1ー17 ヒゲ
よろしくお願いします。
誓紙の説明を終えこちらの計画を聞き終わったヒゲダンディーは、抑えきれない喜びを取り繕うので精一杯のようでした。
『これからは私の事を気安くロスと、名前で呼んで欲しい。心の友ナツオよ』
などと気分の良い時のジャイ○ンの様なセリフを言いながら背中をバンバン叩いて喜んでいましたね。
そして支店は部下に任せて翌日には急いで王都に向かって行きました。
後は2カ月後にヒゲダンディーが王都での仕込みを終え4つの勢力の代表を連れて来てくれれば役満テンパイって感じです。
この計画では4つの勢力は全てに大きな利益が有り、ヒゲダンディーの話では
『断る事はあり得ないが、今後の付き合いが増えて忙しくなって困る事はあるかもしれない』
と笑いながら言っていました。
大船に乗った気持ちで待っているとしますかね。
待っている間に自分がする事といえば、ダメルフちゃんがアホな事しないように見張る事と、ミーメちゃんの心の天秤が村を見捨てる方に傾かない様に気を付けるくらいですかね。
ミーメちゃんはバカ孫サイドの人間という訳では無いようです。
以前に接触が有った事は自分から話してくれました。ただ内容までは話してくれませんでしたが…。
自分の予想は、ミーメちゃんは真面目で頭も良いしエルフとして立場の有る仕事もしている。
けど、此処での考え方やエルフとしての生き方とかに疑問を持ってしまい、迷いを抱えていたんじゃないかと思う。
そこを突かれてバカ孫サイドから接触が有ったと。
そして大方、バカ孫サイドは奴隷容認の流れにする為に村人を扇動してくれれば、奴隷にはミーメちゃんを指名しない上に、子爵領外に出て他所の住民となる事の許可と幾ばくかの金銭。
こんな感じだと思うんだよね。
まあ、真面目なエリートがチョッとした事で深く悩んでしまうソレとよく似ている。そして悩んでいるもんだから、行動まで変になって失敗してまた悩んだりするんだよね。
ミーメちゃんは、そんな悪循環の無限ループに陥ってる感じがする。正直メンドクサイけど、美人は助けたいと思うおっさんの気持ちも有る訳で…さてさて、どうしようか?
◇2ヶ月後◇
ヒゲダンディーから使いが来て、今はザラスの街ヴィラント商会ザラス支店の応接室に居ます。
そして、にこやかな笑みでヒゲダンディーに4つの勢力の代表を紹介されました。
その時自分の脳内には○ヴァのネル○の副司令、冬○が現れ『勝ったな』と囁いてくれました。もちろん自分は司令のゲンド○のように『ああ』と返事をしましたが。
…有給消化の長期休暇中にゲンド○髭にチャレンジした事がありましたが、ガチで変なムサイおっさんにしか見えなかったのでスグに剃りました。買ってしまったゲンド○の衣装は押し入れの奥に封印してあります。
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