな!やっぱ眼鏡野郎で十分だ!!
自分の精神がヤラレル前に、この眼鏡野郎から至急離れるべく急に立ち上がり向かいに側のソファーに回り込み腰掛ける事にした。
しかし、いつの間にか眼鏡野郎が隣に居た……
もう一度向かいのソファーに移る為に立つと、眼鏡野郎も立ち上がる………
ドサッ←(ソファーに座り直す自分)
ドサッ←(眼鏡野郎も座る)
『………』
『………』
サッ、ササ←(立ち上がり脱出を図る自分)
シュバッ!←(自分の脱出路を塞ぐ眼鏡野郎)
『…………』←(ゴミを見る様な目をする自分)
『…… /////♪』←(ご褒美とばかりに頬を染める眼鏡野郎)
ビシッ!!←(中指おっ立てジェスチャーをする自分)
ガシィ!…パクリ←(自分の手を両手で掴み中指を咥えた眼鏡野郎!)
「…ゑ?……!!!!!!!!!!!!!!」
じゅるり←←(咥えただけで無く舐め出す眼鏡野郎!)
「 NOォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!」
ぽっ、ペロペロペロペロペロ←←←(頬を赤らめさらに舐める眼鏡野郎!)
「イヤァァァァァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」←(乙女の絹を裂くような悲鳴【注:自分です】)
『だ、誰か助けてくれ!』と涙目で辺りを見れば、飲食スペースの女冒険者4人組と目が会った。彼女達の目は爛々と輝き、そして口を拭う仕草から両手を合わせてのほっこり超イイ笑顔。まるで、
『イイもの見せてくれて、御馳走様でした!』
と言っている様だった。ダメだ!奴等は腐人冒険者だ!!助けにならない!
そしてーーーーーー
「さっきの悲鳴は何かしらん?」
そしてこの、ファシアル王国王都アルスタ北支部冒険者ギルド、通称『紫薔薇ギルド』のギルドマスターが現れたのだ。
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