ろく
本編にただいま
――― かーさま~~! ―――
――― レーナ~~!
小鳥さんが「朝だ」って朝の挨拶してるわよ~! ―――
「......」
チチチチッ!
ピチュチュチュ!!
う~~、だるい...。
寝すぎたみたいにだるい。
ん~~、フカフカで気持ちいい...。
......。
...フカフカ?
フカフカ...。
ガバッッ!!!
飛び起きると、そこはいままで見たことのないような部屋だった。
白と緑色を基本とした、清潔感のある部屋。
窓辺にはレースのカーテンが揺れている。
朝日がまぶしい。
こんなとこ住んだことないしぃぃいい!!!!
なんで~~~!?
おまけにここに来た記憶もないぃぃぃいい...!
一気に血の気が引く。
最後の記憶を探る。
確か私は、洞窟でぼんやりしていたはずだ。
フッとよぎる麗しの虎の獣人。
眠りの術で強制的に寝かされた!!
あンのおとこおぉぉぉおお!!!
規格外の魔力を持ってんだったらサッサと言いなさいよ!!!
縛りの呪がちっとも効かないじゃんか!!
怒りに打ち震えて枕を殴りつけていると、コンコンとドアを叩く音がする。
ガチャと開くと「あのおとこ」が入ってきた。
「やぁ、おはよう」
爽やかに微笑むフィレスに思わず「ぅう!」とうめきたくなる。
「何が『おはよう』なの!
ここはどこなのよ!?」
今にも飛びかからんばかりに、ぎっと睨みつける。
「あはは、威勢がいいね!
ここは王都の俺の家だよ」
フィレスは機嫌よくベッドのわきにあるカウチに座る。
王都ですって?!!!
真っ青になるレーナに「ん?」とフィレスは首をかしげる。
「おおおおお、お、王都なんか、どうしてくれんのよ!
すぐに変なのに見つかっちゃうじゃない!!」
人の多い場所はそれだけ光あれば闇も深い。
レーナなんてあっという間に、闇の世界へ引きずり込まれてしまう。
「ねぇ、名前教えてよ」
ひざにひじをつきながら、のほほんとフィレスが聞いてくる。
「今はそれどころじゃないわよっっ!」
レーナは必死に頭を巡らす。
たぶんここからすでに広く香りがもれ出しているはずだ。
近い未来だれかに見つかってしまう。
だからといってここから飛び出しても、すぐにだれかに捕まるだろう。
......。
そうね、たぶん、真っ先にこの規格外虎に...。
ジトッと睨みつけるとフィレスは肩をすくめてみせる。
「俺と取引しよう。
俺は空間断絶の術を知ってる。
君のセルジュの香りを外に出さず、君の命を守ってあげるよ」
あまりの驚きに呆然とする。
「そんなことできるの?」
「ようは割れないシャボン玉と一緒だろ?
ま、そのシャボン玉の中に鼻突っ込んだらバレるけどな」
火をつけるくらいしかできない自分の魔力じゃできない代物だ。
どんな詠唱かもわからない。
「そうしたら王都でも普通の生活ができる。
やりたいこと、いままで我慢したことができるよ。」
「勉強もできる?
友達もできるの?」
我に返り笑顔で問いかけると、フィレスがまぶしそうに微笑む。
「うん、そのまえにさ、俺的には眼福なんだけど、気づいてないだろうからね。
着替えよっか!」
ばちこ~~~~~ん!!!!
毎度どうもありがとです