きゅう
神殿の生活棟が燃えていた。
周りに住んでいる人たちも少しずつ集まりだしている。
「フィレーーース!!」
大きな声で叫んでも返事はない。
「レーナ様、あの入口から入ってみましょぉ!
『火のないとこにフィレスは立たない』ですよ!」
リリーの指さすところに茶色いドアが見える。
例えが微妙だ。
ドアは鍵があいている。
そぉっと中を覗くと正面にフィレスが立っていた。
「お、フィレス様ですよ。
なにやらドロドロな感じですけどね」
フィレスが半端なく怒ってるのがわかる。
なぜだか上半身が裸だ。
すると、隙間からは見えない位置にいる人たちに向かって、フィレスが口を開く。
「おまけに上半身裸にひん剥かれてて、寝てる間に拘束具付けられたりイタズラされてんの。
体からその頭おかしい巫女のニオイ臭いもん。
おぇっっ...吐きそう。
ねぇ...俺の怒り、わかるよね?」
え~~~!!
ちょっと待ってよっっ!!
横から「ぶふぅ!」とリリーが笑う。
その笑い声にフィレスがこちらに気づく。
満面の笑みだ。
そんな笑顔に騙されない!!
「やだ、フィレス!
あなた女の人に喰べられちゃったの?!」
ショックで泣きたくなる。
そんな私を見てフィレスが動揺する。
「待ってレーナ!
俺まだ真っ白!!
純白で汚されてないっ!」
「スゴイ爆笑ですからやめてくださいよぉ!
フィレス様が真っ白だったら、私は透明ですって!」
ワハハ!と笑いながらリリーがつっこむ。
「リリーはこいつら片付けてっ!
レーナは俺の話聞いて!」
「りょーかいです」と言いながら、ピョンと中にリリーが飛び込み、フィレスから投げてよこされた剣を掴む。
「代打リリーちゃん!
いっきま~~すっ!」
ヒュンヒュンと剣を回すリリーの脇をフィレスが駆け寄ってくる。
おもわずうぐうぐ泣き出してしまう。
「フィレスのバカッ!
そんな簡単に眠り姫ばっかりやってるから、変なことされちゃうんだよっ!!
もっと好きになって欲しかったら、ちゃんと緊張感持って行動しなさいよっっ」
「眠り姫って...俺のこと?
あぁごめん、心配かけてごめんってば!
って、ん?...もっと?」
「そうよ!
フィレスモテるし、不安でおちおち『好き』だなんてこと言える...ん?」
勢いで暴露しちゃった!!と慌ててフィレスの体を押しのけ、後ずさりながらガバッと斜め下を向く。
「レーナ、顔上げて」
「嫌よ、嫌ったらいや」
「あぁ、怪我の功名...神殿を全壊させて、バカ巫女をすり潰すって計画は、なしにしよう...。
リリー、俺帰るから適当にストレス発散したら帰ってきていいよ」
「はぁ~い、明日のお仕事に支障が出ない程度に暴れときます~」
「フィレス待ってぇ」とか「ズゴン」とか「ガシャーーン」なんて音が激しく聞こえるけど、そんなこと構ってられない。
私はベタベタするフィレスから逃げるのに必死だ。
遠くからロックの声がする。
「レーナちゃん、破壊兵器回収の協力ありがとね~~!」
意図して回収したんじゃないわぃ!
この上なく上機嫌のフィレスに一晩中喰われて、もう身も心もガタガタ...。
ここでとりあえずのおしまいです
ありがとうでした!




