よん
「なんで俺が...」ブツブツ文句を言いながら、ロックは模擬剣を手に取りブンブンと振る。
「レーナ様ありがとうございます!
一度手合わせしたかったんですよ
では行ってきますね」
キリっとした笑顔でリリーが声をかけてくる。
「うん、リリーの勇姿楽しみにしてる!」
にこにこと歩いていくリリーに「がんばって~~」と手を振る。
「はじめ!」と声がかかると二人の雰囲気が一変する。
すごいスピードでリリーが突きを繰り出す。
ギギギィィと音がして剣でロックが受け止める。
ロックが蹴り上げるのをリリーが見越して飛びずさる。
リリー楽しそう。
スカートがまるで舞っているようだ。
「なかなかやるじゃん」っていうようにロックが笑う。
こういう時のロックも楽しそうなんだよね。
日頃見ない試合に見に来ていた人は見とれている。
2人は剣の打ち合いが終わると間合いをとり、相手の出方をうかがう。
隣の兵士が「次だな」とつぶやくのが聞こえた瞬間、飛び出したリリーの首元とロックの首元スレスレで剣が止まる。
「わぁ!!」という歓声と拍手が巻き起こる。
「レーナ様~!
楽しめました~~?」
リリーとロックは挨拶を交わし感謝とねぎらいの礼をする。
そしてトコトコと歩きながらリリーが近づいてくる。
「リリー!!
かっこよかったよ~
惚れそうだった!」
「ローデリック様には手加減されちゃいましたけど、レーナ様が喜んでくれたなら満足ですぅ」
リリーは兵士に模擬剣を渡して、少し苦笑していた。
「あれのどこが手加減なのかわからないよ!」
「いえいえ、自分の足りなさを痛感しました。
もっと鍛錬に励みますよ」
しばらくするとロックも近づいてくる。
「なかなかの人材を手に入れたね。
リリー、せっかくうさぎの獣人なんだから、足を鍛えるといいよ」
「はぁい!
ローデリック様、ありがとうございます」
ビシッと敬礼をするリリーと私に「じゃぁ、またね」と言い、ロックは去っていった。
「やっぱ、ローデリック様はいい男ですよ。
次こそは倒しますねぇ!」
リリーは拳を握り力を込める。
自分に誇れる何かがあるっていいなぁ...。
夕刻、リリーと花束を持って屋敷に戻る。
「おかえりなさいませ、レーナ様」
「ただいま!
これ、メンフィスたちにお土産。
花びらと巫女様の魔術、すっごい綺麗だったよ」
玄関に迎えに来てくれたメンフィスに、にこにこと声をかける。
「今日はフィレス様も仕事が深夜に及びますので、お早いお食事にいたしましょうか?」
「そうだね、今日は疲れたから早く寝る事にするよ」
「わかりました」と一礼しながらメンフィスは奥へと進んでいく。
「リリーも今日はありがとう。
一人で行くよりずっと楽しかった!」
「いえいえ、こちらも十分楽しませていただきましたよ。
ありがとうございました」
部屋の前まで送ってくれたリリーは「そうだ!」と突然つぶやく。
「レーナ様、たまにはお心を打ち明けても、バチはあたりません。
いつかいなくなってしまうかもしれないという、不安な思いが『ヘンタイ』行為に走らせてるんじゃないかと私は推測しますよ」
「わ...わかったわ」
赤くなりながらうつむく。
リリーにはお見通しです!と胸を張りニカッと笑う顔は、とっても可愛かった。




