さよなら現実
よろしくお願いします。
「姉貴、姉ちゃん、さあ行こう!」
じっくりと時間を掛けて準備をして今日、満を持して姉達とゲートをくぐる。
行くまでに時間を掛けたが不安はまだ有る。『本当にこの装備で大丈夫か?』『向こうでやっていけるのか?』『…いっそこのまま此処で…』しかし期待も少しは有るのも確か。いや、正確には期待をしたいが正解か…何せ自分は世界から不必要とされたのだから…………
同じ夢を何回も見た事が有るだろうか?自分は有る。高校位の時から何種類かの夢を二十数年間ずっと見ている。勿論見ない日もあるし違うくだらない厨二病全開の夢を見る事も有る。しかし昔から見ている同じ夢は一切の変化も無くシーンもセリフも全く同じままだ。
就職してからは精神的な病気かとも悩んだがいい歳をした大人として、また不景気時代に会社に勤める人間して病院に行ったり誰かに相談する事もなく生きてきた。
そして42歳の誕生日。正午になった瞬間世界が変わった。
部屋やアパートの周りの建物の形や大きさは以前と同じ、しかし目に見える全てが色褪せた世界。音や風そして自分以外の生物の存在が全く感じられず時間すら止まった世界。
そして何処からか聞こえてくる男とも女とも思える声、急に目の前に現れた姉達。それが自分、森脇夏生の終わりと始まりの場面だった。
呆然としている自分に姉達が話しかけ、言われるままに聞こえてくる言葉を聞いた。
とても凄い内容だった。チキンなメンタルなら自殺を考える位の事実に自分はただ驚いていただけだった。その後は姉達に励まされながら自分の状況把握をしてから、姉達と一緒に考え相談し準備に取り掛かった。
準備をしながら、つい聞いた言葉を思い出してしまう。どうやら自分は本当なら20歳で死んでいたらしい。神様に危険人物として世界危機の始まりのキーマンとして世界存続の為に神によって火事で死ぬ事になっていたようだ。しかし神の使いに昇格した姉達のおかげで世界を別の流れにする事で様子を見る事になったらしい。しかし世界は危機が先に伸びただけで流れの本流は変わらなかった。結局自分が42歳以降に世界に影響を与えてしまうらしく、神様や姉達も諦めて違う世界に行かす事、すなわち異世界へとリストラされる事になった。
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