ろく
もいっちょフィレスターン
「まぁ、今年もフィレスなのね。
わたくし嬉しいわ!」
巫女が手を叩いて喜ぶ。
このちんちくりんのどこが可愛いのか俺はわからん。
詰所から移動し、王城の控え室に入る。
「警護の担当をさせていただきますフィレスです。
よろしくお願いします」
いつもの簡潔な挨拶をする。
「他人行儀なのね。
わたくしさみしいですわ」
腕にそっと触れてくる行為はわざとなのか無意識なのか、とにかくポーカーフェイスを決めこむ。
あ~~~、巫女がレーナだったらなぁ...、レーナから甘えるように触ってきたら、...うん、完全に容赦なく押し倒すな。
俺の妄想をぶった切るように巫女が声をかけてくる。
「ずいぶん女性っぽい香水をつけられてるのね?」
なんで俺がわざわざ女物の香水なんて付けるんだ...。
「...恋人の移り香ですね」
すると愕然としたように巫女がすがりついてくる。
「あなた、まさかどなたかとお付き合いなさってるの?!
わたくしというものがありながら、どこのどなたですの!!」
『わたくし』って、いつ俺がお前のこと好きとか思ったんだよ。
接点花祭りしかなかったのに、マジキモイんですけど~~!
ロック~~~、護衛代わってくんねぇ?!
「...お付き合いというか...彼女とは結婚しようと思って一緒に暮らしてます」
あんたには入る隙ないのっ!て、キッチリ言ってやる。
「...なんてこと...」
なんてことって、あんたの頭が『なんてこと』でしょ?
こっれだからチヤホヤされたやつは~~っ!
世界が自分中心で、ま~~さか自分の思い通りにならないことがあるはずない!!って思うんだ。
「フィレス、きっと転がり込んできたその女を無下にできないのでしょう?
あなたとても優しいもの。
...でもわたくしがいますので大丈夫ですから、ね?」
俺の腕を両手で掴みながら、微笑み首をかしげてくる。
寒イボ寒イボッッ!!
はい、こいつ決定。
エマージェンシ~~エマージェンシィィイ!!
頭花畑な危険生物発見。
闇に葬り去ったら後始末がめんどくさいので、さっさと神殿に引き取って頂こう。
巫女を控え室から馬車に乗り込ませ(「フィレスと一緒に乗る!」とか駄々こねだしたときは、危なくす巻きにして放り込むところだった...マジ最悪)馬にまたがり城下のステージに向かう。
舞台裏でまたもやベタベタしてくるのをポーカーフェイスでいなす。
「恥ずかしがって...ウフフ」なんて聞こえ、魔法弾を打ち込まなかった自分を褒めたい。
寒イボ立たせながら巫女をエスコートする途中レーナを見つけた時は、巫女なんか投げ飛ばして群衆をかき分けて抱きつきたかった。
俺の癒しっ!
途中レーナの見せた少し寂しそうな顔は、後でキッチリ確認しよう。
まさかこのアホ巫女に関わることじゃないよね?
このアホ巫女がもし問題になったら絶対消し去ってくれる...。
その後控え室に送り神殿の馬車を待つ間、仕事を終わらせて帰ることばかり考えていた俺は、巫女にヘンな薬をかがされ神殿に連れ帰られた。




