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天の蜜、天の香り  作者: ふもふも
移り香
33/36

きゅう

神殿の生活棟が燃えていた。

周りに住んでいる人たちも少しずつ集まりだしている。

「フィレーーース!!」

大きな声で叫んでも返事はない。

「レーナ様、あの入口から入ってみましょぉ!

 『火のないとこにフィレスは立たない』ですよ!」

リリーの指さすところに茶色いドアが見える。

例えが微妙だ。


ドアは鍵があいている。

そぉっと中を覗くと正面にフィレスが立っていた。


「お、フィレス様ですよ。

 なにやらドロドロな感じですけどね」

フィレスが半端なく怒ってるのがわかる。

なぜだか上半身が裸だ。


すると、隙間からは見えない位置にいる人たちに向かって、フィレスが口を開く。

「おまけに上半身裸にひん剥かれてて、寝てる間に拘束具付けられたりイタズラされてんの。

 体からその頭おかしい巫女のニオイ臭いもん。

 おぇっっ...吐きそう。

 ねぇ...俺の怒り、わかるよね?」


え~~~!!

ちょっと待ってよっっ!!


横から「ぶふぅ!」とリリーが笑う。

その笑い声にフィレスがこちらに気づく。

満面の笑みだ。

そんな笑顔に騙されない!!


「やだ、フィレス!

 あなた女の人に喰べられちゃったの?!」

ショックで泣きたくなる。

そんな私を見てフィレスが動揺する。

「待ってレーナ!

 俺まだ真っ白!!

 純白で汚されてないっ!」

「スゴイ爆笑ですからやめてくださいよぉ!

 フィレス様が真っ白だったら、私は透明ですって!」

ワハハ!と笑いながらリリーがつっこむ。

「リリーはこいつら片付けてっ!

 レーナは俺の話聞いて!」

「りょーかいです」と言いながら、ピョンと中にリリーが飛び込み、フィレスから投げてよこされた剣を掴む。

「代打リリーちゃん!

いっきま~~すっ!」

ヒュンヒュンと剣を回すリリーの脇をフィレスが駆け寄ってくる。


おもわずうぐうぐ泣き出してしまう。

「フィレスのバカッ!

 そんな簡単に眠り姫ばっかりやってるから、変なことされちゃうんだよっ!!

 もっと好きになって欲しかったら、ちゃんと緊張感持って行動しなさいよっっ」

「眠り姫って...俺のこと?

 あぁごめん、心配かけてごめんってば!

 って、ん?...もっと?」

「そうよ!

 フィレスモテるし、不安でおちおち『好き』だなんてこと言える...ん?」

勢いで暴露しちゃった!!と慌ててフィレスの体を押しのけ、後ずさりながらガバッと斜め下を向く。

「レーナ、顔上げて」

「嫌よ、嫌ったらいや」

「あぁ、怪我の功名...神殿を全壊させて、バカ巫女をすり潰すって計画は、なしにしよう...。

 リリー、俺帰るから適当にストレス発散したら帰ってきていいよ」

「はぁ~い、明日のお仕事に支障が出ない程度に暴れときます~」


「フィレス待ってぇ」とか「ズゴン」とか「ガシャーーン」なんて音が激しく聞こえるけど、そんなこと構ってられない。

私はベタベタするフィレスから逃げるのに必死だ。

遠くからロックの声がする。

「レーナちゃん、破壊兵器回収の協力ありがとね~~!」


意図して回収したんじゃないわぃ!

この上なく上機嫌のフィレスに一晩中喰われて、もう身も心もガタガタ...。







ここでとりあえずのおしまいです

ありがとうでした!

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