ご
フィレスターン
ずっとレーナといるからか、レーナの香りが体に染み付いてきた。
血の濃いらしいレーナの香りは、濃厚で質がいい。
...いつか脳髄まで溶けるかもしんない。
「三番隊長、なんで獣人のくせに体からセルジュの匂いすんだ?
娼館行ったのか?
でもこんな濃いの嗅いだことねぇぞ。
どっかに隠してんのか?」
ま、そんなわけで軍隊の中の獣人から絶賛襲われ中なわけだ。
今日はいったい何人に絡まれただろう。
...めんどくさい。
「お前の質問に答える義務なぞない。
というか、仕事しろ!」
掴みかからんばかりの獣人を、ペイッと振り払って押しのける。
味見させてくれとか、ありえなくねぇ?
俺、男と仲良くする趣味ないし!
「あ、フィレス!
お前ようやく見つけた!」
後ろからロックが声をかけてくる。
「花祭り...って、うげぇ!
公害のようにその匂いふりまいてんじゃねぇよ!」
「この程度なら精神力でカバーできるだろ」
「無駄な労力は使いたくない主義なんだよっ!」
鼻をつまんでロックは「巫女様が到着した」と告げてきた。
今日は花祭りだ。
きっとレーナもメンフィスかリリーを伴って見に来るだろう。
正直俺が一緒にまわりたかった!!
休暇届けを出そうとしたら、王女に「お前、色々取り上げましてよ?何のことだかは意味分かっていましてよね?」と脅された。
あいつこそ王女の皮を被った獣だ。
密告したロック、あいつはこの手で稽古つけてやる...。
ふと巫女の顔を思い出して嫌な気分になる。
「俺巫女嫌い。
尾とかべたくらべたくら触りやがって気持ち悪い」
「毛むくじゃらが好きらしいから諦めな」
「あぁ、レーナもリリーの耳とか触ってたな」
ふとレーナが、うっとりしながらリリーの耳を触ってたことを思い出した。
「リリーって新しい護衛か?」
「腕がそこそこあるんでな。
女性だから余計な心配しなくていいし、レーナも気に入ってるし雇ってみた」
「へぇ、どんな経緯?」
「うん、隣国のエ・ルージュで総司令官の第三王子をぶん殴って、軍部を辞めてきたらしい。
ま、原因が第三王子にあるから、おとがめなしだったんだけどな」
「そりゃ派手にぶちかましたな」
「強引に結婚の既成事実を作られそうになったらしい」
それはそれは...とロックは鼻をつまんだままで苦笑いをする。
「お前鼻のつまみすぎで、いつか鼻が指をさされるほど高くなるぞ?」
「だったら、この公害を早く処理してくれ。
仕事にならん」
「...めんどい」
「...そうでした!
レーナちゃん以外はそういう性格でしたっ!
は~~~...まだ朝なのにもう疲れた。
ともかく巫女様のとこ早く行ってくれ
俺はもう知らん...」
シッシッとするロックに「部下としてその態度、どうかと思うから今度鍛え直してやる」と鼻にシワを寄せながら唸り去る。
背後から「上司として色々どうかと思うケド!!」と、声が聞こえた。
そんなこと知らん!




