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天の蜜、天の香り  作者: ふもふも
香りの行方
6/36

ろく

本編にただいま

――― かーさま~~! ―――

――― レーナ~~!

   小鳥さんが「朝だ」って朝の挨拶してるわよ~! ―――


「......」


 チチチチッ!

 ピチュチュチュ!!


う~~、だるい...。

寝すぎたみたいにだるい。


ん~~、フカフカで気持ちいい...。

......。

...フカフカ?

フカフカ...。


ガバッッ!!!

飛び起きると、そこはいままで見たことのないような部屋だった。

白と緑色を基本とした、清潔感のある部屋。

窓辺にはレースのカーテンが揺れている。

朝日がまぶしい。


こんなとこ住んだことないしぃぃいい!!!!

なんで~~~!?

おまけにここに来た記憶もないぃぃぃいい...!


一気に血の気が引く。

最後の記憶を探る。

確か私は、洞窟でぼんやりしていたはずだ。

フッとよぎる麗しの虎の獣人。

眠りの術で強制的に寝かされた!!


あンのおとこおぉぉぉおお!!!

規格外の魔力を持ってんだったらサッサと言いなさいよ!!!

縛りの呪がちっとも効かないじゃんか!!


怒りに打ち震えて枕を殴りつけていると、コンコンとドアを叩く音がする。

ガチャと開くと「あのおとこ」が入ってきた。


「やぁ、おはよう」

爽やかに微笑むフィレスに思わず「ぅう!」とうめきたくなる。

「何が『おはよう』なの!

 ここはどこなのよ!?」

今にも飛びかからんばかりに、ぎっと睨みつける。


「あはは、威勢がいいね!

 ここは王都の俺の家だよ」

フィレスは機嫌よくベッドのわきにあるカウチに座る。


王都ですって?!!!


真っ青になるレーナに「ん?」とフィレスは首をかしげる。

「おおおおお、お、王都なんか、どうしてくれんのよ!

 すぐに変なのに見つかっちゃうじゃない!!」


人の多い場所はそれだけ光あれば闇も深い。

レーナなんてあっという間に、闇の世界へ引きずり込まれてしまう。


「ねぇ、名前教えてよ」

ひざにひじをつきながら、のほほんとフィレスが聞いてくる。

「今はそれどころじゃないわよっっ!」


レーナは必死に頭を巡らす。

たぶんここからすでに広く香りがもれ出しているはずだ。

近い未来だれかに見つかってしまう。

だからといってここから飛び出しても、すぐにだれかに捕まるだろう。

......。

そうね、たぶん、真っ先にこの規格外虎に...。


ジトッと睨みつけるとフィレスは肩をすくめてみせる。

「俺と取引しよう。

 俺は空間断絶の術を知ってる。

 君のセルジュの香りを外に出さず、君の命を守ってあげるよ」


あまりの驚きに呆然とする。

「そんなことできるの?」

「ようは割れないシャボン玉と一緒だろ?

 ま、そのシャボン玉の中に鼻突っ込んだらバレるけどな」


火をつけるくらいしかできない自分の魔力じゃできない代物だ。

どんな詠唱かもわからない。


「そうしたら王都でも普通の生活ができる。

 やりたいこと、いままで我慢したことができるよ。」

「勉強もできる?

 友達もできるの?」

我に返り笑顔で問いかけると、フィレスがまぶしそうに微笑む。


「うん、そのまえにさ、俺的には眼福なんだけど、気づいてないだろうからね。

 着替えよっか!」


ばちこ~~~~~ん!!!!





毎度どうもありがとです

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